オンラインストアを拡大する準備は万全ですか?野心的で起業家気質の方なら、どのプラットフォームがビジネスの成長に最適か気になるはず。しかし、急速に進化しがちなWeb系企業の場合、ただ単に事業が拡大すればいいというわけではありません。
WooCommerceは、経営者の間で評価され、広く普及しているプラットフォームです。WooCommerceを使えば、拡張性に優れたオンラインストアを構築することができます。そして、ベストプラクティスを採用することで、WordPressサイトのあらゆる要素をレベルアップすることが可能になります。
この記事では、WooCommerceストアとEC事業のスケールアップの基本をご説明していきます。その後、WooCommerceの優れた拡張性に触れ、オンラインストアをスムーズに成長させる6つのテクニックをご紹介します。それでは、早速始めましょう!
WooCommerceとは
WooCommerceは、オンラインストアを構築するためのWordPressプラグインです。現在でも500万以上のインストール数を誇り、ウェブ上で最も人気のあるECサイト構築ツールの1つです。
WooCommerceを使えば、簡単にオンラインストアを立ち上げることができます。その理由には、WordPressのすでにデザインされたテーマを利用できることが挙げられます。ブログやポートフォリオなどのクリエイティブな用途に適したテーマもありますが、オンラインショップに特化したものも豊富に用意されています。
例えば、「Storefront」テーマには、ショップ、カート、決済ページなど、ECサイトに欠かせないページが用意されています。
さらに、決済方法、ラベル印刷、税金計算など、オンラインビジネスの運営に必要な機能も豊富に搭載されています。
また、Mailchimpのような統合型のメールマーケティングサービスから、Google アナリティクスのような高度な分析ツールまで、コンバージョン率の向上に役立つ様々なアドオンも利用可能です。
WooCommerceは、大規模なオンラインショップにも有用です。商品を一括アップロードすることができるため、作業効率を大幅に上げることができます。
このような特徴から、WooCommerceを使用すれば、オンラインストアを効率的に成長させることができます。また、自動的に在庫を追跡して更新する機能ももう1つの魅力です。さらに、WooCommerceは、WordPressの管理画面でほぼすべての設定を行うことができます。
スケーラビリティとは
オンラインビジネスを開設し、成功させるためには、スケーラビリティ(拡張性)について理解しておきましょう。スケーラビリティとは、同じレベルのパフォーマンスを維持しながら、需要の増加に対応するシステムの可能性を意味します。
つまり、高いスケーラビリティがあれば、安全かつ着実にビジネスを成長させることができるということです。逆に、スケーラビリティがなければ、納期遅れやカスタマーサポートの質の低下といった問題が発生します。
ある調査によれば、20%のビジネスが1年間のうちに廃業してしまうと言われています。そしてその原因としてよく上位に挙げられるのは、ビジネスの急成長です。
事業が成長するにつれて無理な負担が生じれば、事業全体が危険にさらされます。したがって、高いスケーラビリティを持つビジネスの土台作りは非常に重要です。
サプライチェーンはこれに欠かせない要素の1つですが、通例、自分で管理することができない領域です。そのため、EC事業の拡大にベストな方法は、需要の増加に対応できる強力なサイト作りです。
WooCommerceのスケーラビリティ
WooCommerceは、抜群のスケーラビリティを持っています。まず第一に、商品の登録数と1日の注文数は無制限。つまり、注文数が急増することを心配せず、気軽に商品数を増やすことができます。
WooCommerceストアの成功例として、Mint Mobileをみてみましょう。
Aftershipによると、Mint Mobileには毎月200万以上のアクセス数を誇ります。Mint Mobileのウェブページを見ると、料金プランやスマートフォン本体など、数々の商品を取り扱っていることがわかります。
WooCommerceのスケーリングに関するよくある質問では、事業に合わせて適切にスケールアップするためには、どのような要因が重要なのかが説明されています。以下、主要な要因を押さえておきましょう。
- トラフィック─WooCommerceストアのスケーラビリティにおいて、最も重要な要素の1つ。サイトは一度に大量のアクセス数を処理できなくてはいけません。また、個々のページや特定の時間帯(販促イベントなど)に予期せぬトラフィックの急増があっても対応できる必要があります。
- WooCommerceのコード─幸い、WooCommerceは効率性を重視して設計されています。パフォーマンスを高め、拡張性を確保するため、開発チームによって常に最適化されています。
- その他のシステムコード─ストアのパフォーマンスは、テーマやプラグインなど、他の要素のコードに影響される可能性があるため、ツールの選択は慎重に。パフォーマンスの最適化が期待できるクリーンで効率的なコードで設計されたプラグインを使いましょう。
- サーバーハードウェア─WooCommerceのスケーラビリティを高めるには、高性能なサーバーが鍵。リソースが限られたサーバーでは、高トラフィックに対応することができません。
上記に挙げた要因は、WooCommerceプラグインによって決まるものだけではないことにお気づきでしょうか。そう、スケーラビリティの確保は、あなた次第ということです。
一般的なEC事業の成長アプローチ
WooCommerceストアを効果的に拡張するコツをご説明する前に、世界でよくみられるオンラインビジネス拡大に向けたアプローチの方法をご紹介します。
ブートストラップ
この言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれません。ブートストラップという言葉は、「自分で(ブーツの)靴紐を引き上げる」という格言に由来しており、つまり、人の助けを借りずに企業が自力でゆっくりと成長していくアプローチです。
一般的には、無理なく持続可能な範囲で事業を拡大していく戦略と考えられています。そのため、時には倹約的で質素なアプローチと捉えられることも。ブートストラップのテクニックとしては、知名度を上げるために無料サンプルを提供したり、顧客ロイヤリティを高めるためにポイントプログラムを実施したりなどが挙げられます。
SNSは時間をかけて事業が徐々に成長・拡大するのに格好のプラットフォームです。その特性から、ブートストラップ型の事業は、SNS上で強いプレゼンスを確立できる傾向にあります。
スロースケーリング
スロースケーリングとは、その名から推測できる通り、ブートストラップと似ていますが、よりバランスが取れた戦略になります。
というのも、一般的には、小規模な事業が外部の第三者から資金援助を受けるというアプローチです。
そのため、融資やベンチャーキャピタルの一種と言えるかもしれません。
スロースケーリングは、安全で持続可能なアプローチと言われています。基本的には、ブートストラップと同じように自力で事業を成長させながら、外部からの支援も受け入れるという戦略です。デメリットとしては、他の企業からの資金援助を受け入れると、事業における決定権などを失う可能性があり、注意が必要です。
ファストスケーリングとブリッツスケーリング
ファストスケーリングとブリッツスケーリングは、最もリスクの高い成長戦略です。ファストスケーリングは、ベンチャーキャピタルの支援を受けている企業に最もよくみられるアプローチです。マーケティングチームやプロジェクトマネージャーを外部委託する場合もあります。
同様に、ブリッツスケーリングも成長を優先したスケーリング方法です。この戦略を採用する企業は、短期間で目覚ましいレベルの成長を遂げるのが通例です。
基本的に、この戦略は小規模なEC事業には適していません。しかし、ファストスケーリングやブリッツスケーリングの戦略を取れば、市場で競争力を持つレベルにまで成長させることが可能です。
WooCommerceストアを効率的にスケールアップする方法(6つのテクニック)
一般的なスケールアップの戦略については、もうお分かりいただけたかと思います。自分のビジネスにどの方法を採用するか、すでにアイデアが浮かんでいる方もいるかもしれません。どのようなアプローチを取るにせよ、事業拡大をサポートしてくれる強力なサイト作りは欠かせません。この章では、WooCommerceストアを効果的にスケールアップする方法をご紹介します。
1. 高性能サーバーを使用する
高性能のサーバーは、拡張性の高いWordPressサイトを構築する土台作りに便利です。サーバーは、ユーザーにウェブページを配信するために必要なリソースをサイトに提供する役割を担っています。
サーバーには、共用、専用、仮想専用(VPS)など、いくつかの種類があり、それぞれ異なるレベルのトラフィックに対応しています。Kinstaのような一部のサービスでは、マネージドWooCommerceホスティングを利用することができます。
KinstaのWooCommerceホスティングプランには、拡張性の高いインフラをサポートする強力なウェブサーバーを使用しています。さらに、操作性の高い専用コントロールパネル、MyKinstaでサイトとホスティングプランを簡単に管理することができます。
高機能なサーバーの利用は、サイトの高速化に効果的です。現在、安価で質の低いサーバーを使っている場合には、質の高いサーバーに切り替えることをお勧めします。Kinstaでは、サイトの移行サービスを無料でご利用いただけます。
2. コンテンツデリバリネットワーク(CDN)を使用する
ECサイトを常時円滑に運営するためには、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)の存在が欠かせません。CDNとは、一言で言えば、様々な場所に分散配置された複数のウェブサーバーを利用したネットワークです。
CDNを導入すると、ユーザーの最寄りにあるサーバーからコンテンツが配信されるようになり、ページの表示速度を上げることができます。
CDNといえば、まず最初に取り上げたいのはCloudflareです。
Cloudflareを利用すれば、アクセス数が増えるイベント時などにもサイトをスムーズに運営することができます。また、訪問者に優れたユーザー体験(UX)も提供可能。Kinstaのような一部のサーバーには、Cloudflare CDNが付帯します(Kinstaでは全プランで利用可能)。
3. 決済方法を慎重に選択する
注文を受けるECサイトの場合は、お客さんが利用できる決済方法をよく考えて設定しましょう。幸い、WooCommerceは多くの決済代行サービスと互換性があります。
WooCommerceの拡張機能ストアには、「Payments(支払い)」カテゴリに81のアドオンが用意されています。
WooCommerceには独自の決済システムもありますが、PayPal、Stripe、Amazon Pay、Squareなどの人気の決済代行サービスとも統合されており、主要なクレジットカード決済もすべて揃っています。
拡張性のあるビジネス確立のため、サードパーティの決済サービスに支払う手数料や料金が予算内に収まるかは事前に確認しておきましょう。その後で、決済方法の優先順位を決めましょう。
4. ソフトウェア、プラグイン、テーマを常に最新の状態にする
サイトをスムーズに運営するためには、さまざまな可動部分が必要です。そして、WooCommerceストアの事業を維持するためには、複数のツールの利用が必須になります。
WordPressのプラグインやテーマの多くは、定期的なアップデートが必要です。
WooCommerceは日々進化し続けており、定期的に更新が行われます。プラグインやテーマが最新でないと、サイトに問題が発生する可能性があります。
また、古いソフトウェアは、システムの非互換性につながり、パフォーマンスに影響することがあります。幸い、プラグインはWordPressの管理画面から簡単に更新することができます。
ただし、ECサイトでは機密情報を扱うため、データのバックアップを取り、ステージング環境で更新のテストを行ってから実装するのが得策。拡張性のあるサイトには、メンテナンスと更新の適切な戦略が不可欠です。
5. 定期的にパフォーマンステストを実行する
ECサイトが適切に動作しているかを確認するには、パフォーマンステストを行うのが一番。定期的にサイトの速度やページの読み込み時間などを確認しましょう。
その他の一般的なパフォーマンスに関する問題としては、CLS(累積レイアウトシフト)やインタラクティブ性の低下が挙げられます。Googleでは、Core Web Vitalsの評価において、この2つの要素が重視されています。スコアが低ければ、検索ランキングに悪影響を及ぼす可能性があります。
KinstaのAPMツールを使えば、ECサイトのパフォーマンスを監視することができます。
Kinsta APMは、WordPressサイトに特化したツールです。問題のあるプラグインやテーマを特定し、ツールの最適化などを提案します。
WooCommerceのスケーラビリティは、サイト全体のパフォーマンスにかかっています。サイト表示速度が速ければ、大量のトラフィックを処理することができ、その結果、検索結果で上位に表示されるようになります。
6. コンテンツを見直す
パフォーマンス監視ツールは、プラグインやテーマに関する問題を解決するのに役立ちますが、コンテンツが最適化されているかを見直すこともお忘れなく。
例えば、すべての画像ファイルが圧縮されているか、商品ページがきちんと整理されているかなど、サイトの各ページを手作業で分析していきましょう。
とは言え、これはなかなか面倒な作業。幸いにも、Semrushのような検索エンジン最適化(SEO)ツールを使用すれば、この作業を簡略化することができます。
このツールにはサイト監査機能があり、問題のあるコンテンツを検出してくれます。例えば、問題のあるリダイレクト、読み込みの遅いページ、重複したコンテンツ、リンク切れなど。
まとめ
オンラインストアの開設は、最初から抜かりなく計画したいものです。EC事業は、消費者の需要に応じて持続的にスケールアップができるように備えておくことが重要です。予め準備しておけば、ビジネスの成長に伴うコンバージョンやトラフィックの増加に無理なく対応できます。
最後に、WooCommerceストアのスケーラビリティを高める6つの方法をもう一度おさらいしましょう。
- 高性能サーバーを使用する
- コンテンツデリバリネットワーク(CDN)を使用する
- 決済方法を慎重に選択する
- ソフトウェア、プラグイン、テーマを常に最新の状態にする
- 定期的なパフォーマンステストを実行する
- コンテンツを見直す
WooCommerceのスケーラビリティについてご不明点はございますか?以下のコメント欄でぜひお聞かせください!
コメントを残す