WaaS(Workspace as a Serviceではなく「Website as a Service」)は、Web制作会社のサービス提供方法を変えつつあります。Web制作会社の多くは、高額な初期費用を提示する代わりに、サーバー、メンテナンス、サポートをパッケージ化し、手頃な価格の定額料金で提供することで、顧客の要件に応えています。
WaaSモデルは顧客にとってメリットがあるだけでなく、制作会社側でもスケーラブルで安定した収益源を確保できるため、よりスムーズに事業を成長させることができます。
今回は、WaaS(Website as a Service)について掘り下げ、WaaSのメリット、そしてWeb制作会社がWaaSモデルを最大限に活用できる方法をご紹介します。Kinstaでは、複数のサイト管理から、自動バックアップ、一流のセキュリティ機能まで、WaaSの要件に応えるクラウドサーバーを提供しています。
WaaS(Website as a Service)とは
WaaS(Website as a Service)は、Web制作会社が顧客に最小限の初期費用で管理の行き届いたウェブサイトを提供することを可能にする、定額料金型のサービスモデルです。
顧客がカスタムメイドのサイトに対して多額の料金を支払う従来のアプローチとは異なり、WaaSモデルではサーバー、メンテナンス、サポートをすべて提供し、月額または年額の手頃な定額料金を設定することができます。
これにより、顧客は導入コストを抑え、制作会社は拡張性のある継続的な収益源を確保することができます。
WaaSサービスには、一般に以下のようなサービスが含まれます。
サーバーとメンテナンス
WaaSサービスには通常、マネージドサーバーの提供が含まれ、クライアントサイトが安全かつ高速に稼働され、定期的にバックアップされることを保証します。サイトの更新、セキュリティ監視、パフォーマンス最適化などの重要なタスクを代行することで、顧客は手間をかけることなく、スムーズにサイトを運営することができます。
要件に適したテーマとテンプレート
WaaSサービスでは、たとえば不動産やフィットネス、ECなど、特定の業界に適したテーマを提供します。顧客に自社の業種やブランドに合ったデザインを選択してもらい、必要に応じてカスタマイズを行います。
例えば、フィットネススタジオであれば、スケジュールや予約に特化したテーマ、不動産会社であれば、物件一覧やバーチャルツアー用にデザインされたテンプレートが必要になるでしょう。テーマや構成をうまく再利用しながら、各業界に応じた洗練された外観を提供することができます。
必要に応じたアドオンと統合
必要なものはコアとなるWaaSサービスにすべて含まれますが、SEO、SNSアカウントの統合、EC、分析などの有料アドオンを提供することで価値を高めることができます。
例えば、美容室のウェブサイトにオンライン予約プラグインを実装したり、ローカル検索の可視性を高めるためにSEOサービスを追加したりなど。オンラインのビジネスコーチングであれば、LearnDashやLifterLMSのようなLMSとオンライン講座の統合が必要になるかもしれません。
セルフサービス型のサイト管理
WaaSサービスでは通常、WordPressのようなユーザーフレンドリーなコンテンツ管理システム(CMS)へのアクセスを顧客に提供し、ブログ記事の投稿、画像の更新、商品説明の調整など、顧客自身で簡単な編集を直接行えるようにします。このセルフサービス方式は、自社で操作を行いつつ、サポートやメンテナンスといった手間のかかる部分は一任したいという顧客に人気です。制作会社側にとっても、サポートの負担を抑えることができるという利点があります。
成功するWaaSサービスとは、定額料金制で拡張性があり、手頃な価格であること。これにより、顧客は高額な初期費用を支払うことなく、料金を無理なく支払うことができ、Web制作会社は安定した収益とシンプルなパッケージの再利用などの利点を確保できます。まさにウィンウィン(win-win)といえます。
WordPressとWaaSモデルの相性が良い理由
WordPressは、圧倒的な柔軟性、使いやすさ、豊富なテーマとプラグインなどの特徴から、WaaSサービスに適しています。高度なカスタマイズを行うことなく、プロフェッショナルなウェブサイトを簡単に作成・管理することができます。
WordPressとWaaSの相性が良い理由は、以下のようなものがあります。
- 豊富なテーマとテンプレート:WordPressはあらゆる業界やスタイルを考慮して作られたテーマが数多くあります。写真家向けの洗練されたポートフォリオテーマ、フィットネススタジオ向けの予約を受け付けることを考慮したテーマ、小規模企業向けのおしゃれなビジネステーマなど。既存のテーマを活用することで、顧客に完成度の高いサイトを素早く提供することができます。もちろんブランディングに合わせて色調、レイアウト、機能をカスタマイズすることも可能です。
- ユーザーフレンドリーなインターフェース:WordPressは使いやすく、直感的に操作することができるため、顧客自身でコンテンツを管理することができます。簡単なトレーニングを行えば、その都度サポートを提供することなく、顧客側でブログ記事の投稿、画像の変更、商品説明の更新などの基本的な作業を行うことができます。先に触れたとおり、これは顧客にとっても利点です。作業時間を削減することで、サービスの他の側面に時間を充てることができます。
- 幅広い統合とアドオン:WordPressは何千ものプラグインと互換性があるため、機能の拡張も簡単です。例えば、ECプラグインにはWooCommerce、お問い合わせフォームプラグインにはContact Form 7、データの追跡にはGoogle アナリティクスというように、プラグインを活用することで、顧客ごとにゼロから機能を構築する必要がなくなり、パワフルで機能豊富なウェブサイトを効率的に提供できます。
- 優れた拡張性:WordPressの柔軟なインフラにより、必要に応じていつでもWaaSサービスを拡張できます。例えば、セキュリティアップデートや新機能を複数のサイトに同時に適用するなど、複数のサイトを管理するためのツールや、プラグインの簡単な更新により、1つの管理画面からクライアントサイトを効率的に管理可能です。メンテナンスを簡素化しながら、一貫した品質を確保するのに適しています。
WordPressは柔軟性、使いやすさ、幅広い互換性を兼ね備えているため、WaaSサービスの基盤に理想的です。
Web制作会社がWaaSモデルを採用するメリット
再三となりますが、WaaSモデルは顧客にメリットがあるだけでなく、信頼性に優れたスケーラブルな収益モデルを確立したいWeb制作会社にも、いくつかの利点があります。以下、まとめてご紹介します。
予測可能な定期収益
単発のウェブデザインプロジェクトとは異なり、月額または年額の定額料金を通じて安定した収益を確保できます。予測可能な収益源が確立されることで、キャッシュフローが安定し、成長計画を立てやすくなります。ひいては規模の拡大、雇用、ツールやリソースへの投資も容易になります。
スケーラビリティ
テーマ、プラグイン、設定を複数のクライアントに再利用することで、サービスを効率的に複製できます。サーバー、セキュリティ機能、メンテナンススケジュール、必須プラグインなどの重要な要素を標準化することで、新規顧客のサイトをより高速に構築でき、オンボーディングとセットアップにかかる時間も短縮されます。
ローメンテナンス・ハイリターン
WaaSモデルを採用することで、作業時間を削減することができます。一度セットアップを行なって製品を標準化すれば、それ以降は最小限の作業で済み、サービスの質を保ちながら、より多くのクライアントに対応することができます。さらにKinstaのような高性能サーバーをパートナーにすれば、バックアップ、更新、セキュリティチェックなどのタスクをすべて自動化できるため、メンテナンス作業の負担も最小限に抑えることができます。
WaaSサービスにKinstaのサーバーを選ぶメリット
WaaSモデルの導入を成功させるには、優れたサイトパフォーマンス、メンテナンスの自動化、クライアント管理の効率化に欠かせないツールとインフラが必要です。KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーのプランには、Web制作会社を考慮した機能が多数付帯しています。
以下、Kinstaを選ぶメリットの一部をご紹介します。
トップレベルのサーバー管理
Kinstaでは、マネージドクラウドサーバーとして、WordPressに最適化された高性能の環境を提供しています。自社開発したコントロールパネル「MyKinsta」を通じて、複数のクライアントサイト一元管理し、パフォーマンス指標を追跡して、管理タスクを簡単に実行できます。
自動更新とセキュリティ
ウェブサイトのメンテナンス最大の課題の1つは、プラグイン、テーマ、およびWordPressコアを常に最新の状態に保つこと。Kinstaでは、自動アップデート、毎日のバックアップ、ファイアウォール、DDoS攻撃対策など、あらゆるセキュリティ機能を提供し、この作業を最大限に簡素化しています。
このような機能により、サイトのダウンとセキュリティリスクを最小限にとどめ、顧客に安心感を与えることができ、さらにメンテナンス作業の負担も軽減されます。
ステージング環境とサイトの複製
Kinstaでは、ワンクリックでステージング環境を作成して安全にテストを行い、変更内容を本番サイトに簡単に反映することができます。WaaSサービスを提供していて、クライアントサイトを稼働したまま更新や改善をテストしなければならない場合に非常に便利です。
サイトの複製機能は、標準化したセットアップを素早く複製して顧客に提供できるため特に便利です。数分で必要な設定を施したサイトを作成でき、新規顧客のオンボーディングがより簡単になります。業界固有のテーマやデザインを繰り返し使用する場合にも重宝します。
高性能サーバーと優れたスケーラビリティ
Kinstaのアーキテクチャは、Google Cloudを採用しているため、クライアントサイトが高速に読み込まれることはもちろん、トラフィックの急増時にも優れたパフォーマンスを実現できます。CDNの統合やリソース拡張などの機能により、サイト需要の増大にも問題なく対応可能です。
WaaSサービス構築のベストプラクティス
優れたWaaSサービスとは、単にサーバーとメンテナンス作業を提供するだけではありません。収益性を最大化しながら、多様な顧客の要件を満たす真に質の高いサービスを提供するには、以下のようなベストプラクティスに従う必要があります。
テーマとプラグインの戦略的選択
高品質で汎用性の高いテーマと必須プラグインの選択は非常に重要になります。特定の業界や業種に特化したテーマは「良い出発点」となり、カスタマイズの必要性を減らすことができます。不動産、ポートフォリオ、金融など、特定の業界に特化することで、競争優位性が高まります。
例えば、ヘルスケア業界の顧客を抱えている場合、予約管理やHIPAA準拠の機能が組み込まれたテーマを選択するのが適切かもしれません。SEO、セキュリティ、パフォーマンスの最適化など、他の顧客にも必要になることがわかっているコア機能については、信頼できるプラグインを選ぶことで、時間の削減になります。このように必要になるプラグインを決定しておくことで、立ち上げたクライアントサイトが最初から安定し、効果的になります。
サービスレベルの設定
「基本」「プロフェッショナル」「エンタープライズ」といった複数のプランを用意することで、さまざまな顧客の要件や予算に対応できます。「基本」プランに必要不可欠なサーバーとメンテナンス機能を組み込み、上位プランには、EC、高度なSEO対策、追加サポートなどの機能を加えると良いでしょう。
オンボーディングとサポートの自動化
オンボーディングとサポートを簡素化することで、WaaSモデルのサイト管理に必要な時間と労力を削減できます。ドキュメント、動画解説、ヘルプなどのリソースを提供して、顧客にコンテンツ管理の方法を学んでもらいましょう。このようなリソースは一度作成すれば、すべての顧客に提供できます。
また、パフォーマンスの更新やセキュリティの改善に関して、メールによる定期的なリマインダーを設定することでサポートを強化し、手動で作業を行うことなく、顧客に必要な情報を提供することができます。
アドオンサービスの提供
基本的なWaaSサービスだけでなく、SEO、コンテンツ作成、ECのセットアップなど、価値あるアドオンを提供することも検討してみてください。例えば、小規模なファッションブランドが、シンプルなオンラインストアから事業をスタートし、成長に応じてローカルSEOサービスを追加したいかもしれません。アドオンを用意することで、顧客は成果に応じて規模を拡大することができ、Web制作会社側では新たなサービス構造を作成することなく、追加の収益を得ることができます。
このようなベストプラクティスに従っても、問題が発生しないというわけではありません。最後に、WaaSモデルに関する課題に対応する方法をご紹介します。
WaaSの主な課題と克服のヒント
WaaSモデルは、Web制作会社と顧客の両方に大きなメリットをもたらしますが、そらなりの課題が伴います。課題を予測して対処することで、スケーラブルで効率的なWaaSサービスを構築することができます。
以下、よくある課題とそれを克服するためのヒントをご紹介します。
- 顧客の教育:顧客の中には、WaaSモデルの定額料金型に馴染みがなかったり、ウェブサイトへの継続的な投資に疑問を持つ人もいます。そのような場合は、定期的な更新、セキュリティ監視、サイトパフォーマンスの維持など、WaaSサービスの利点を明確に伝えましょう。WaaSサービスを利用することで、予測できない多額のメンテナンス費用を削減し、常に最新の機能とセキュリティ機能を利用できることを強調します。
- スケーラビリティへの懸念:複数のクライアントサイト管理は、事業が成長するにつれて複雑になります。Kinstaのようなマネージドサーバーを選択すれば、サイト管理や自動アップデートなどを一元化されたコントロールパネルで操作し、すべてのクライアントサイトの主要な指標を一箇所に統合することができます。さらに、ステージング環境やサイトの複製をボタンのクリックで実行できれば、事業の運用を効率化し、規模を拡大しても複雑さが増さないようにすることができます。
- 価格戦略:WaaSサービスの適切な価格設定は、顧客の負担と持続可能な利益率のバランスを取る必要があります。ターゲット市場を調査し、さまざまな予算に対応できるよう、段階的な価格設定を検討してください。透明性の高い価格設定と価値に基づいた説明を提供することで、顧客は月額または年額プランの価値を理解しやすくなります。
上記のような課題を考慮することで、魅力的で持続可能なWaaSサービスを構築することができます。
まとめ
Website as a Service(WaaS)は、Web制作会社にとって継続的な収益源を確立するのに理想的なモデルです。顧客は、毎月または毎年の定額料金を支払って、ウェブサイトの作成と保守管理をプロに一任することができます。
また顧客は、サーバー、メンテナンス、サポートがパッケージになったオールインワンソリューションを手頃な価格で利用できるため、多額の初期投資を避けずに、オンラインプレゼンスを強化・維持しやすくなります。Web制作会社側にも予測可能な定期収益、スケーラブルな運用、そしてより高い顧客維持率など、メリットが多数あります。
KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーでは、サイト管理の簡素化、更新とセキュリティチェックの自動化、ステージング環境の作成、サイト複製などのサーバー機能を多数提供しています。Kinstaを選ぶことで、自信を持ってWaaSサービスを提供することができます。
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