オンラインストアを所有するなら、適切なホスティングサービス(レンタルサーバー)を利用することは非常に重要です。低いパフォーマンス、不十分なセキュリティ、管理の行き届いていないウェブサーバーによって、ビジネスが台無しになってしまうことはよくあります。
では、優れたECサイト用ホスティングの条件とは何でしょうか。今回は、オンラインショップを運営している方向けに、ホスティングサービスに求めるべき重要な条件をまとめてみます。
早速本題に入りましょう。
ECサイト用ホスティングとは
すべてのECストアになんらかのかたちでのウェブホスティングが必要です。ホスティング会社にサーバーを借りてサイトをインターネットに接続することで、ユーザーがサイトを訪問できるようになります。
つまり、他のサイトが使用していないサーバースペースの権利を購入し、サーバーの安全性と最適化を専門とするホスティング会社からサービスを受けることになります。
ホスティングにはさまざまな種類があり、ベースとなるハードウェアの名前がついているものもあれば、独自の機能を備えた特別なプランもあります。
ECサイト用ホスティングは、そんなホスティングの1つです。
ECサイト向けホスティングは、ECサイトの要件に合わせて調整され、ECサイトに役立つ機能を提供しています。無料のSSL暗号化、支払いゲートウェイの設定サポート、高度なセキュリティ、トラフィック急増時のスケーリングなどがその一例です。
WooCommerceホスティングはECサイト用ホスティングの一種で、一般的なECサイト向け機能に加えて、WooCommerceプラグインを実行するために最適化されたサーバー環境が用意されています。
KinstaのWooCommerceホスティングでは、WooCommerceに最適化されたキャッシュ、専任スタッフによるストア移管作業、WooCommerceに精通したプロによるカスタマーサポートなどを利用することができます。
ECサイト用ホスティングの種類
ホスティングにはいくつかの種類があり、それぞれサーバーのハードウェアと設定が異なります。従来一般的なのは共用、VPS、専用サーバーの3つの種類。
共用サーバーは最も下位の選択肢で、新興企業や個人サイトに適しています。通常非常に安価な分、速度が遅く、他のサイトとサーバースペースを共有するという代償があります。他に選択肢がない状況を除き、ECサイトには適していません。
VPSは仮想専用サーバーの略で、共用サーバー同様他のサイトとマシンを共有しますが、リソースは分離されます。専用サーバーは、自社サイトだけのプライベートな物理サーバーを利用できる上位の選択肢で、その分高額になります。VPSサーバーと専用サーバーはどちらもECサイトに適していますが、さらに良い選択肢があります。
クラウドホスティングは、ECサイトでは一般的な「サーバー環境がすぐに手狭になる」という課題を解決してくれる人気のソリューション。拡張性に優れ、いつでもリソースを追加したり削除したりすることができます。また、スタートアップでも利用できるような手頃な価格が設定されています。
成長中のECサイトにとっては、クラウドホスティングがほぼ間違いなく必要になるインフラです。
また別のカテゴリとして、ホスティングにはマネージドと非マネージド(アンマネージド)があります。
非マネージドホスティングは、比較的安価ですが、サーバーのセットアップと構成、セキュリティ、継続的なメンテナンスはすべて自社で行わなければなりません。基本的には、単にサーバーの権利を購入するだけになります。
マネージドホスティングでは、セットアップ、構成、セキュリティ、メンテナンス、サポート、更新など、必要な全てが揃っており、ストアの運営と保守管理をサポートしてくれます。
いずれにしても、ECサイトを運営するのであれば、クラウドホスティングを利用するのが賢明です。
ECサイト用ホスティング選びで気をつけたい8つの要素
真に優れたECサイト用ホスティングには、共通する特徴や機能があります。オンラインストア用にホスティングサービスを探す際には、指標として以下の要素に注目してみてください。
1. 高パフォーマンス
特にECサイトでは、何より高速かつ信頼性の高いホスティングを利用してください。読み込み時間が3秒を超えると、57%の消費者がサイトを離脱し、そのうちの80%は二度と戻ってくることがないと言われています。低速なECサイトは、かなりの潜在利益を失うことになります。
共用サーバーの欠点は低速であること、そしてサイトが頻繁にダウンすることにあり、ECにとっては致命的です。また、信頼性に欠けるインフラを提供しているレンタルサーバーもあり、速度の低下やクラッシュを引き起こすことがあるため、ホスティングサービスは慎重に選択してください。
ホスティング会社はこぞって、最速で優れたサービスであると謳っているため、独自の調査が必要です。例えば、Hosting Factsのようなサイトでは、堅実な判断材料になる稼働率とPingデータを閲覧することができます。ちなみに、Hosting FactsはKinstaのホスティングサービスを利用しています。同サイトでは、WordPressホスティングについての比較データが掲載されています。例えば以下の通りです。
また、CDNの有無も見逃せません。CDNとは、広範囲に分散したサーバーのネットワークであり、Cloudflareのような人気のものであれば、世界各地にPOPが設置されています。メインサーバーから物理的に遠く離れたユーザーがサイトにアクセスしようとすると、そのユーザーに最も近いCDNサーバーにルーティングされるため、サイトの表示速度が劇的に上がります。
ECサイトには、何か問題が発生した際に直ちに通知を受け取ることができる、パフォーマンスと稼働率の監視も必要です。サーバーがダウンしたり、すべてが低速になったりした場合は、すぐに対処できることが重要です。
Kinstaでは、2分ごとにサイトの稼働状況監視が行われ、問題が検出されると通知を送信しています。優れたマネージドホスティングには、このような機能が付帯されているものです。
またKinstaは、ネットワーク上のすべてのサイトのパフォーマンスを最大200%向上させました。Google Cloud Platformの最速サーバーであるC2仮想マシンによって、WordPressサイトのフロントエンドとバックエンド両方で速度が大幅に向上しました。C2マシンの導入後、異なるパラメータでテストを行ったところ、WooCommerceサイトでキャッシュをバイパスしたパフォーマンステストでは、4倍近く高速化されることがわかりました。
C2マシンに移行したことで、Kinstaの顧客サイトは、大幅に速度が向上しています。あるサイトでは、即座に100%のパフォーマンス向上が見られました。
規模を問わず、サイトのパフォーマンスを最大化したい場合は、Kinstaの利用を検討してみてください。
2. 帯域幅とファイルストレージ
ECサイトは大量のリソースが必要になり、トラフィックも最も多い傾向にあるウェブサイトです。多額の超過料金を支払うことにならないよう、リソースを十分に確保できるかを確認しましょう。
画像はサイトデザインにおいて重要であり、通常多くの画像を使用することになります。特にECサイトでは、商品ごとに複数の高解像度画像をアップロードしなければならず、扱う商品が増えるにつれ、一瞬でファイル容量が底をつくことも。
Kinstaでは、プランに応じて月間訪問数とディスク容量に上限を設けていますが、帯域幅に制限はありません。
3. スケーラビリティ
時間の経過とともに安定して成長する一般的なウェブサイトとは異なり、ECサイトのトラフィックには波があり、特に予測することができません。例えば、祝祭日にはトラフィックが急増し、アクセスが突然集中する傾向にあります。ビジネスに応じて拡張可能なリソースを提供してくれるホスティングサービスを選びましょう。
Kinstaでは、Single 35kからWP 150プランまでのすべてのプランで、CPU使用量の最大化が可能です。追加のリソースが必要になる状況でも、サイトがダウンすることなく、より上位のプランにすぐにスケールアップすることができます。新春セールのような規模のアクセス数が予想されるサイトには、高性能の専用サーバーも提供しています。
また、ECサイトには、CPUやRAMなどのリソースを臨機応変に追加できるのが理想的です。クラウドホスティングは、プランをアップグレードしたり、よりサーバーリソースを強化したりすることができます。
物理的なVPSサーバーや専用サーバーの場合、アップグレードするには別のサーバーに移行したり、より強力なハードウェアを自分でインストールしたりする必要があり、費用が発生する可能性があります。その点、クラウドホスティングでのプランのアップグレードは安価です。
4. 手厚いカスタマーサポート
新規サイトでは、さまざまな問題やエラーが発生するもの。もしカスタマーサポートの対応が遅ければ、サイトが何時間もダウンしたままの状態になってしまう可能性があります。カスタマーサポートは、いつでもすぐに対応してくれて、丁寧で親切であることが重要です。
サポートスタッフは、経験を積み、知識豊富な開発者で構成されているのが理想的です。ホスティング会社のインフラとサーバーがうまく構築され、高い稼働率を保証している場合は、優れたテクニカルサポートを提供してくれる良い兆候です。
サイト内で発生したエラーについては、通常であればサポートを受けることはできませんが、サーバー側で発生したものについては、対処してもらえます。Kinstaでは、サイトのコード内のすべての問題を修正することはできませんが、問題の特定と速やかな解決をお手伝いしています。以外にも、問題解決のサポートすらしてくれないホスティング会社は多数存在します。
サーバーの問題は、いつ何時でも起こり得ます。したがって、24時間年中無休でカスタマーサポートを利用できるかどうかも重要です。もしサイトがダウンしているという通知を受け取ったら、すぐに解決しなければなりません。トラフィックを失ったり、明け方に起きてサイトを修復したりすることは、できる限り避けたいものです。
5. 堅牢なセキュリティ
ECサイトは、買い物客のクレジットカード情報、Paypalや銀行のパスワード、フルネームや住所など、機密性の高いデータを保護しているため、ハッカーの標的になることが多々あります。
安全性に欠けるオンラインストアはハッキングされやすく、新興企業は重要なデータを適切に保管する方法を理解していない傾向にあります。ウェブサイトは適切に保護することが重要です。
コードの保守管理については、自社の開発チームに責任がありますが、ハッキングの多くは、ホスティング会社側の脆弱性が原因で起こります。サーバーのコードに欠陥があると、悪意のあるユーザーがその隙をついてサイトに侵入し、ユーザーの個人情報を盗用したり、サーバーを介して送信されるパスワードを記録したり、ユーザーを標的にしたマルウェアをサイトに配置したりすることができます。
このようなセキュリティの重要性を理解しているサービスを選びましょう。ハッキング無料対処などのようなセキュリティ保証がない場合は要注意。ハッキングされても、何の対処もしてくれない可能性があります。
Kinstaは、セキュリティを非常に重要視し、サイバー攻撃を未然に防ぐ対策を積極的に講じています。ファイアウォールの実装により、不正なソフトウェアが隙間から侵入するのを防ぎ、厳重にサイトを保護。また、未知のサービスのXML-RPCへのアクセスをブロックし、wp-content/uploadsなどの機密領域でコードを実行できないようにしています。
サーバーにはGoogle Cloud Platformを採用し、クラウド業界屈指のプロバイダーによる一流のセキュリティを提供しています。
24時間行われる監視およびスキャンサービスは、サイトに侵入するマルウェアの特定に不可欠。さらに、万が一マルウェアに感染しても、無料のマルウェア検出と除去サービスを無料提供しています。
DDoS攻撃は、ECサイトで一般的に見られる脅威で、一度に何千ものコンピュータによって実行され、瞬時にサイトをダウンさせることができます。優れたホスティング会社は、DDoS攻撃を検出しブロックしてくれます。
また、オンラインストアを運営している以上、SSL証明書を導入し、機密性の高いユーザーの入力データの送受信を暗号化しなければなりません。SSL証明書がなければ、フォームに入力された個人情報など、サイトからサーバーに送られるすべてのデータを第三者が覗くことができてしまいます。SSLを無料提供しているホスティングサービスは良い選択肢です。
6. WooCommerce統合
WordPressでECサイトを立ち上げるなら、高確率でWooCommerceを使用することになります。しかし、すべてのホスティングプランがWooCommerceと互換性があるわけではないことにも注意が必要です。最初は特に問題がなくても、例えばWooCommerce専用のキャッシュなどの高度な機能がなく、後々サイトがうまく動作しなくなる可能性も。
WordPressは人気が高いことを踏まえれば、優れたホスティングサービスは、WooCommerceに特化したホスティングプランを提供しているはずです。
また、ECサイトのホスティング選びで注目したい見落とされがちな重要な要素は、PCIコンプライアンス。PCIは、Payment Card Industryの略で、セキュリティが不十分なためにサイトからユーザーデータが流出しないようにするためのセキュリティ基準です。クレジットカード情報を取得するすべてのサイトは、PCIに準拠していなければなりません。
サイトの安全性の確保には多くの作業が必要になるため、ホスティング会社がこのPCI準拠を保証することは不可能です。しかし、SSL証明書の提供やファイアウォールによるサーバーの保護、そして強力なサーバーインフラを構築することで、そのプロセスを簡素化することはできます。
PCI監査を行うかどうかは任意ですが、優れたホスティングはサイトを保護し、PCI準拠にするために必要になるあらゆる調整をサポートしてくれます。
7. 自動バックアップ
ECサイトにとって、バックアップがいかに重要であるかは語り尽くせません。データの自動バックアップは必須機能です。重要なストアとデータベースファイルを保護するために、毎日、毎週、場合によっては1時間ごとに、しっかりとしたバックアップシステムを導入しなければなりません。
特にWordPressを使用している場合は、誤って重要な設定を変更してしまうことがあり、それによってサイトがダウンしたり、データベースが破損してしまったりする可能性があります。
最近のバックアップがなければ、サイトを復旧するために多くの時間と労力を費やさなければなりません。最悪の場合、取り返しのつかない状態になってしまうことも。十分なバックアップ機能を提供してくれるホスティングプランを選べば、安心してビジネスを展開することができます。
Kinstaでは、ウェブサイト、データベース、ファイル、さらにNginxのルールを毎日自動的にバックアップしています。バックアップデータは、プランに応じて14日〜30日保存されます。
さらに、手動でバックアップを作成したい場合には、1週間に一度サイトのバックアップをダウンロードすることができます。また、さらに頻繁にバックアップが必要になる場合は、1時間ごとのバックアップアドオンを購入し、万が一災害が発生した場合でも、最大限のセキュリティを確保し、損失を最小限に抑えることができます。
データの安全性は、通常ホスティング会社が最優先事項の一つとして扱うべき要素です。優れたインフラ、自動バックアップ、常時監視によって、災害を防ぎ、サイトを安全に運営することができます。
8. 開発者向けの環境
開発者として高度なホスティングプランをお探しの場合、ホスティング会社は限定される可能性があります。というのも、多くが初心者が重要なファイルをいじってサイト全体が壊れてしまうことを懸念しているためです。
しかし、WordPressのコアファイルを編集したり、WP-CLIやGitなどのツールをセットアップしたり、PHPのバージョンを更新したりする必要がある場合は厄介です。
Kinstaは、お客様を信頼し、開発者向けの高度な機能をすべてのプランで提供しています。
ステージング環境の作成、サイトの複製、WP-CLIの使用、Gitのセットアップ、SSH接続など、必要な機能がすべて揃っており、どれもサポートに問い合わせることなく自由に利用することができます。
Kinstaのインフラストラクチャに関する詳細はこちらでご紹介しています。
まとめ
多くのウェブサイトが、読み込みの遅さ、セキュリティの低さ、そして質の低いカスタマーサポートという共通の問題に悩んでいます。一般的な共用サーバーから始めるのは安価で良い選択肢と思われますが、収益に悪影響を及ぼすようであれば意味がありません。
ECサイト用にホスティングサービスを探す際には、ビジネスの要件に応じて拡張でき、質の高い機能を手頃なプランで提供しているものを選びましょう。
理想のWordPressホスティングを何年も探し求めた結果、ようやくWooCommerceストア特有の要件を真に理解するサービスに出会えました。Kinstaは、他の追随を許さないサポートとサービスを備えた業界最高水準のプラットフォームを提供し、WooCommerceストアに最適化されたスタックを持っています。WooCommerceストアを成功させるなら、Kinstaが答えです。(和訳)
マネージドホスティングは、高価なソリューションと思われがちですが、複雑な側面をすべて一任することができ、日々の業務を楽にするさまざまなツールや機能を利用することができます。
オンラインストアを真剣に運営しているのであれば、マネージドホスティングに投資する価値は十分にあるでしょう。Kinstaのマネージドクラウドホスティングソリューションを是非ご確認ください。ECサイトの立ち上げを後押しするさまざまなプランをご用意しています。
ECサイト用ホスティングに最も重要な要素は何だと思いますか?以下のコメント欄でぜひお聞かせください。
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