サイトが検索結果に表示されなくなったり、突然アクセス数が急激に減少したりする事態は、誰しも避けたいもの。このような問題に直面した場合は、すぐにその原因を追求し、解決策を講じたいところです。原因はさまざまで、コンテンツの質が低いこともあれば、Googleペナルティーを受けている、サイト上に技術的な問題がある、アルゴリズムの変更、あるいは単に競合サイトに負けている、ということもあり得ます。
実は私たちKinstaもこのような問題に遭遇した経験があり、それまでに経験した問題の中でも特に厄介なものでした。そこで今回の記事では、同じような問題に直面している方のお役に立てるよう、私たちの経験をご紹介しながら、検索順位が下がる原因を特定する方法を見ていきます。Kinstaのウェブサイト(kinsta.com)の最新コンテンツが一切検索結果に表示されなくなったことに気がつくまでの経緯、そしてどのように解決したかを詳しく見ていきます。
Kinstaが経験したSEOの問題
Googleは決して全知全能ではなく、一般企業と同じように、時には間違いを起こすことがあります。検索結果(SERP)とそのアルゴリズムについても例外ではありません。以前のアルゴリズムの不備を修正するために、新たにアルゴリズムを展開することもあります。
Kinstaの一部スタッフは、長年SEOに携わり、この流入チャネルに注力しています。そのため、あらゆる問題に対処してきましたが、今回ご紹介する問題は、ずば抜けて厄介なものでした。結論から言うと、原因はGoogle側の不備にあったのですが、問題解決にあたって、手探りで対策を講じなければなりませんでした。
平均検索順位の低下
他の記事でもご紹介していますが、Kinstaでは検索結果でのコンテンツマーケティングの成果の監視にAccurankerを利用しています。私たちは日々たくさんのコンテンツを公開しており、データも定期的に確認しています。2018年1月24日、サイト全体の平均検索結果順位が著しく下がっていることに気がつきました。
備考)キーワードの検索結果順位の監視は非常に重要です。Google Search Consoleのデータ反映には時差があり、Google アナリティクスではこのような問題解決は容易ではありません。その点、Accurankerでは、管理画面を一目見るだけでサイト上の問題をすぐに検出することができます。検索順位が下がっているコンテンツを個別に特定し、更新や改善を行うことができます。
キーワード全体の順位を確認したところ、特に目立った問題は見当たりませんでした。したがって、「新たに追加したコンテンツに関連している」問題と仮定し調査を行ったところ、比較的新しい記事の検索順位が「0」となっていることがわかりました。もちろん、すべての記事がすぐにGoogle検索の1ページ目に表示されるわけではありませんが、たとえ200位以下であったとしても、何かしらの順位が付くのが通例です。「0」という順位は、明らかに何らかの問題が生じています。
検索順位が推移するペースは、サイトごとに異なり、クロール頻度などの要因によって変動します。サイトで定期的に記事を投稿している方は、検索エンジンがコンテンツをインデックスに登録し、検索順位に反映されるまでに、どの程度の時間がかかるかは大体予想がつくはず。
各記事のキーワード検索順位を確認
Accurankerのおかげで、この問題が発生した具体的な日付を特定することができたため、Ahrefsを使って、その日付の前後に公開したブログ記事を確認してみることにしました。Ahrefsでは、特定のページやURLを素早くスキャンし、実際にトラフィック流入につながっているキーワードを分析することができます。ちなみに、Google Search Consoleでも同じことができますが、Ahrefsほど高速ではありません。
約1ヶ月分遡り、すべての記事のキーワード順位をスプレッドシートにまとめ、パターンを特定します。私たちの場合は、これが効果的でした。以下のように、私たちの記事は、1件につき50〜1,000個のキーワードがヒットするのが通例。ところが2018年1月26日以降の記事には、該当キーワードが一切ありませんでした。これは単に検索順位が下がったという話ではなく、どのキーワードからも流入がないことを意味します。
ほとんどはブログ記事でしたが、中には英語で2,600単語ある最新のランディングページまで含まれていました。ランティングページは、内部リンク構造やフッターのリンクが豊富で、ドメインオーソリティが高いことから、通常であれば他のコンテンツよりも早く検索結果に表示されるはずです。
また、上のスクリーンショットからも分かるように、インデックスは完了しています。GoogleによってURLは問題なく確認されているにもかかわらず、検索結果には一切反映されていないという状況です。次のように、URLの前にsite:
パラメータをつけてGoogleで検索することで、そのページがインデックスされているかどうかを確認することができます。
site:kinsta.com/blog/best-seo-plugins-for-wordpress/
URLが検索結果に表示されていたら、そのページがインデックスされていることを意味します。
4,000単語以上ある記事も含まれていたことから、何か根の深い問題があることが推測されました。何らかの理由で検索結果への表示がブロックされていることがわかり、他にも以下のようなことが判明しました。
- この問題は、最近公開したコンテンツでのみ発生している。他のコンテンツに影響はなく、これまで通りの順位で表示されており、中にはコンテンツの改善や更新で、該当キーワードが増えたページも。これまで全く発生したことのない現象。
- スペイン語版(kinsta.com/es/)の最近のコンテンツでもまったく同じ問題が見られる。
- 定期的なSEO監査の一環として、直近で既に多くのスパムドメインを拒否していた(ウェブスクレイピング対策に関する記事も公開しているほど)。そのため、被リンクに関して言えば、他のサイトよりもクリーンな状態であり、少なくとも3ヶ月前よりは改善しているはず。
- 問題が発生した日付に近い時期に行われた検索エンジンの更新は、12月中旬に実施されたGoogleのMaccabeesのみ。これが影響するのは、アフィリエイトサイト、キーワードを機械的に置換しただけのコンテンツを大量に公開する類いのサイトで、Kinstaのサイトはどちらにも該当しない。
- robots.txtファイルにも特に問題はなし。
手動による対策
Google Search Consoleで「検索トラフィック」>「手動による対策」を確認したところ、実施すべき手動による対策が表示されていました。これまで、このような趣旨のメールを受け取ったことも、「メッセージ」画面でそのような通知を受け取ったことはありませんでした。
おかしな点はこれだけでなく、手動による対策の対象となっていたのは「ハッキングされたサイト」と「悪質なスパム」。そして問題とされているサブドメインは、1年以上前に削除されたもの。この結果には、困惑してしまいました。
さらに、「手動による対策」レポートには、一切日付の記載がありません(これは一刻も早くGoogleに改善してもらいたいところ)。日付の記載がなければ、発生している検索順位に関する問題と関連があるかどうかを裏付けることができません。この時点で、最近公開したコンテンツのみに影響を与えているGoogleのアルゴリズムのバグである、ということしか分かりませんでした。
再審査リクエストの送信
提示された手動による対策は、存在しないサブドメインに対するものであったため、すぐに再審査リクエストを提出しました。この再審査リクエストの難点は、処理されるまでに数日、あるいは数週間かかるという点。その間、ただ待つことしかできません。
GoogleとSEOコミュニティへの相談
Googleがサイトの状況を確認してくれるのを待つ間、ただ待つわけにもいかず、GoogleとSEOコミュニティに相談することにしました。まずは、Google 検索セントラル のヘルプ コミュニティに投稿してみましたが、結果的に解決の手がかりを得ることはできませんでした。
それから、業界屈指のSEO企業に問い合わせ、このような問題に直面したことがあるか、解決のサポートを依頼できないかを確認しました。具体的には、以下の方々に連絡を取りました。
- Bill Slawski 氏─seobythesea.com|@bill_slawski
- Marie Haynes 氏─mariehaynes.com|@marie_haynes
- Cyrus Shepard 氏─cyrusshepard.com|@cyrusshepard
- Glenn Gabe 氏─gsqi.com|@glenngabe
- Dan Petrovic 氏─dejanseo.com.au|@dejanseo
- Barry Schwartz 氏─rustybrick.com|@rustybrick
- AJ Ghergich 氏─ghergich.com|@seo
- Alan Bleiweiss 氏─alanbleiweiss.com|@alanbleiweiss
- John Mueller 氏─@johnmu
このうちの何名かは忙しくて協力することができない旨の返答を受け取り、ユニークな回答をしてくれた方もいましたが、私たちの状況には当てはまりませんでした。
Glenn Gabe氏、AJ Ghergich氏、Cyrus Shepard氏からは、解決につながる非常に有益な助言をいただきました。時間を割いて親身に相談に乗ってくれた3名の方には、心から感謝しています(中には海外出張中に助言をくださった方まで)。この助言によって、「手動による対策」で発生している問題こそが原因であり、それ以外には特に以上はないということがわかりました。
結果的に、再審査リクエストの処理をただ待つだけで良いことがわかりました。
再申請リクエストの却下
…と安心したのも束の間、一筋縄ではいかないのがSEO関連の問題。2018年2月13日に送信した最初の再申請リクエストは、次の理由から2月23日に却下されてしまいました。
ハッキングされたページでサーバーエラー(5xxエラーなど)が発生しており、サイトを評価することができません。サーバーに問題が発生していないかどうか、ご利用のホスティング会社にお問い合わせください。サイトの修正後、弊社がアクセスできるようになり、ハッキングされたコンテンツが削除されたことを確認(4xxレスポンスを返す)した上で、改めて再審査リクエストを提出してください。(英語原文の日本語訳)
サブドメインは1年以上前から存在していないため、エラーが発生するのは当然のこと。また「ご利用のホスティング会社への問い合わせ」は何の助けにもなりません。KinstaはGoogle Cloud Platformと提携していますが、SEOの観点では他のユーザーと同じ立場であり、特別な優遇などは一切ありません。もちろん、これは検索順位の公平性を保つために重要なことです。
リクエストが却下された同日、より詳しい説明を添えて再び再審査リクエストを提出し、2月28日にようやく承認されました。再審査リクエストを送信する際は、却下されることのないよう、状況をできる限り詳細に説明することをおすすめします。
このように、再審査リクエストのプロセスはとてもスムーズとは言えません。何らかの理由で却下されてしまえばなおさらです。そもそも私たちの場合は、サブドメインが存在しなかったため、このような警告を受ける理由がありませんでした。おそらく何らかの理由で、数年前にGoogle側のシステムに問題が発生したと考えられます。
なお、このような事態を想定して、重要なプロジェクトや顧客のドメインは分けおくのが得策です。SEOに関しては、サブドメインがメインドメインに影響を与える可能性があるため、注意が必要です。マルウェアがサイトのSEOに与える影響について、Kinstaが日頃からお世話になっているGlenn Gabe氏が有益な記事(英語)を公開しています。
検索順位の回復
以上のような経緯で、2月24日付けで、1月26日以降に公開したコンテンツが検索結果に反映されるように。これは再審査リクエストに関する表示が消えた4日前に起こり、ほとんど間違いなくこれが原因であると考えられるものの、100%断言はできませんでした。これがSEOの厄介なところです。
各記事もそれぞれ確認しました。この作業も、Accurankerを利用すると非常にスムーズです。
この問題が、私たちがこれまで遭遇したものの中でも特に厄介だった理由は以下の通り。
- サイト全体ではなく、特定の日付以降の最近のコンテンツのみが影響を受けた。
- 手動による対策に関するメールやGoogle Search Console上でのメッセージは一切受け取っていなかった(それ以外のメールや通知は通常通り受信していた)。
- 「手動による対策」レポートには日付が記載されておらず、問題の特定が難航。Google側はこのデータを持っているため、早急に改善してほしいところ。
- 手動による対策の対象が、1年以上前から存在しないサブドメインだった。
- 初回の再審査リクエストが却下された理由が「ドメインが存在しない」ためであり、これではそもそも手動による対策の警告が表示される理由がわからない。
この問題は解決までに1ヶ月ほどかかり、このような状況にはしばらく陥りたくないものです。今回学んだことは、SEOには常に細心の注意を払うこと。この問題への取り組みによって、解決後、オーガニックトラフィックとキーワードが一気に向上したのは良い点でした。
検索順位が下がった時に確認すべきその他の要因
ここからは、サイトの検索順位が低下するその他の主な原因とその解決策をご紹介します。
テクニカルSEO関連の問題
サイト内部、外部のテクニカルSEOの問題を解決することは非常に重要です。例えば以下のようなさまざまな可能性が考えられます。
- コンテンツの文字数が少ない
- タイトルが長すぎる、または短すぎる
- メタディスクリプションが短すぎる─メタディスクリプションにこだわることで、検索結果でのCTR(クリック率)改善することができます。
- メタディスクリプションを設定していない(WordPressサイトにメタディスクリプションを追加する方法こちら)
- h1またはh2タグを設定していない
- titleタグが複数ある
- h1タグが複数ある
- リンク切れやリダイレクトの設定ミスで内部リンク、または外部リンクが存在しない
- OGP(オープングラフプロトコル)やTwitterカードなど、重要なソーシャルタギングが行われていない
- hreflangタグなど多言語サイト用のタグの設定ミス(リターンリンクが存在しない)
- 画像が破損している、またはサイズが大きすぎる
これには、サイト全体を一目で簡単に確認できる、Ahrefsなどのツールを用意しておくことをおすすめします。Ahrefsに導入されたサイト監査機能は非常にに便利です。また、SEMrushにも似たような機能があります。Googleも無料で利用できるChromeの拡張機能、LighthouseにベーシックなSEO監査機能を導入しています。
また、テクニカルSEOは、WordPressサイトのパフォーマンスにも大きな影響を与えます。これについては、Kinstaにお任せください。超高速WordPress専用マネージドホスティングをご利用いただくと、サイト全体の速度を瞬時に改善することができます。
スパムの疑いのある被リンク
SEOにおいて、被リンクはとても重要です。しかし、これは被リンク以外にも言えることですが、量より質。スパムの疑いのあるサイトから向けられたリンクが大量にある場合は、サイトに悪影響を及ぼす可能性があります。ネガティブSEOへの対処はこちらをご覧ください。また、併せてウェブスクレイピング対策に関する記事も役に立つはずです。Googleの否認ツールの使用方法についても触れています。
ペナルティー
アルゴリズムの更新によるペナルティーが発生していることも考えられます。Marie Haynes氏によるアルゴリズムのアップデート一覧を参照してください。検索順位の低下がアルゴリズムの更新によるものであれば、必ずしもサイトがペナルティーを受けたわけでなく、検索順位の調整の結果、他のサイトに順位を抜かされているだけの可能性もあります。
また、Google Search Essentialsのガイドラインに記載されている、以下のような手法は避けましょう。
- コンテンツの自動生成
- URLスキーム
- 独自のコンテンツがない
- クローキング
- 不正なリダイレクト
- 隠しテキストと隠しリンク
- 他人のコンテンツの無断掲載
- 誘導ページ
- アフィリエイトプログラムの乱用
- キーワードの詰め込み
- リッチスニペットと構造化データのマークアップの乱用
WordPressサイトがハッキングされている場合も、ペナルティーの対象となる場合があります。確実とは言えませんが、Googleのセーフブラウジング機能を使ってサイトを確認することができます。また通常であれば、Google Search Consoleの「検索トラフィック」>「手動による対策」画面に警告が表示され、メッセージを受信しているはずです。
この点も、私たちがサポートできる分野で、ハードウェアファイウォール、受動的および能動的なセキュリティ強化策を含め、データへの不正アクセスを防ぐための高度なセキュリティ機能を用意しています。さらに、WordPressサイトに対して、無料のハッキング対処サービスも提供しています。Kinstaのホスティングサービスに移行すれば、長期的に安心してサイトを運営できます。
質が低い、または不十分なコンテンツ
検索順位が継続的に低下し続けている場合は、単にコンテンツの質が低い、または不十分であるということもあり得ます。これを確認するには、記事のテーマをGoogleで検索し、同じテーマを扱う記事がどのくらい表示されるかを見てみましょう。例えば、「人気のウェディングフォトグラファー」というキーワードでランクインを目指し、画像が1、2枚を掲載した500単語程度の記事を公開しているとします。
検索結果の1番最初に表示されるウェブページを見ると、8,700単語で100枚以上の写真が掲載されていることがわかります。なおかつ、上位に表示されるのは、ドメインオーソリティが高く、アクセス数の多いサイトです。500単語の記事では、到底太刀打ちできません。また、質に関しても、上位に表示されている競合サイトと読みやすさを比較してみてください。ここまで、キーワードの検索順位についてあれこれとお話ししてきましたが、読者のことを第一に考えて記事を執筆することが何よりも大切です。
その他
他にも、以下のような点も確認してみてください。
- robots.txtファイルで、クロールがブロックされていないかを確認する。Google Search Consoleの「ブロックされたリソース」機能とrobots.txtテスターが便利です。
- Google Search Consoleに必ずサイトマップファイルを送信する。必須ではありませんが、Googleがサイトの構造をより理解しやすくなるよう、送信することが推奨されています。問題の原因特定に役立つデータもさらに得ることができます。
- Google Search Consoleのレポートデータをフル活用する。最大16ヶ月遡ってパターンを分析し、平均検索順位とその推移を簡単に確認できます。
- 常に被リンクの状態を監視する。質の高いサイトからの被リンクが外されていることで検索順位が下がっているかもしれません。誤ってドメインオーソリティの高い人気サイトからの被リンクをブロックしてしまっていることもあり得ます。
- GoogleのSEOガイドラインと業界のベストプラクティスに従う。トラフィックの減少やペナルティーのリスクを軽減につながります。
- AccurankerのGoogle Grump ratingや、Mozcastのレポートを利用して、検索順位に大きな変動がないかを監視する。Googleが新たなアルゴリズム導入しているかもしれません。
- Barracuda DigitalのPanguin Toolを活用し、サイトの検索順位の低下にアルゴリズムの変更が関係しているかどうかを確認する。
以上を確認しても、検索順位が低下している原因がわからない場合は、Aleyda Solis氏によるウェブトラフィック減少の原因チェックリスト(英語)も参考にしてみてください。
まとめ
SEOに関連した問題の原因を効果的に突き止めるには、Accuranker、Ahrefs、Google Search Consoleなどのツールが欠かせません。また、問題解決を手助けしてくれるSEOコミュニティにも注目してみてください。
多くの経営者にとって、オーガニックトラフィックは非常に重要です。とは言え、それだけに依存するのは危険であることも今回の教訓。Twitter、Pinterest、Linkedinでの宣伝、他のブロガーとのコラボレーション、アフィリエイトの実施、Google 広告なども活用しましょう。
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