Figmaでのデザインは素早く柔軟で、共同作業が可能です。しかし、完璧なモックアップを実際に機能するWordPressサイトに移行するとなると話は別です。
Figmaで用意したデザインをWordPressサイトに変換する作業は、ワンクリックで完了できる訳ではありません。作業を効率化するツールはありますが、視覚的デザインを機能的なコード(またはブロック)に変えるには、それ相応の作業が必要です。方法はいくつかあります。どれを選ぶかは、スケジュール、技術的レベルなどによって異なります。
この記事では、Figmaのデザインを実際のWordPressサイトへと変える3つの実践的な方法をご紹介します。さっそく本題に進みましょう。
方法1. Figmaプラグインでプロセスの一部を自動化する
FigmaからWordPressへの移行をスピードアップしたいなら、専用のプラグインが大きな違いを生みます。
ピクセル単位での完璧な変換を実現するわけではありませんが、特にシンプルなデザインの場合、手作業を大幅に減らすことができます。
以下に価値ある2つのプラグインを紹介します。
プラグイン1. Figma to WordPress by Yotako

Yotakoによって開発されたFigma to WordPressプラグインは、デザインからWordPressへのワークフローを効率化する便利な選択肢です。主な使用の流れは以下の通りです。
- 通常通りFigmaでウェブサイトのレイアウトを作成
- Figmaプロジェクト内でプラグインを有効化
- プラグインがデザインを処理し、エクスポート処理によってWordPressテーマが生成される
コーディングの知識が全く必要ない、初心者に優しい設計になっているので、HTMLやPHPに煩わされたくないデザイナーにぴったりです。
また、このプラグインは自動でレスポンシブレイアウトを生成するため、余分な作業をすることなく、複数のスクリーンサイズに適応したデザインを実現できます。Figmaの自動レイアウト機能を有効にするのをお忘れなく。

生成されたテーマをダウンロードして、WordPress サイトにインストールできます。
プラグインはAI を使用してFigmaのデザインを分析し、レイアウト、スタイル、コンポーネントを機能的なWordPressコードに変換します。
補足がいくつかあります。
- このプラグインはシンプルなレイアウト向きです。複雑なデザインの場合は、さらに微調整が必要になる場合があります。
- スタイルや機能を微調整するために、エクスポート後の調整が必要になる場合があります。例えば、デフォルトではフォームが正しくエクスポートされない場合があります。プラグインの設定で「Advanced Mode」を有効にすることで対応できます(緑のトグルをクリック)。

「Advanced Mode」をオンにしたら、プラグインのAIが正しくフォームを取得できるように状況に応じた指示を加える必要があります。
プラグイン2. Figma to WordPress Block

Figma to WordPress Blockプラグインは、よりモジュール構造を意識したものです。テーマ全体をエクスポートするのではなく、Figmaのデザインから選択した要素を、すぐに使えるHTMLとCSSのコードに変換し、WordPressに直接貼り付けることができます。
そのため、ブロックエディターやブロックベースのテーマを使っているサイトにおすすめです。
このプラグインを際立たせているのは、調整レベルの高さであり、実際のレイアウトを反映した軽量のコードが生成できます。
ヒーローバナー、コンテンツブロック、カスタムCTAのようなセクションをゼロから作り直すことなく構築できる実用的な選択肢です。ページ全体ではなく、個々のデザイン要素に焦点を当てているため、既存の WordPress サイトに Figmaでデザインしたコンポーネントを追加するのにも使えます。
とはいえ、少し手作業が必要になります。
- WordPressのカスタムHTMLブロックにコードをコピー&ペーストする必要がある
- テーマに合わせたスタイル調整や、レスポンシブ対応のためのレイアウト微調整が必要になることがある
- 高度なインタラクションやアニメーションは自動的に引き継がれない
- バックエンドとの統合はできないので、フロントエンドの表示のみに使用するのがベスト
このプラグインは次のように使用できます。
- エクスポートしたいFigmaのコンポーネントを選択
- 対応するHTMLとCSSコードを生成
Figma to WordPressプラグインを使用して、WordPressサイトにそのまま挿入できるコードを生成する - 生成されたコードを、WordPressの投稿またはページのカスタムHTMLブロックに貼り付ける

プラグイン使用時の注意事項
ここまででご紹介したプラグインは手作業を楽にしてくれる代物ですが、必ずしも正確とは限りません。以下の点に注意してください。
- 完璧な変換はできない:エクスポート後に手動である程度の調整が必要になります。
- アセット管理:画像、フォント、その他のアセットが正しくリンクされ、最適化されていることを確認してください。
- レスポンシブテスト:複数のデバイス間でサイトが正しく表示されることを常にテストしましょう。
方法2. WordPressでFigmaのデザインを手動で再構築する
デザインと完全に一致するサイトが必要であれば、手作業での変換が最も確実です。プラグインよりも時間と労力がかかりますが、この方法では、デザインのあらゆる部分を完全に制御でき、サイトを意図したとおりに構築できます。
これを実現するには、カスタムテーマを使ってゼロからコーディングする方法と、WordPressサイトビルダーを使ってデザインを再現する方法があります。それぞれを見てみましょう。
オプション1. カスタムWordPressテーマを使ってコーディングする
この方法は、あなた(または開発者チーム)がHTML、CSS、PHP、JavaScriptの扱いに慣れている場合に選択できます。この選択肢には、Figmaのレイアウトに正確に合わせたり、カスタム機能やテンプレート、動的な機能を実装したりできる柔軟性があります。
通常、_Underscoresのような定型テーマか、カスタムフレームワークから作業を開始します。

そこから、以下のようなことができます。
- デザインの各ページレイアウトに合ったテンプレートを作成する
- カスタムブロックやセクションを作成する
- CSS(またはTailwindのようなユーティリティフレームワーク)を使用して、すべてのスタイルを設定する
この選択肢は特に以下のような場合に有効です。
オプション2. ビジュアルビルダーまたはFSEテーマを使用する
ノーコードまたはローコードを好むのであれば、WordPressサイトエディターまたはGeneratePress、Kadence、Spectraなどのビルダーが使用できます。
これらのツールを使えば、ドラッグ&ドロップのブロックやデザイン機能を介して、Figmaのデザインをセクションごとに作り直すことができます。完全に一致することはありませんが、Figmaのデザインが一貫したグリッドやモジュール構造に従っている場合は、高い再現度が期待できます。
重要なのは、Figmaプロジェクトを設計図のように扱うことです。ブロックやパターンを使って各セクションを一致させ、タイポグラフィやカラーパレットを反映させるためにグローバルスタイルを設定し、テンプレートやページ間のレイアウト階層を維持します。
この方法は、次のようなケースに適しています。
- 単独または少人数のチームで作業する時
- デザインが複雑すぎない
- 将来的にコードに触れることなく簡単にサイトを管理したい
WordPressでFigmaのデザインを手動で再構築する方法─詳しい手順の紹介
どの手作業での方法を選んでも、一般的な流れは同じです。
1. Figmaからアセットを準備しエクスポートする
アイコン、SVG、ロゴ、背景画像など、Figmaから必要なデザインアセットをすべてエクスポートすることから始めます。各アセットが、ウェブパフォーマンス向けに最適化されていることを確認してください。圧縮し、適切なサイズにし、ベクターの場合は SVG、画像の場合はWebPのような形式にします。
これらのエクスポート設定は、Figmaツールバーの右下にあります。

2. ベーステーマまたはページテンプレートを作成する
コーディングを行い、ゼロからテーマを構築する場合は、以下を完了させる必要があります。
- テーマの構造を設定する(例:
header.php
,footer.php
,style.css
など) - 手間削減のために、_Underscoresのようなスターターテーマを使う
- WordPressのテンプレート階層に従ってさまざまなページタイプを扱う
ブロックテーマやページビルダーを使用している場合は、Figmaのレイアウトを反映したテンプレートと再利用可能なセクションを作成します。
3. グローバルスタイルを設定する
グローバルスタイルを使用して、Figmaのデザインの仕様に合わせます。これには、以下のようなものが含まれます。
- フォント、サイズ、行の高さ
- 正確なカラーコード
- サイト全体の間隔と一貫したマージンおよびパディング
WordPressでは、これらの設定は、セットアップに応じて、サイトエディターまたはビルダーのグローバルデザインパネルを使用して構成することができます。
4. レイアウトの再作成
ブロック、パターン、またはコードを使用して、デザインに基づいて各ページを再構築します。ホバー、フォーカス、アクティブなどの要素の状態に注意してください。また、すべてのスペーシング、アライメント、構造が元のデザインと一致していることを再確認してください。
5. 手動で応答性をテストする
Figmaでは、要素が実際のデバイスでどのように動作するかが示されない場合があります。モバイル、タブレット、PCなど、複数のブレイクポイントでサイトをテストし、必要に応じて微調整してください。
Chromeの開発者ツールなどが使えますが、実際のデバイスでも確認するのがベストです。
6. パフォーマンスとSEOの最適化
最終的なビルドが完了したら以下を行います。
- 画像アセットを圧縮する
- サードパーティのスクリプトを最小限に抑える
- 見出しタグを適切に使用する
- メタディスクリプションを追加する
- YoastやRank MathのようなSEOプラグインをインストールする
- GTmetrixのようなツールでパフォーマンステストを実行する
この方法には手間がかかりますが、最終的にはデザインしたとおりの外観と機能でサイトを再現できます。また、うまく構築できれば、長期的なメンテナンス、拡張、最適化が容易になります。
方法3. FigmaからWordPressへの移行・開発サービスを利用する
FigmaからWordPressへの変換プロセスを自分で管理する時間、スキル、チームが存在しない場合は、FigmaからWordPressへの変換代行サービスを利用することもできます。これにより、静的なデザインを完全に機能するサイトに変えることができ、試行錯誤に費やす時間(ともすると数週間)を節約可能です。
このようなサービスのほとんどは、以下の流れに沿って提供されます。
- デザインレビュー:まず、ページレイアウト、タイポグラフィ、コンポーネント、スタイルガイドの文書など、Figmaファイルの確認が行われます。
- 戦略の提案:デザインをWordPressに取り込むための最適なアプローチが提案されます。完全なカスタムテーマなのか、ブロックベースのレイアウトなのか、あるいは両方のハイブリッドなのかは、状況次第です。また、デザインの最適化や、パフォーマンスやレスポンス、アクセシビリティを向上させるためのレイアウトの微調整が提案されることもあります。
- 開発:開発者により、デザインがコードに変換されます。つまり、レスポンシブな動作の追加、SEOのベストプラクティスへの対応、アクセシビリティ基準の準拠、アセットの最適化、現在のテーマやプラグインとの互換性の確保などをここで行います。
すべてが完了すると、きれいなコード、一貫性のあるスタイル、そしてFigmaで思い描いたものと一致するユーザー体験が得られます。
Kinstaでは、まさにこのモデルに従っています。すべての新しいページや再設計は、Figmaのプロトタイプから始まります。デザインチームと開発チームが、プロセス全体を通して肩を並べて作業を進めることで、Figmaで作成したデザインがWordPressに組み込まれ、狙い通りのパフォーマンス、レスポンシブ性、保守性が実現します。
また、フリーランサー、Web制作会社、変換・開発サービスなど、FigmaからWordPressへの移行作業を専門とする開発パートナーを探すこともできます。
料金はプロジェクトの複雑さによって異なりますが、予算に余裕があれば、プロに依頼することで安心を手に入れられます。洗練されたデザインから実際に訪問者に提供できるサイトの完成まで、最短で到達する方法です。
まとめ
Figmaのデザインを実際のWordPressサイトに変換するプロセスは、一律ではありません。スピードが重要でデザインがシンプルな場合は、プラグインを使用することで効率化できます。完全なコントロールと精度を求めるなら、手作業での再構築が最適です。また、時間や専門知識が限られている場合は、プロに依頼することでデザインを確実にコードに反映させることができます。
Kinstaでは、毎日このような作業を行っています。すべてのサイトやページのリデザインがFigmaで始まり、パフォーマンス、ユーザビリティ、スケーラビリティを念頭に置いて、WordPressにシームレスに移行します。
Figmaで設計したサイトで高い安全性とパフォーマンスを確保するには、Kinsta のWordPress専用マネージドクラウドサーバーがおすすめです。