EC市場は、米国だけで2022年時点で1兆300億ドルを記録しており、とどまることを知らない規模にまで成長を遂げています。これまで以上に多くのユーザーがオンラインで買い物をするようになり、あらゆる企業が続々とオンラインストアを立ち上げています。
Shopifyは世界中に何千人ものベンダーとショップを抱える代表的なECサイトプラットフォームの一つです。しかし、実は他にも機能の充実したプラットフォームはたくさん存在し、特定のオーディエンスに対しては意外なプラットフォームがShopifyよりも適していることもあります。この分野にあまり詳しくない方は、Shopifyなどのプラットフォームの提供する機能についてぼんやりとしたイメージしかお持ちでないもしれません。
「Shopify以外にどんなプラットフォームがあるの?」と疑問に思っている方のために、今回は主なShopifyの代替ツールとそのメリットやデメリット、ユーザーエクスペリエンス、料金の詳細をご紹介します。
準備はいいですか?早速見ていきましょう。
1. WooCommerce
WooCommerceはWordPress上に構築できる自己ホスティング型のECプラットフォームです。オープンソースでスケーラブルなので、コンテンツを細かく制御してしっかりとしたECサイトを構築したいという法人の方におすすめです。
メリット
- 無料、オープンソース
- コンテンツを100%所有、制御可能
- 手数料に応じて自由に決済システムを選べる
- 大規模なショップほど安くなる
- 豊富な無料のプラグインと拡張機能で機能を拡張できる
- 様々な無料、または有料のWooCommerceテーマで外観を自由に変更できる
- WordPressの強力なマーケティング、SEO機能を活用できる
デメリット
- KinstaのWooCommerceレンタルサーバーなど、専用のレンタルサーバーを利用しないと動作が遅くなることがある
ユーザーインターフェース
WooCommerceの管理画面はWordPressの中に組み込まれ、直感的に使いやすくなっています。
プランと料金
WooCommerceは無料で、既にご利用のサイトとレンタルサーバーがある場合、別途月額料金が発生することもありません。(ただし、外部の決済システムを利用しなければならず、選んだサービスに応じて決まった取引手数料が請求されます。)
詳しいメリットとデメリットを知りたい方はWooCommerce vs Shopifyという専用の比較記事をご覧ください。
2. BigCommerce
BigCommerceはカゴ落ちメール機能など、デフォルトで高度なマーケティング性能を誇るECプラットフォームです。高度な機能の数々はオンラインショップの売上を拡大したい知識豊富なデジタルマーケターや企業にぴったり。
メリット
- 本体にマーケティング機能が含まれている(カゴ落ち、Google AMP)
- (Shopifyとは違い)追加料金はなく、自由に決済システムを選べる
- マルチチャネルコマースをネイティブでサポート
- 様々なアドオンや外部サービスとの連携により機能を拡張できる
デメリット
- コンテンツ、機能性の所有や制御の範囲が限定的
- 高度な機能を利用するには高額な月額料金が発生(79.95ドルから299.95ドル)
ユーザーインターフェース
BigCommerceのインターフェースはシンプルでフラットなデザインと明確なメニューが特徴的。Shopifyと同じくらい分かりやすいです。
プランと料金
限定的な機能と年間売上5万ドルを上限としたスタンダードプランは月額29.95ドルから利用できます。プラスプランには自動のカートリカバリーなどのマーケティングに特化した機能が含まれ、月額79.95ドルです。決済については、外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
3. Volusion
Volusionは使いやすいツールを必要とする中小企業に特化したECサイトプラットフォームです。シンプルなインターフェースとステップ毎のチュートリアルにより、初めてでも簡単にショップを開設できます。
メリット
- シンプルなインターフェース
- 初心者も分かりやすいインタラクティブなステップ毎の説明
- 電話注文とCRM
- マルチチャネルコマースのサポート(ビジネスプラン以上)
- 同社のマーケティングチームに仕事を依頼することも可能(広告、クリエイティブ(マーケティング素材の作成)、アナリティクスなど)
デメリット
- 高度な機能が利用できるのはビジネスプラン(月額299ドル)以上のプランから
- ベーシックプランの商品数上限は100個
- 連携が限定的
ユーザーインターフェース
Volusionの一番の売りは使いやすさで、誰でも簡単にショップを開設できるステップ毎のチュートリアルとシンプルなインターフェースが特徴です。
プランと料金
Volusionの商品数100個、年間売上50,000ドルまでを上限とするパーソナルプランは29ドルから利用できます。電話販売とCRMの機能を利用するには、月額79ドルのプロフェッショナルプランへのアップグレードが必要です。決済については、外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
4. PinnacleCart
PinnacleCartは自らのサービスをECサイトプラットフォーム市場におけるマーケティング、コンバージョンの先駆者と謳っています。独自のデザインとマーケティングに使えるサービスも提供しているので、それらについても手を借りたいショップオーナーにはおすすめです。
メリット
- 本体にSEOツール、カートリカバリーなどの高度なマーケティング機能が備わっている
- 使いやすいインターフェース
- 全てのプランで商品数の上限なし
- デザイン、開発、マーケティングサービスも提供
デメリット
- 連携が限定的
- スタンダードプランの帯域幅はたったの20GB
ユーザーインターフェース
PinnacleCartの管理画面は直感的で使いやすく、売上、マーケティングの詳細なレポートが確認できます。
プランと料金
PinnacleCartのスタンダードプランは月額79.95ドルで、全ての機能が利用でき、商品数は無制限、売上の上限は250,000ドルまでとなっています。容量上限は10GB、帯域幅は20GBに制限されています。
アドバンスドプランではプライベートSSLが利用でき、ドライブ容量と帯域幅も無制限です。Perpetualライセンスを通したオンプレミスのオプションもあり、こちらは営業担当者への問い合わせが必要です。決済については、外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
5. Simvoly
SimvolyはECとオンラインショップにも対応したウェブサイトとファネルのビルダーという位置づけです。ClickFunnelsなどを使い慣れており、複数の商品を販売するオンラインショップも作成したいという方にぴったりです。
メリット
- 平均注文額(AOV)を増加させるアップセルの手法を取り入れた便利なチェックアウトフロー
- 機能の充実したファネルビルダー
- 直感的で充実したドラッグ&ドロップ式のストアビルダー
- シンプルなインターフェース
デメリット
- オンラインショップ管理機能(在庫管理など)が限定的
- EC、マーケティングの分析、レポート機能が限定的
ユーザーインターフェース
Simvolyの一番の特徴は高度なページとファネルが構築できることです。少数の商品に特化している、または販売プロセスにじっくりと時間をかける性質のビジネスに適しています。
プランと料金
パーソナルプランでは最大5つの商品、20のページ、帯域幅10GBまでしか利用できませんが、料金は月額たったの12ドルです。ビジネスプランは月額24ドルと良心的で、ページ数は無制限、商品数上限100個、帯域幅60GBまでとなっています。決済については、外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
6. Big Cartel
Big Cartelはアーティスト、クリエイティブ職、インフルエンサーに特化したシンプルなECソリューションです。機能が限定的なので使いやすい一方、しっかりとしたビジネスやショップには不向きでしょう。
メリット
- シンプルで使いやすい
- 無料プランが存在する(最大5つの商品)
- 他のツールよりも安価(全ての機能が利用できるプランも月額9.99ドルから)
デメリット
- 連携が限定的
- マーケティング機能やアプリが限定的
- ネイティブなアナリティクスやテストは備わっていない(Googleアナリティクスとの連携は可)
ユーザーインターフェース
Big CartelのUIはカラフルかつシンプルで使いやすいですが、他の競合ツールと比べるとパワーや詳細データという点で劣ります。商品を販売したいアーティストには適していますが、本格的なECビジネスには不向きです。
プランと料金
Big Cartelでは最大5つの商品までであれば、機能は限定されますが無料でショップを作成できます。有料プランは月額9.99ドルからで、最大50商品まで販売でき、在庫管理や割引など全ての機能が利用できます。決済については、外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
7. PrestaShop
PrestaShopは有料のツールにも引けを取らないほどの機能を備えた完全無料でオープンソースのECプラットフォームです。オープンソースなので、コンテンツを完全に所有したい、そして、まだWordPressを使用していない方にとっての選択肢になるはずです。
メリット
- 無料、オープンソース
- コンテンツを100%所有、制御可能
- たくさんのモジュールやテーマ(5,000個以上)により機能が拡張できる
- 商品数、売上高、トラフィックの制限なし
デメリット
- 自分でレンタルサーバーを準備する必要がある
- 初心者にとっては設定が難しい可能性がある
- WooCommerceなど既存のCMSとの連携ができない
ユーザーインターフェース
情報が豊富な管理画面なので人によっては情報量が多すぎると感じるかもしれません。とはいえ、重要なデータがほんの数クリックで閲覧できるのはデータ分析好きのショップオーナーには嬉しい機能でしょう。
プランと料金
PrestaShopのダウンロード、インストール、使用は完全無料です。自分で選択したレンタルサーバー、テーマ、拡張機能(30ドル〜550ドル程度)の費用は支払う必要があります。決済には外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
8. Squarespace
SquarespaceはSquarespace ecommerceプランで本格的なECサポートサービスも提供する代表的なウェブサイトビルダーです。デザイン経験の乏しい小さなチームにはとても便利なツールでしょう。
メリット
- パワフルで直感的なドラッグ&ドロップビルダー
- 使いやすいインターフェース
- パワフルなアナリティクスとマーケティング機能を備えている
- Squarespace Email Marketingとネイティブに連携
デメリット
- ビジネスプランでは3%の取引手数料が徴収される
- アドオンと連携が限定的
ユーザーインターフェース
上品な管理画面から簡単に商品やサービスを追加、削除、更新、管理することができます。さらに、トラフィックの流入元やキャンペーン毎の収入、注文の内訳など、高度なレポートが確認できるレポートツール、Squarespace Analyticsも利用できます。
プランと料金
パーソナルプランにはEC機能は含まれておらず、ビジネスプランにはECアナリティクスは含まれず、取引手数料3%が請求されます。そのためあまり現実的な選択肢とは言えないでしょう。ベーシックコマースプランは月額26ドルからで、商品、トラフィックの上限はありません。
カートリカバリー、高度な配送オプションなどを利用するには月額40ドルのアドバンスドコマースプランへのアップグレードが必要です。決済は外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
9. Square Online Store
Square Online Storeは、完全無料のプランを提供するSquareの基本的なECツールです。商品数が多くない、もしくは試験的に販売をしたいという起業したばかりの人におすすめです。
メリット
- 無料プランあり
- 直感的で使いやすい
- Squareの管理画面およびレポート機能内蔵
デメリット
- 統合および拡張機能に限りがある
- マーケティングや最適化機能が不十分
ユーザーインターフェース
オンラインショップのユーザーインターフェースは比較的シンプルですが、Squareの主要製品である強力な財務管理画面も利用できます。
プランと料金
無料プランには基本的なEC機能が含まれますが、独自ドメインに紐づけることができません。プロフェッショナルプランでは独自ドメインが利用でき、Squareの広告とロゴを外すことができます。決済としては、Squareの決済システムでは一回の支払い当たり2.9%(有料プランでは2.6%)+0.3ドルの手数料がかかります。
10. Sellfy
Sellfyもまたクリエイターやアーティスト向けのシンプルなツールです。ショップの設定からデジタルマーケティングまであらゆる手順のステップ毎の説明が確認できるため初心者に優しい選択肢です。
メリット
- 使いやすく、はじめてのオンラインショップを簡単に開設できる
- 素晴らしいドラッグ&ドロップのストアビルダー
デメリット
- 連携、拡張機能は限定的
- 非常に基本的なマーケティング機能、アナリティクス機能のみ
ユーザーインターフェース
管理画面はすっきりとしていて直感的で、オンラインショップを管理、運営、成長させるのに必要な主な機能は全て揃っています。
プランと料金
月額19ドルのスタータープランでは年間収益10,000ドルまでしか対応しておらず、機能も基本的なものしか利用できません。メールマーケティング機能を利用するには月額39ドルで年間収益50,000ドルまでのビジネスプランに登録する必要があります。決済は外部の決済システムを利用することになり、一回の支払い当たり最低2.9%+0.3ドルの手数料がかかります。
11. Selz
Selzはカートリカバリーなどの高度なマーケティング機能が備わった充実のECプラットフォームです。スマートなドラッグ&ドロップビルダーが利用できるため、Shopifyの代替ツールとして是非検討してほしいツールです。
メリット
- クリーンなドラッグ&ドロップ形式のストアビルダー
- カートリカバリーなどのマーケティング自動化機能が利用できる
- 全てのプランでマルティチャネル販売をサポート
- WordPressプラグインを使って既存のサイトで商品を販売できる
デメリット
- 商品配送ラベルの連携はアドバンスドプラン(月額179ドル)以上のみで利用可能
- Selz Pay以外のサービスを利用する場合には0.5〜2%の手数料がかかる
- 連携、アドオンが限定的
ユーザーインターフェース
Selzの管理画面はとても直感的です。設定チェックリストなどの機能により、はじめてオンラインショップを作成する人も安心です。
プランと料金
ベーシックプランは月額26ドルからで、ほとんどの機能が利用でき、商品、帯域幅、売上高の上限もありません。スタンダードプランは月額53ドルですが、消費税の管理やカスタムフィールドなどの機能が利用できます。
出荷のスピードアップのためにラベル機能を使うには、月額179ドルのアドバンスドプランへのアップグレードが必要です。決済は、Selz Payでは一回の支払い当たり2.9%(アドバンスドプランでは2.7%)+0.3ドルの手数料がかかります。その他の決済システムを利用する場合、0.5〜2%の追加手数料がかかります。
まとめ
近年、自身のオンラインショップを持つことの重要性はますます高まっています。配送、マーケティング、税の計算など、必要な機能が全て揃った適切なツールを最初に選ぶことで、将来的に無駄な時間や心配事を大幅に削減することができます。
ECプラットフォームの選択肢はたくさん存在します。今回はShopifyの代替ツールを一通りご紹介しました。最適なツールを見つける手助けになれば幸いです。WooCommerceに興味があるという方は、オンラインショップをより充実させるための拡張機能とテーマの一覧も是非ご覧ください。
コメントを残す