今日、誰でもウェブサイトを作成することができ、その方法は多数あります。
サイト構築方法の代表例としては、世界で最も使用されているコンテンツ管理システム(CMS)であるWordPressを使用すること。WordPressを使用すれば、無料でサイトを作ることができますが、それをウェブ上で公開するには、ウェブホスティングサービス(レンタルサーバー)が別途必要になります。
無料のレンタルサーバーを含め、ホスティングプランにもまた多数の種類があり、特に初めてウェブサイトを運営する初心者には共用サーバーが人気です。そこで今回は、共用サーバーの特徴、メリットとデメリットを掘り下げます。自分のウェブサイトにとって、共用サーバーが適切な選択肢であるかどうかを探りましょう。
共用サーバーとは
共用サーバーとはその文字通り、複数のウェブサイトやドメインが物理的なウェブサーバーを「共用」するホスティングです。
サーバー容量を共有するだけでなく、サーバー上のすべてのウェブサイトは、他のサーバー利用者とディスク容量や帯域幅のリソースも共有します。これにより、複数の利用者がサーバーの維持費を分担することになり、結果としてホスティング会社は手頃な価格の料金プランを提供することができます。
また、ホスティング会社によってサーバーのメンテナンスが行われるため、技術的な知識は不要です。通常、機能とサポートは基本的なものに限定されますが、初心者向けにウェブサイトビルダー、テンプレート、メールアカウントなどの追加機能が付帯します。
開設したばかりのブログ、中小企業のサイト、アクセスの少ないサイトなど、リソースを大量に必要としないウェブサイトには、共用サーバーが適していると言えます。
共用サーバーを利用するメリット
共用サーバーの概要を押さえたところで、共用サーバーを利用するメリットとデメリットを見ていきます。まずは利点からご紹介します。
利用料金が安価
共用サーバーは、サーバーの維持費を複数の利用者で分割することになるため、通常は最も安価なホスティングになります。
使用しやすい
共用サーバーは初心者を考慮し、コントロールパネル、ウェブサイトビルダー、メールサーバーなどの機能が組み込まれていることが多く、インストールの手間を省くことができます。
専門知識が不要
専用サーバーや仮想専用サーバー(VPS)とは異なり、共用サーバーの管理はホスティング会社によって行われるため、技術的な要件について心配する必要がありません。
共用サーバーを利用するデメリット
上記のようなメリットがある一方で、共用サーバーにはデメリットもあります。
セキュリティ上の懸念
複数のサイトが1つのサーバーを共有するため、一般的なサイバー攻撃に対して非常に脆弱になる可能性があります。1つのサイトに悪意あるユーザーが侵入すれば、同じサーバーで稼働するすべてのサイトに侵入することができてしまいます。
パフォーマンスの低下
共用サーバーでは、リソースを他の利用者と共有しなければなりません。たとえば1つのサイトにアクセスが殺到し、より多くのリソースが必要になると、サーバー上の他のサイトがその影響を直接受けることになります。
長時間のダウン
ウェブサイトがサーバーリソースを過度に使用すると、サーバーがクラッシュする可能性が高まります。このような問題を迅速に解決してくれるホスティング会社もありますが、そうでない会社も存在します。
隠れた料金
共用サーバーは通常、月数百円から数千円で利用することができます。これをホスティング会社の立場になって考えると、たった数百円の料金では会社に利益が生まれないのは明らか。さらに、カスタマーサポートの人件費を考慮すればなおさらです(一件の顧客対応を行うだけで赤字に)。
共用サーバーの主な収入源は、アップセルと隠れた料金にあります。アップセルには、サイト移行、ドメイン登録、更新料、SSL証明書(WooCommerceサイトのようなEC用も)などが挙げられます。
隠れたリソース上限
共用サーバーを提供する多くの会社は、顧客獲得のために「無制限のリソース」を謳っています。
しかし実際には、リソースを好きなだけ利用できるということはありません。共用サーバーでは、リソースを大量に消費するサイトには制限をかけ(スロットリング)、不満を募らせた顧客の解約を促すことでふるいをかけ、リソースをあまり消費しない顧客を残しています。
まずは安価なプランで顧客を誘惑し、多くのリソースを必要としない顧客を残して、アップセルで収益を得るというのが一般的なパターンです。
共用サーバーの特徴
1. ディスク容量
ディスク容量とは、ディスクやストレージドライブが保持できる最大データ量を意味します。
すべてのホスティングプランには、ファイルを保存するために使用可能なディスク容量が決まっています。共用サーバープランのディスク容量は、他の種類のホスティングプランと比較して、最小限になります。
また先にも触れましたが、「無制限のディスク容量」などを宣伝文句にする共用サーバーには要注意です。利用規約に目を通すと、「許容範囲内での十分なディスク容量」のような注意事項が小さく記載されているということも珍しくありません。
ホスティングプランを選択する際には、まずウェブサイトのストレージ要件を試算することが重要です。現時点でまだ見積もることができない場合は、将来の成長を考慮し、後から必要に応じてディスク容量を購入できるホスティングプランを選ぶことをお勧めします。
2. 帯域幅
帯域幅とは、転送できるデータの最大量を決定するもので、サイトの高速化に非常に重要な指標です。帯域幅をトンネルに例えるとわかりやすく、広ければ広いほど、より多くのデータを通過させることができます。しかし、サーバーリソースを複数のウェブサイトで分割する場合、高い帯域幅を確保することは困難です。
共用サーバーでは、1ヶ月あたりの帯域幅が設定されています。ウェブサイトの規模とトラフィックを確認すれば、必要な帯域幅の要件を見積もることができます。ディスク容量と同じように、高い帯域幅はより高額になります。
例によって、「帯域幅が無制限」のような表記を見つけた場合には注意してください。物理的な制約により速度が制限され、実際には無制限でないというのが通例です。
3. 稼働率
稼働率とは、ウェブサイトが利用可能な状態、つまり訪問者がアクセスできる状態である割合を意味します。
サイトがダウンする可能性を最小限に抑えるため、高い稼働率を保証するホスティングプランを選ぶことが重要です。
4. セキュリティ
セキュリティは、サーバー選びに最も重要な要素の1つです。
WordPressは概して安全なプラットフォームですが、その人気の高さからサイバー攻撃の標的になりがちです。
共用サーバーには堅牢なセキュリティ機能が組み込まれていない場合が多いため、ホスティングプランを検討する際には、デフォルトのセキュリティ機能を比較した上で選択してください。
5. カスタマーサポート
また、カスタマーサポートの質を確認することも欠かせません。
初めてサイトを運営する方や専門知識を持たない方には、カスタマーサポートの存在は特に重要です。問題発生時にも素早く解決し、根気良くヘルプを提供してくれるサポートが必要になります(サイトがクラッシュした際、すぐにホスティング会社に助けを求めることができないのはイライラの種)。
そのため、知識豊富なスタッフにすぐに相談することのできるホスティングプランを選ぶと安心です。またユーザーレビューに目を通し、評価されているサービスを選ぶことが重要です。以下の点も考慮しましょう。
- 可用性:メール、電話、ライブチャット、SNSなど、複数のチャネルで24時間いつでも連絡が取れるか
- 待ち時間:緊急時などを考慮し、長く待たされることはないか(待機時間が長い場合は、経験豊富なスタッフが十分に在籍していない、問い合わせが多すぎるなどが考えられる)
- 技術的な専門知識:顧客からの問い合わせを迅速に解決できる知識があるか
6. その他
競合他社と差をつけるため、他にも以下のような機能を提供してくれる共用サーバーもあります。
その他のホスティングの種類
適切なレンタルサーバー選びは、ウェブサイトのパフォーマンスを大きく左右します。
手頃な値段と使いやすさから、初心者には共用サーバーが推奨されるのが一般的ですが、サイトの要件を満たすことができなければ、長期的に見れば結果としてより多くの費用がかかります。
共用サーバーの特徴、メリットとデメリットを踏まえ、他の種類のホスティングプランとどのような違いがあるかをご紹介します。
専用サーバー
専用サーバーは共用サーバーと正反対の特徴を持ち、トラフィックが多く、サーバーのきめ細かな制御が必要になるウェブサイトに適しています。
他の利用者とサーバーを共用することがないため、必然的に高額になりますが、最高の速度を実現し、必要なだけのストレージ容量を確保できます。ただし、サーバーの保守管理とメンテナンスは自分で行うことになります。
自分がシステム管理者になるか、技術者を採用する必要があります。時間と費用のバランスを見ながら、ビジネスの成長に適したアプローチを選択してください。
仮想専用サーバーVPS
仮想専用サーバー(VPS)は、共用サーバーと専用サーバーのいいとこ取りといった選択肢です。
共用サーバーのように物理サーバー1台を複数の利用者で共有することになりますが、それぞれに仮想サーバーを構築し、専用サーバーよりも安価に独自のサーバースペースを確保することができます。ただし、物理サーバーは1台になるため、他のサイトがパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
専用サーバーは不要だが、サーバーをより制御したいという場合にお勧めです。
マネージドホスティング
マネージドWordPressホスティング(WordPressホスティング)は、WordPress向けに構成されている特定の共用サーバーです。マネージドWordPressホスティングを利用すると、より高速かつスムーズにWordPressサイトを実行することができます。
共用サーバー同様、マネージドホスティングには、WordPressサイトに必要なものがすべて付帯しています。
- インストール済みプラグイン
- ワンクリックでのWordPressのインストール
- WordPressテーマ
- ドラッグ&ドロップ式ビルダー
- WordPressに精通したカスタマーサポート
クラウドホスティング
共用サーバー、VPS、専用サーバーは、すべて一般的なホスティングの種類です。
これらのホスティングでは、物理サーバー上にウェブサイトが存在する構図です。したがって、このサーバーがダウンすると、そのサーバー上で稼働するすべてのサイトがダウンすることになります。利用者はサーバーが復旧するまで為す術がありません。
このような状況に対応できるのが、クラウドホスティングです。通常のホスティングとは異なり、仮想化で動作し、複数のサーバーが連携して複数のウェブサイトをホストします。
ウェブサイトのデータは、1つのサーバーに保存されているように見えて、実際には複数の異なる場所に保管されます。これにより、1つの仮想サーバーが機能しなくなっても、他の場所からバックアップされたデータを取得することができます。クラウドホスティングでは、トラフィックソースに近いデータセンターを利用できるため、読み込み時間も短縮されます。
クラウドホスティングの最も優れた点は、柔軟性と拡張性にあります。大量のトラフィックやトラフィックの急増にも対応でき、使用量に応じて運用されることから、ストレージの追加も容易です。
専用サーバー同様、クラウドホスティングは十分な処理能力、帯域幅、ディスク容量を必要とする高トラフィックのウェブサイトにお勧めです。また、ECサイトにも適したホスティングです。
Kinstaでは共用サーバーを提供していません
Kinstaではウェブホスティングサービスとして共用サーバーは提供していません。
Kinstaのアプリケーションホスティング、データベースホスティング、静的サイトホスティング、およびWordPress専用マネージドホスティングは、従来のホスティングカテゴリーの枠を越え、安価で安全性に不安のあるレンタルサーバーとは異なり、パフォーマンスを重視して構築されています。
品質に徹底的にこだわり、サイトごとにコンテナ化されたホスティングスタックを確保。GoogleのC2およびC3D VM、低レイテンシで高速なトラフィックルーティングを提供するプレミアムティアネットワークのみを採用し、最高かつ最速のホスティングプランを提供しています。
まとめ
共用サーバーの概要、仕組み、機能、そしてメリットとデメリットを詳しくご紹介しました。
信頼性に優れ安全なホスティングプランをお探しの場合は、マネージドWordPressホスティングをお勧めします。KinstaのWordPress専用マネージドホスティングプランには、すべてのプランに以下のような機能がデフォルトで付帯しています。
- WordPressの簡単インストール
- CloudflareのSSL証明書(ワイルドカード対応)
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