複数のWordPressサイトを管理していると、インフラコストは単に拡大するだけでなく、急増すらする可能性があります。トラフィックの上昇、機能の展開、プロモーションやキャンペーンなどによって、使用量が急増する可能性があります。しっかりとした予測プランがなければ、急な対応に追われることになります。

そのため、当てずっぽうではなく、実際の使用量データに基づいて予算を立てることが賢明です。これを行うことで、将来のニーズを予測し、予想外の費用を回避し、長期的な成長につながるサーバープランを選択することができます。

この記事では、費用として把握すべきこと、適切な指標の追跡方法、過去のデータを予測に変換する方法を包括的にご説明します。

何がサーバーの費用を左右するのか

サーバーとインフラの費用予測は、コスト上昇の原因を理解することから始まります。これらは、単に定額で発生する費用ではありません。むしろ、サイトの機能、構築方法、サイト訪問者の行動などによって変化します。

信頼できるモデルを構築するために追跡すべき4つのカテゴリーが以下の通りです。

トラフィックと帯域幅

サイトを訪問するたびに、ページの読み込み、画像の取得、スクリプトの実行、プラグインとのやり取りなど、一連のリクエストが発生します。トラフィックが上昇するにつれ、リクエストは多くなり、帯域幅の使用量が増加します。これは、高解像度の画像や動画、動的コンテンツを提供するコンテンツ量の多いサイトやECサイトに特に当てはまります。

このようなアクセス急増は常に予測できるわけではありません。ブラックフライデーのプロモーションや、ブログ記事の人気(いわゆる「バズった」ときなど)、インフルエンサーの言及によって何千ものユーザーがアクセスするかもしれません。適切な計画を立てないと、こうしたピークがサーバーを圧迫したり、帯域幅の限界を超えたりする可能性があります。

これがどのように起こるかを説明するために、例を見てみましょう。

月平均10万人の訪問者がいるWooCommerceストアの場合、特定のシーズン次第で40万人にまでトラフィックが急増する可能性があります。このような急増は、帯域幅の需要を4倍に引き上げる可能性があり、負荷下でパフォーマンスを維持するためにPHPスレッドの追加が求められます。ストア管理者がトラフィックの増加を予測していなかった場合、超過料金が発生したり、最悪の場合、パフォーマンスが低下したりする可能性があります。どちらも適切な予測を行えば回避可能です。

リソース消費(CPU、RAM、PHPスレッド)

静的ウェブサイトとは異なり、多くのWordPressサイトは動的です。検索クエリ、パーソナライズされたコンテンツ、ショッピングカート、ログインユーザーセッションなど、サーバーサイドの処理が多く発生します。キャッシュされていないすべてのインタラクションは、サーバーリソース、特にCPUサイクル、メモリ(RAM)、および同時実行のワーカープロセスを消耗します。

パーソナライズを意識したサイトやプラグインを多用するサイトほど、実行コストは高くなります。サーバーサイドレンダリングや最適化されていないコードなどがインフラを圧迫し続けます。

例えば、WooCommerceElementorなどの分析スクリプトを実行しているサイトは、わずか50人の同時ユーザーで100%のCPU使用率に達する可能性もあります。サーバーキャッシュ(フルページキャッシュとも)を有効にすると、アクティブな処理要件を40%削減することができ、高いサーバーレベルを必要とすることなく、高速で安定したサイトを維持することができます。

ストレージとバックアップ

ストレージは「静かに」増えていくため、見落とされがちです。画像、ブログ記事、プラグイン、ユーザー生成ファイルなど、あらゆるファイルが蓄積します。また、バックアップは、特に毎日または1日に何度も保存される場合(うまく管理しないとなおのこと)あっという間に増えてしまいます。

頻繁にバックアップを取るのは良いことですが、古いバージョンをクリーンアップしたり、必要でないデータ(キャッシュファイルやログなど)を除外しなければ、同じコンテンツを繰り返し保存することになりかねません。

例えば会員制サイトなどがこれに該当します。ユーザーがプロフィールの写真やドキュメントをアップロードすれば、半年で簡単に50GBに到達し得ます。1日2回のバックアップと30日間の保存ポリシーなどがあれば、3TBのデータが保存されることも考えられるでしょう。

スケーラビリティの制限

平均的な使用量がプラン内にきちんと収まっていたとしても、特例によって問題が発生することもあります。CPUの上限に達した後、サーバー業者がパフォーマンスに制限をかけるかもしれません。自動で次の料金プランに切り替わるかもしれません。もしくは、使用容量(GB)あたり、またはユーザーセッションの追加ごとに課金されることもあります。

問題は費用だけではありません。優れた予測を行うためには、平均的な使用量だけでなく、ピーク時の需要やそれに対するサーバー側の対応も考慮する必要があります。

例えば、あるWeb制作会社のクライアントサイトが月間訪問者数のソフトキャップに達し、自動でプランがアップグレードされた結果、月額費用が40%増加したとします。特定のシーズンによるトラフィックの急増を想定して予算を組んでいれば、より効率的な料金体系を先手を打って選択したり、サイトパフォーマンスを最適化して制限内に収めることができたかもしれません。

これらの各コンポーネントが負荷の下でどのように振る舞うかを理解すれば、平均に基づく静的な仮定ではなく、実際の使用状況を反映した予測を立てることが非常に容易になります。

重要な過去データをどう見つけるか

正確な予測は正確なデータから始まります。異なる条件下でサイトがどのようにリソースを消費しているかの全体像が必要です。これには、日常的な使用量から予期せぬ急増まで含まれます。適切な測定基準によって、使用パターン、費用のトリガー、潜在的なネックが、問題になるずっと前に明らかになります。

有意義な履歴データの探し場所、各ソースから抽出する内容を説明します。

Kinstaの分析画面

Kinstaをご利用であれば、コントロールパネル「MyKinsta」で豊富なリソースデータをご覧いただけます。標準的なレンタルサーバーのレポートとは異なり、Kinstaの分析データは以下のような主要な指標を網羅しています。

  • サイトごとの訪問数
  • PHPスレッド使用量
  • ディスク容量の消費
  • CDN転送量
  • キャッシュのヒット(HIT)率/ミス(MISS)率
MyKinstaの「ダッシュボード」を選択して表示される「WordPressの分析」画面
MyKinstaでは大量の解析データが閲覧できる

この傾向を毎月追跡したり、日付ごとにチェックするなどして、サイトが限界を超え始めた時期を正確に特定することができます。プラグインのアップデートでCPUが急上昇したり、画像を多用したランディングページで帯域幅が跳ね上がったりした場合は、それに関するデータが分析画面に表示されます。

アクセス急増時のPHPスレッドの飽和にご注意ください。これは、動的なWordPressサイトで最も一般的なパフォーマンスの問題の1つです。

Google アナリティクス(GA4)

Google アナリティクス(実質的にはGA4)と使用状況データと重ね合わせ評価することをおすすめします。特に以下の点に注目してみてください。

  • 月間ユーザー数
  • セッションあたりのページビュー
  • セッション時間
  • トラフィック獲得ソース
  • トラフィックの多いページと直帰率

これにより、季節性と行動パターンを理解することができます。例えば、セッションが第4四半期に一貫して25%増加する場合、サーバー需要をモデル化し、それに応じて予算を立てることができます。

Google アナリティクス(GA4)の分析データ
Google アナリティクス (GA4)でセッション時間やトラフィック獲得などの詳細なデータを確認可能

また、これをサイト速度の指標と組み合わせることで、トラフィックがパフォーマンスの問題と相関するタイミングを特定することができます。

CDNとエッジデリバリログ(Cloudflare等)

CloudflareのようなCDNを使用している場合、そのログを使って、オリジンサーバーとエッジで処理されるトラフィック量をさらに明確にすることができます。この違いは、帯域幅とサーバー負荷を見積もる際に重要です。

注目すべき指標は以下の通りです。

  • キャッシュしたリクエストとキャッシュされていないリクエスト
  • オフロードされた総帯域幅
  • 脅威またはファイアウォールがトリガーとなったイベント
  • リクエストの地理的発生源

CDNにオフロードするトラフィックが多ければ多いほど、サーバーの処理量は減り、リソースの制限内にとどまることが容易になります。

稼働率とパフォーマンスの監視

PingdomNew Relicのようなツールを使えば、サイトがいつダウンしたか、負荷のもとでどのように動作したかが明らかになります。例えば、New Relicは、プラグインごとのメモリ使用量や遅いデータベースクエリを特定することができます。

Pingdom
PingdomでTTFBを追跡する

Pingdomは、トラフィック急増時のTTFBとページ表示速度の追跡に便利です。

このデータは、アクセス急増時の読み込み性能の低下、特定のプラグインやページに関連するパフォーマンスの問題、および最適化不足の真のコスト(速度と安定性)を分析する際に特に役立ちます。

請求額や履歴

請求書にも注目です。過去のお支払い情報から多くのことがわかります。予期せぬ費用の増加を特定できるよう、以下の点に注目してください。

  • 超過料金
  • プランのアップグレードまたはダウングレード
  • バックアップや追加ストレージなどのアドオン利用

例えば昨年12月にサーバー利用料が2倍になったのであれば、その理由を確認してください。ともすると帯域幅を超過しているかもしれません。気づかずに自動アップグレードや自動プラン切り替えが処理されている可能性もあります。そのデータは予測モデルに直接反映できるはずです。

収集したい情報

信頼できる予測を立てるには、トラフィックの傾向だけでなく、サイトの実際のパフォーマンスを反映した、一貫性のある月ごとのデータが必要になります。最低限、以下を追跡しましょう。

  • 月ごとのユニークビジター総数
  • セッションあたりの平均ページビュー
  • CPUとRAMの使用率
  • PHPスレッド負荷(利用可能な場合)
  • 総ストレージ使用量(サイトファイルとデータベース)
  • オフロードしたCDN転送量
  • 超過料金または自動アップグレード

これらの指標を長期的に追跡することで、特にプロモーション、コンテンツの宣伝、シーズンに関連する需要などの情報と組み合わせることで、使用パターンと費用増加のトリガーが明らかになります。

実践例は次のとおりです。あるサイトが、毎年9月に業界のイベントに関連してトラフィックが25%増加することに気づきました。その急増がCPU使用量の増加や帯域幅の急増と相関している場合、サイト運営者は事前に計画を立てることができます。過去数年の指標を見直した結果、リソース需要の増加をカバーし、超過料金や急ぎのプラン切り替えを避けるために、第3四半期の予測に400ドル/月のバッファを組み込むことにしました。

利用データを今後の予測に変える

数字を集めたら、次のステップは、推測ではなく、将来に備えるための予測に変えることです。予測とは、1円単位での正確さを求めるものではありませんが、最も妥当な結果の範囲を構築することです。それによって準備を進めることができます。

サーバーやインフラ計画に有効な予測アプローチには、主にシナリオベースの予測とCMGR(月平均成長率)モデリングの2つがあります。それぞれに長所があり、それらを組み合わせることで明確なイメージが得られます。

選択肢1─シナリオベースでの予測

このアプローチは、異なる仮定に基づく複数の結果を視覚化するのに有用です。何が起こるかを正確に予測するのではなく、何が「起こり得るか」を扱います。

過去のデータ、特に月次平均値から始めて3つの可能性を考えます。

  • ベースライン:現在のトレンドが継続し、大きな混乱や変化がない場合
  • 高成長:トラフィック急増、新サービス開始、SEOの施策が功を奏した場合
  • 低成長または衰退:トラフィックが落ち込んだりコンバージョン率が鈍化した場合

これが帯域幅にどのような影響を及ぼすかを以下に示します。

ベースラインの帯域幅 高成長(トラフィック2倍) 低成長(セッション数-20)
1月 500 GB 1,000 GB 400 GB
2月 525 GB 1,050 GB 420 GB
3月 550 GB 1,100 GB 440 GB

CPU使用率、PHPスレッド数、ストレージの増加についても同様に行います。これにより、いつアップグレードやプランの切り替えが必要になるのか、あるいはどの程度の予算バッファを組み込めばいいのかが明確になります。

トラフィックが毎月10%ずつ増加し、CPU使用量が1:1の割合で増加するようなパターンがあれば、いつ2倍の演算性能を持つプランが必要になるかがよくわかります。

選択肢2─CMGRモデリング

CMGRは、過去のトレンドに基づいた、単一でクリーンな成長予測が必要な場合に便利です。トラフィック、帯域幅、ストレージ、あるいは月々のサーバー利用料全体に適用できます。

次の式を使用します。

CMGR = (最新の値 / 最も古い値) ^ (1 / 月数) – 1

過去12ヶ月間にストレージが100GBから200GBに増加したとします。

(200 / 100) ^ (1/12) – 1 = 0.059 = 5.9% CMGR

この成長率を適用することで、今後1年間のストレージをモデル化することができます。

  • 4月:200GB
  • 5月:212GB
  • 6月:224GB

これにより、いつ現在のストレージの上限を超えるか、または料金のしきい値に達するかを簡単に見積もることができます。

例えば、トラフィックが四半期ごとに15%増加しており、毎月25万回の訪問後に高い料金が請求されたとします。

どちらの方法にも適しています。シナリオ予測は、大きなイベント(製品の発売や季節的なセールなど)の前後に計画を立てるのに理想的であり、CMGRは長期的な成長のベースラインが確保できます。併用することで、費用やパフォーマンス要件が緊急になる前に予測することが可能です。

従量課金と固定サーバーの選択

サイトの成長の軌道を描くことができたら、次のステップはそれに沿ったサーバーモデルを選択することです。この決定は、費用の予測可能性と、使用量が突然増加した場合の柔軟性に直接影響します。

一概に「優れた」モデルはありませんが、予測ニーズによっては、通常、どちらかが合致します。両者の比較を簡単に見てみましょう。

特徴または要因 従量制クラウドサーバー 階層固定型マネージドサーバー
課金モデル 利用ベース(利用した分だけ支払う) リソース階層に基づく月額固定価格
スケーラビリティ オンデマンドでCPU、RAM、ストレージを追加可能 プラン階層に制限あり。上限を超えた場合はアップグレードが必要
カスタマイズ性 高度にカスタマイズ可能な環境 WordPressに最適化され設定済み
パフォーマンス管理 手動チューニング、DevOps、サードパーティツールが必要 キャッシュ、CDN、セキュリティなどの組み込みパフォーマンス機能
モニタリングの必要性 高い – 過剰な費用を避けるため、使用状況を綿密に追跡する必要がある 低い – 組み込みの分析機能(MyKinstaのような)により、利用状況を簡単に監視できる
コスト予測可能性 低い – ピーク時に請求額が大きく変動する可能性がある 高 – 費用が安定しており、事前に把握できる
こんな方に最適 複雑で変動するワークロードを管理する技術に精通したチーム 予測可能なパフォーマンスと価格を必要とするWeb制作会社、コンテンツ特化型サイト、ECサイト
一般的な欠点 予測不可能な費用、複雑さ、DevOpsへの依存 オーバープロビジョニングの可能性、スケーリングオプションの制御が難しい

従量課金のクラウドサーバー

AWS、Google Cloud、DigitalOceanのようなクラウドインフラでは、使用したリソースに対してのみ料金を支払います。このため、優れた柔軟性が得られますが、費用の変動というトレードオフが伴います。

長所

  • 弾力的なスケーリング:CPU、RAM、ストレージをオンデマンドで追加できる
  • 絶対的な制限なし:トラフィックの急増やワークロードの増加に最適
  • 高いカスタマイズ性:サイトやワークロードごとに環境を微調整可能

短所

  • 予測不可能な課金:特にトラフィックの多いイベント時には、月額費用が大きく変動する可能性がある
  • 綿密な監視が必要:利用状況を積極的に追跡する必要がある
  • 複雑性が増すサーバー設定、ロードバランシング、セキュリティには、開発者の介入やDevOpsの監視が必要な場合が多い

社内に十分な技術者(人手の余裕)が存在し、需要が変動するビジネスでは、従量課金は機能しますが、Web制作会社やECブランド、多くの記事を執筆するサイトが毎月の予算内に収めようとすると、資金計画が難しくなります。

階層固定型マネージドサーバー

Kinstaのようなマネージドサーバーは、より構造的なモデルを採用しています。階層ごとのリソース割り当てに基づく予測可能な価格設定です。インフラをゼロから設定する代わりに、訪問数、帯域幅、ストレージ、PHPスレッドなどの定義された複数のプランの中から選択します。

長所

  • 透明性の高い価格設定:毎月の支払額を正確に把握できる
  • パフォーマンスの最適化:キャッシュ、CDN統合、セキュリティを任せられる
  • 内蔵の分析機能:MyKinstaのようなコントロールパネルから(サードパーティのツールを使用せずに)プランの上限に対する使用量を監視できる

短所

  • きめ細かな拡張が難しい:ある制限を超えたが他の制限を超えなかった場合などは、プラン全体の切り替えが必要になる可能性がある
  • 過剰プロビジョニングの可能性:常に必要でなくても、「念のため」に高いティアを選択するユーザーもいる

ほとんどのWordPress系制作会社やサイト管理者にとって、固定層サーバーの予測可能性は、将来の費用をモデル化し安心を手にするための優れた選択肢です。既知のしきい値を中心に予測を立て、実際の使用量や対象の時期をもとにプランを選択・変更することができます。

Kinstaを例に挙げると、四半期ごとに10%ずつ着実に成長を続けるサイトでは、Single 315kプランで1年間快適に利用し、年末年始の急増を予測した後にはSingle 500kプランにアップグレードするといった利用が考えられます。Kinstaに標準搭載の分析画面を参照し、リソースのしきい値に達する前に、そのしきい値にいつ達しそうなのか簡単に予測を立てることができます。

Kinstaの価格情報ページ
Kinstaの利用プラン(サイト訪問数と付随するステージング環境とCDNに基づき、スケーラブルな利用にも対応)

順序立てて予測をする

ここまでで、何がサーバー費用を押し上げるのか、どのように使用量を追跡するのか、そしてどのように将来の需要をモデル化するのかがわかりました。

あとは、それをシンプルかつ繰り返し可能なプロセスにまとめるだけです。自社のサイトを管理する場合でも、クライアントのために予測を立てる場合でも、次の7つのステップを踏むことで、四半期ごとにロードマップを見直し、改良することができます。

小規模なWeb制作会社が5件のクライアントのWordPressサイトを管理する例を使って考えていきましょう。

1. 既存サーバープラン、利用上限、費用の確認

まず、現在のサーバープランとその内容、関連費用を詳細に確認します。例えば次のようになります。

  • サーバー会社:Kinsta
  • プラン:WP 5
  • 費用:96ドル/月(年払い)
  • プランに含まれるもの
  • 現在の使用状況:5件のクライアントサイトで約80,000の訪問数/月

これにより、現在のサーバー環境のベースラインが明確になり、プランの上限にどの程度近づいているか、アップグレードがいつ必要かを評価することができます。

2. 最低12ヶ月分の利用データをエクスポート

コントロールパネル「MyKinsta」、GA4とCDNサービスを使用して、主要な履歴データを収集します。サーバー要件に直接影響する指標に注目してください。例えば以下のとおりです。

  • 月間訪問数
  • セッションあたりのページビュー
  • 総帯域幅使用量
  • ストレージ(サイトファイルとバックアップを含む)
  • CPUとPHPスレッド負荷(利用可能な場合)
  • 超過料金またはプランのアップグレード履歴

このデータをスプレッドシートにエクスポートすることで、傾向を把握し、成長率を計算し、特にシーズンごとの販売やマーケティングキャンペーンの前後で、繰り返し発生するパターンを特定することができます。

3. 成長トレンドと季節ごとの急増の分析

過去のデータをまとめたら、次のステップはインフラ需要に影響するパターンを見つけることです。以下の点に特に注意してください。

  • 前月比または四半期比のトラフィックの増加
  • イベント、キャンペーン、立ち上げに伴うトラフィックの急増
  • 時期的な減速(B2Bの顧客は12月に落ち込む可能性あり)

Web制作会社の例では、2つの顧客サイトが第4四半期にECプロモーションに関連した一貫したトラフィックの急増を経験しています。これらの急増により、帯域幅の使用量が60%増加し、総アクセス数がプランの上限を超えることが日常茶飯事となっています。このことから、超過料金の予算化、または一時的なプランのアップグレードの必要性が浮き彫りになりました。

4. シナリオベースとCMGRベースの予測の実行

両方の予測アプローチを使用して、今後6~12ヶ月のリソース需要を予測します。

  • ベースライン:現在のトレンドが5拠点すべてで継続するとどうなるか
  • 高成長:あるサイトが新聞に取り上げられたり、新しい製品ラインを立ち上げたりしたらどうか
  • CMGRベース:トラフィックが前四半期比で12%増加した場合、ストレージ、帯域幅、CPUのいずれが限界に達するか

このような見方は、安定した成長と予期せぬ急増の両方を計画するのに役立ちます。こうすることで、使用量が現在のサーバープランを突然上回った場合でも、油断することはありません。

5. 潜在的な超過料金とアップグレード時の計算

過去の超過料金(もしあれば)を振り返り、プラン切り替えやアップグレードの費用と比較します。これにより、現在のプランを維持するか、使用量を最適化するか、または先手を打ってアップグレードするかを決めることができます。

例えば、第4四半期に超過料金が月50ドルに達したとしても、アップグレードにかかる費用が月35ドル増で、すべてのリソースの上限が引き上げられるのであれば、決断は簡単です。

6. サーバー構造の選択

ここまでで学んだことに基づいて、柔軟な従量課金プランと固定層のマネージドプランのどちらがコストコントロールがしやすいかを決定します。

例えば、Web制作会社とKinstaの固定型モデルの間には高い親和性があります。

  • 使用量が比較的予測可能
  • 分析機能が含まれているため、積極的なモニタリングが可能
  • クライアントにパフォーマンス保証と稼働率の高さを提供できる

7. 四半期ごとに見直しと修正を行う

予測は固定されたものではありません。3ヶ月から6ヶ月に一度、予測と実際の使用状況を比較してください。モデルを更新し、必要であれば計画を調整し、トラフィックに影響を与えたもの、特に予想していなかったものをメモしておきましょう。

このプロセスを数回繰り返すことで、管理がスムーズになっていくはずです。成長を計画し、クライアントの期待を上回るサービスを提供するために欠かせないステップです。

まとめ

サーバーとインフラ費用の予測は、単なる行き当たりばったりの予算編成ではうまくいきません。むしろ、サイトや顧客の成長に合わせて積極的にコントロールし続けるべき要素です。トラフィック、コンピュータリソース、ストレージ、超過料金など、費用の真の要因を分解することで、推量を戦略に置き換えることができます。

適切なデータを収集し、実際のシナリオと照らし合わせてモデリングすることで、急増や減速にあわてて対応するのではなく、計画的に行動することができます。

Kinstaのようなサーバーでは、ビルトイン分析データ、明確なリソース制限、透明性の高い価格設定でこれが容易になります。使用状況を監視するためにログやサードパーティのプラットフォームを調べる代わりに、一箇所で成長を追跡し、パフォーマンスや予算に影響が出る前に調整することができます。

1つのサイトを運営している場合でも、クライアントのために何十ものサイトを管理している場合でも、重要なのは、定期的に予測を見直し、各サイクルから学び、ビジネスの方向性に合わせてサーバーを選択することです。

KinstaのWordPress専用マネージドクラウドサーバーは、安心と高いパフォーマンスを求める事業者やWeb制作会社向けに構築されています。

Jeremy Holcombe Kinsta

Kinstaのコンテンツ&マーケティングエディター、WordPress開発者、コンテンツライター。WordPress以外の趣味は、ビーチでのんびりすること、ゴルフ、映画。高身長が特徴。