Web制作業で定期的な収益源を構築する最善の方法の1つは、顧客にサービスの一部としてサーバーを提供することです。単発のプロジェクトを繰り返すのではなく、各顧客と長期的な関係を築くことで、毎月安定した収入を手にすることができます。
Web制作業を行う以上、信頼性とパフォーマンスに優れ、安全なサーバーを提供して、顧客の成功を確実に支援したいもの。しかし、多数存在する格安レンタルサーバーと比較して高価な高性能サーバーを提案すると、ためらう顧客は少なくないでしょう。
そこで今回は、Web制作会社が高性能サーバーの導入を効果的にプレゼンするコツをご紹介します。
技術的なサーバー機能をビジネス価値に変換する方法、コストに関する適切な説明方法、そして実例を用いて説得力のあるプレゼンを行う方法を見ていきます。
顧客のペインポイントを理解する
顧客に対して効果的にサーバーを提案するには、顧客のペインポイント(悩みの種)を理解することです。自社サイトのサーバーを選ぶにあたって、顧客の最大の疑問や悩みが何であるかを探りましょう。
ある顧客がコストを心配している一方で、別の顧客は速度とパフォーマンスを重視しているかもしれません。この場合、それぞれの顧客には異なる方法でサーバーを案内するのが賢明です。
そして顧客のペインポイントを把握する最も簡単な方法は、直接尋ねること。
例えば、現在利用しているサーバーのセキュリティや稼働率に問題があり、その問題を早急に解決したい場合、すぐにその悩みの種を挙げてくれるはずです。
そのような状況では、顧客が今経験している問題にすぐに対処できるようにプレゼンの内容を調整することができます。
しかし、これから初めてサーバーを利用する顧客であれば、顧客の考えを把握するために質問を重ねる必要があるかもしれません。高性能サーバーの利点を説明する際、特定の側面を強調するのではなく、一般的なアプローチを取ることも検討できます。
技術的な要素をビジネス価値に変換する
顧客のペインポイントを把握したら、それに対処しつつ、サーバーのその他の利点も網羅するプレゼンを準備しましょう。
重要なのは、技術的な詳細に焦点を当てるのではなく、それがどのように悩みの種を取り除き、長期的なビジネスの成功に貢献するかを強調することです。
以下、速度、セキュリティ、稼働率など、高性能サーバーの重要な側面をどのようにビジネス価値に変換できるかをご紹介します。
高速化=収益向上
高性能なサーバーの大きな利点は、パフォーマンスの向上と読み込み時間の短縮になります。
例えば、KinstaではGoogle Cloud、Cloudflare統合によるスマートエッジキャッシュ、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)などの標準機能により、高速パフォーマンスを提供しています。
とはいえ、このような機能を単に羅列することは、ほとんどの場合効果的ではありません。
それよりも、これらの機能がもたらす読み込み時間の短縮とパフォーマンスの向上という結果に焦点を当てることが重要です。そして、これらの改善によりビジネスの成長を促進できることを伝えましょう。
- コンバージョン率の向上:ウェブサイトの表示速度が改善されることで、コンバージョン率が向上することは多くのデータによって裏付けられている。
- 検索エンジン最適化(SEO)の強化:サイトの読み込みが高速化されれば、SEOの強化にもつながる。
- より良いユーザー体験:訪問者はサイトがサクサク読み込まれることを期待しているもの。サイトを高速化することで、より良いユーザー体験を提供できる。
また、訪問者の読み込み時間に焦点を当てるだけでなく、高性能サーバーのスケーラビリティを強調することもできます。
優れたサーバーを選べば、トラフィックが急増してもサイトのパフォーマンスを維持できること、そしてサイトがウイルスに感染したり、ニュースに取り上げられたりした際、サイト速度の低下やクラッシュが発生した場合のビジネスへの影響も理解してもらうことが重要です。
セキュリティ=信頼と評判の確保
セキュリティの高さも高性能サーバーの大きな利点の1つです。例えば、KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーでは、隔離コンテナ、ファイアウォール、SSL証明書、DDoS攻撃対策、マルウェアスキャンなど、多くのセキュリティ機能を提供しています。
![Kinstaのセキュリティ機能の一部](https://kinsta.com/jp/wp-content/uploads/sites/6/2025/02/kinsta-security-for-peace-of-mind.png)
しかしパフォーマンスと同様、これらの技術的な機能を直接アピールしても、顧客に響かないかもしれません。代わりに、評判と顧客の信頼に対するセキュリティの重要性を強調しましょう。
顧客は評判を確立し、クライアントとの信頼を築くために多くの時間と労力を費やしてきたはず。たった一度のセキュリティインシデントで、この努力が水の泡になる可能性もゼロではありません。
信頼を失うだけでなく、データ侵害に伴う収益の損失やその他の金銭的コストという形で、より深刻な被害をもたらす可能性もあります。
このようなインシデントに対して、優れたサーバーがいかに特別な対策を講じてくれるかを伝えることは、非常に効果的です。
稼働率=信頼性
より良い稼働率は、一般的なレンタルサーバーと比較した高性能サーバーのもう1つの大きな利点です。
例えば、Kinstaのマネージドサーバーでは、信頼性の高いインフラストラクチャの恩恵により、問題を迅速に検出して修正するための継続的な稼働状況監視が利用できます。また、サービスレベル契約(SLA)によって裏付けられた高い稼働率も保証されています。
稼働率の高さは企業サイトが常にオンラインであることを意味し、サーバー障害が原因で収益を失ったり、評判を傷つけたりする可能性を最小限に抑えることができます。
顧客の収益について大まかに理解している場合は、ピーク時にサイトが30分ダウンした場合に、どれだけの収益が失われるかなど、具体的な数字を提示することもできます。
バックアップ=リスク管理
Kinstaでは、毎日サイトが自動的にバックアップされ、バックアップは別の環境に安全に保存されます。また要件に応じて、バックアップの頻度を増やすことも可能です。
どのようなバックアップが毎日取得されるかについて話すよりも、自動バックアップがスマートなリスク管理として機能することを説明しましょう。万が一の事態が発生しても、データは常に安全であることを伝えることができます。
これは悪意あるユーザーからサイトを保護するのに重要になるだけでなく、顧客が誤って何かを削除してしまったり、壊してしまったりするような状況にも非常に有用です。ヒューマンエラーは時に避けられないものです。
何が起こっても、予期せぬリスクからビジネスを守り、サイトを迅速に稼動させることができるというのは、顧客にとって大きな安心感になります。
マネージド環境=作業時間の削減
最後に、高性能なマネージドサーバーには自動更新、24時間365日体制のサポート、バックアップなどの高度な機能が組み込まれています。
顧客への提案書では、これらの機能により、サイト管理にかかる時間が削減されることを強調しましょう。優れたサーバーのプラットフォームでは、多くの基本的なメンテナンス作業が自動的に処理され、何かあればすぐにサポートに問い合わせることができます。
ここでの最大のメリットは、顧客がサイト管理に費やす時間をマーケティング、製品開発、顧客へのサポート提供など、より重要な業務に振り分けることができるようになることです。
コストの価値を伝える
一般に、高性能サーバーは、格安レンタルサーバーよりも料金が高くなります。
そのコストをどのように提示するかは、特にコスト意識の高い顧客にとってプレゼンの成功に大きく影響します。
多くの場合にネックとなる費用について、顧客と効果的に話し合うためのヒントをご紹介します。
価値ある投資として位置付ける
優れたサーバーの利用を「費用」と考えるのではなく、「投資」として捉えることができます。
費用は見返りなしにお金がかかるもの。当然ながら多くの人はそれを避けたがります。
投資にもお金はかかりますが、将来的な利益が期待できます。これはROI(投資収益率)として知られています。これをどのように達成するかは、先に挙げた利点と関連しています。
例えば、サイトが高速化されると、コンバージョン率が上がるというデータを強調することができます。サイトのコンバージョン率を高めることができれば、それによって得られる収益の増加は、通常サーバーにかかる費用よりも大きく、ROIがプラスになります。
Cloudflareは、サイトの読み込み時間がコンバージョン率をグラフィックでわかりやすく表しています。
![サイトの読み込み時間がビジネス価値(コンバージョン率)に与える影響(出典:Cloudflare)](https://kinsta.com/wp-content/uploads/2024/12/cloudflare-speed-conversion-rate-1024x438.jpg)
顧客が実店舗型のビジネスを展開している場合は、よりわかりやすく現実世界での状況に例えることもできます。店舗を選ぶ際、おそらく家賃の安さを決め手に選んだという顧客はほとんどいないでしょう。
たとえ家賃が高くても、お金を支払ってくれる顧客にリーチする可能性が高い場所を優先的に選ぶはずです。
企業のオンラインプレゼンスの強化にも同じことが該当します。絶対的に安価なレンタルサーバーを見つけるのではなく、顧客のビジネスの成長と長期的な成功を支援するのに適切なサーバーを見つけることが重要になります。
総所有コスト(TCO)の内訳を説明する
コストにアプローチするもう1つの良い方法は、サーバー自体のコストではなく、サーバーに関連する総所有コスト(TCO)に注目することです。
優れたサーバーの価格は確かに高いかもしれませんが、安価なレンタルサーバーでは自己負担しなければならない多くの機能が標準搭載されています。
Kinstaでは、プレミアムDNS、SSL証明書、CDN、毎日のバックアップ、画像最適化、稼働状況監視、ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)、マルウェア除去などの機能がすべてのプランに追加料金なしで付帯します。
一般的なレンタルサーバーでは、このような機能の一部(またはすべて)を別途購入しなければならないかもしれません。
他の側面でのコスト削減を強調する
優れたサーバーを利用することで、セキュリティ侵害、サイトのダウン、緊急事態の対処、サポートに待たされる時間などを削減・回避できることも強調できます。
例えば、特定の顧客にとって、30分間サイトがダウンした場合の収益損失は、安価なレンタルサーバーを使用した場合のコスト削減をゆうに超える可能性があります。
収益の増加ではなく、その他のコストや潜在的な損失の削減という意味では、このコスト削減を投資と捉えることもできます。
実例や成功事例を紹介する
サーバーの提案をより印象的なものにするには、実例や成功事例も取り上げましょう。優れたサーバーを選ぶ利点を伝えるだけでなく、実際の事例を紹介することで、説得力が増します。
他の顧客の成功事例を取り上げる
高性能サーバーの利点を強調するには、既存の顧客の成功事例を紹介するのが最も効果的です。実例を提示することで、説明した内容が机上の空論ではなく、実際に機能することを示すことができます。
データの共有を許可してくれる顧客がいれば、顧客の導入事例を利用することも。Kinstaのサーバーを紹介する場合には、導入事例ページを共有することができます。
![Kinstaの導入事例](https://kinsta.com/jp/wp-content/uploads/sites/6/2025/02/kinsta-japan-case-study.png)
このページでは、ニッチな分野から大企業までさまざまな顧客の導入事例をご紹介しています。
例えば、教育機関の顧客にサーバーを提案する場合は、Kinstaに移行してユーザー管理の合理化と盤石なセキュリティの確保に成功した早稲田大学の導入事例を共有することができます。
他のサーバーと並べて比較する
実際のデータを取り入れるもう1つの方法として、一般的なレンタルサーバーと高性能サーバーにおけるサイトのパフォーマンスを比較して提示することができます。
顧客が現在利用しているサーバーで1つのバージョンを実行し、Kinstaのような優れたサーバーで別のバージョンで実行します。その後、パフォーマンステストを実施して、高性能サーバーで見られるパフォーマンスの向上を強調することができます。
Kinstaをご利用の場合は、ワンクリックで作成できるステージング環境が役立ちます。またその際は、パフォーマンスを最大化するため、ステージング環境でエッジキャッシュを利用してください。
まとめ
サービスの一部として顧客にサーバーを提案する場合は、原則として、技術的な側面を過度に掘り下げることを避け、高性能サーバーどのように顧客の頭痛の種を解消し、ビジネス目標の達成に役立つかを伝えることが重要です。
顧客のビジネス目標は、収益の向上や評判の維持、リスクからのビジネスの保護、作業の効率化などが考えられます。高性能サーバーの利用料金は「経費」ではなく、そのような目標を達成するための「投資」になることを伝えましょう。
クライアントサイト用に優れたサーバーをお探しの場合は、KinstaのWeb制作会社向けプランをぜひお試しください。
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