WordPress制作会社を成功させるには、新規顧客を引きつける確かな戦略が必要になります。

そこで今回は、WordPress制作業を営む方の成功に役立つヒントをご紹介します。SEO(検索エンジン最適化)や有料広告の活用、Web制作会社というポジショニングを利用した新規顧客の獲得や追加サービスの提供まで、さまざまな戦略を取り上げますので、ぜひお役立てください。

この記事を3つのセクションに分けて、潜在顧客にアプローチする方法、付加価値サービスを提供して顧客を獲得する方法、そして新規顧客獲得に既存の業務を活用する方法をご説明していきます。

賢いマーケティング戦略で潜在顧客を獲得する

まずは、提供サービスに興味を持つユーザーや企業とつながる方法を見つけなければなりません。

この最初のセクションでは、オンラインおよびオフラインのデジタルマーケティング戦略を見ていきます。

検索エンジン最適化(SEO)の強化

検索エンジン最適化(SEO)の強化は、Web制作会社に関連するキーワードをGoogleなどで検索している潜在顧客とつながるための素晴らしい方法です。

例えば、東京を拠点とするWooCommerceに特化したWeb制作会社であれば、「WooCommerce 開発 東京」のようなキーワードで上位に表示にされたいところです。

検索における競争率は業界やサービスによって大きく異なりますが、競争の激しい市場であっても、賢いキーワード調査を行うことで、競争の少ないキーワードで検索しているユーザーにリーチすることができます。

また、カスタマージャーニーの様々な段階にいるユーザーにリーチするため、コンテンツマーケティング戦略の強化も検討してみてください。例えば、WordPressサイトの運営費用に関するブログ記事を公開して、セールスファネルの初期段階にいるユーザーにアピールすることができます。

SEOを強化するヒントはこちらをご覧ください。多数の戦略を詳しくご紹介しています。

SNSマーケティング

検索エンジンを通じてユーザーとつながることに加えて、多くの人がウェブ上での大半の時間を費やすSNSも活用しない手はありません。

これには、「Web制作会社のSNSアカウントを立ち上げる」と「個人アカウントのフォロワーを増やす」の2つの方法があります。

主要なSNSプラットフォームに会社のアカウントを作成することで、より公式な存在感を示し、関連するコンテンツや最新情報を共有することができます。多くの企業はLinkedInを重視していますが、Facebook、X、Instagramなどにも注目してください。

また、会社の公式アカウントに依存するだけでなく、個人アカウントで顧客とより親密なつながりを築くことも可能です。

例えば、DevriXの創設者であるMario Peshev氏は、個人のXアカウントDevriX公式アカウントよりも5,000人多い、2万2,300以上のフォロワーを抱えています。これはより多くのユーザーが、DevriXの存在を知る前から同氏に関心を持っているまたは関わっていることを意味します。

X(Twitter)のマーケティング戦略に関する詳細はこちらをご覧ください。

関連する情報サイトへの掲載

見込み顧客の中には、情報サイトや企業ディレクトリなどを使ってサービスの検索を始める人もいます。したがって、関連する情報サイトなどには積極的に掲載してもらいましょう。

掲載を依頼するには、フォームに記入したり、会社の基本情報を記載したメールを送信したりするのが一般的です。掲載料が発生するディレクトリに関しては、潜在的なメリットが支払いに見合うかどうかを吟味しましょう。

WordPress制作会社には、世界中の何百ものWeb制作会社を掲載しているKinstaエージェンシーディレクトリがおすすめです。ユーザーは、提供サービス、場所、平均プロジェクト単価、言語などで会社を絞り込むことができます。

Kinstaのエージェンシーディレクトリ
Kinstaのエージェンシーディレクトリ

他にもClutchAdForum、日本国内であればBaseconnectWeb Design Clipなどにも、掲載に関して問い合わせてみることができそうです。また地域に特化したディレクトリも探してみてください。

特定の分野を極めて「その道のプロ」になる

Web制作会社のポジショニングもまた、潜在顧客にアプローチする良い方法です。

基本的には、ただWeb制作会社を立ち上げるのではなく、特定の分野に絞り込み、その分野に特化した会社を目指すことをおすすめします。

例えば、単なる「WordPressサイト」ではなく、「WordPressを使ったオンライン講座プラットフォーム」に特化した開発サービスを提供するなど。よりニッチに特定のLMSプラグイン専門になることも可能です。

あるいは、特定の種類のプロジェクトに特化する代わりに、個人事業主や非営利団体など、特定の顧客タイプに特化することもできます。例えば、Kinstaのエージェンシーディレクトリに掲載されているSurelutionsは、非営利団体サイトの開発サービスを提供しています。

Surelutionsは非営利団体向けWeb制作会社と自社をポジショニング
Surelutionsは非営利団体向けWeb制作会社と自社をポジショニング

分野を絞り込めば絞り込むほど、潜在顧客層は狭まるため、一見良くないことのように思えますが、そのサービスを必要とする顧客に確実にリーチすることで、コンバージョンが増える可能性があります。

小さな池で大きな魚となるか、大きな池で小さな魚となるか、後者でも機能する可能性はありますが、すでにWordPress開発の特定の分野に特化してたスキルや知識を持っている場合は、その分野の専門家に自社をポジショニングし、顧客の獲得に役立つかどうかを試してみることができます。

WordPressやローカルビジネス向けのイベントに参加する

オフラインのイベントに参加することで、潜在顧客や他の関連企業との人脈を作ることができます。

手始めに、WordPress関連のイベントにできる限り参加してみてください。公式イベントのWordCampや地域のミートアップでもOKです。それ以外にも、より一般的なローカルビジネスのイベントに参加することで、WordPressに詳しくない見込み顧客にアピールする手もあります。

通常、多くのイベントで設けられている参加者同士が交流する時間は、人脈を広げる絶好の機会です。例えば、コロナ禍を経て4年ぶりのオフライン開催となったWordCamp Tokyo 2023には、「交流エリア」が設けられ、以下のように参加者が自由に交流できる時間が設けられていました。

WordCamp Tokyo 2023のタイムテーブル
WordCamp Tokyo 2023のタイムテーブル

イベントに登壇して専門知識をアピールする

人脈作りはもちろんですが、関連イベントに登壇者として参加することもできます。

潜在顧客にリーチできるだけでなく、自社の専門性をアピールすることができるため、潜在顧客が顧客に変わる確率が高まります。

また、ニッチな分野に特化する場合は、講演の機会を自分の専門性を固めるチャンスとして活用することも。例えば、Equalize Digitalウェブサイトのアクセシビリティを専門とするWeb制作会社です。同社はこの専門知識を活かし、WordCamp US 2024でWordPressサイトのアクセシビリティについてのスピーチを行いました。

WordCampやミートアップで登壇するだけでなく、より専門的な講演に参加することも可能です。例えば、WooCommerce開発に特化し、英語でのスピーチにも抵抗がなければ、WooSeshというオンラインカンファレンスがおすすめです。

通常、イベントへの登壇には応募が必要になります。大体は開催予定日の数ヶ月前から講演者の募集が始まるため、前もって各地のイベントを調査し、積極的に応募してみてください。

WordCamp Asia 2025の登壇者募集ページ
WordCamp Asia 2025の登壇者募集ページ

他のWeb制作会社やフリーランスとつながる

潜在顧客とつながるだけでなく、ビジネスパートナーとなるような他のWeb制作会社やフリーランスとも積極的に交流しましょう。

WordPressサイト開発だけに特化しているのであれば、マーケティングを得意とするエージェンシーとつながりを築くことで、お互いの得意とする分野にサポートを必要とする顧客にお互いのことを紹介することができます。

WordPress制作会社同士でパートナー提携することも可能です。競合するよりも強力する方が理にかなっている状況は多数あります。

例えば、WordPressの会員制サイト開発に特化したWeb制作会社の場合、WooCommerceを使用したECサイト開発を得意とする別のWeb制作会社とつながることができます。ECサイト開発の依頼を受けた際には相手を紹介し、相手には会員制サイトの構築を求める顧客を紹介してもらえば、まさにウィンウィンの関係です。

必要に応じて有料広告の掲載も検討する

見込み顧客に対して、自社を確実にアピールしたい場合は、有料広告の掲載も検討することができます。Google 広告Facebook広告を利用して、関連性の高いユーザーにアプローチするのは一般的です。

これは必須の戦略というわけではなく、実際、有料広告なしで成功を収めているWeb制作会社は多数存在します。しかし、もし広告への投資が有意義なものであると判断した場合には、試してみる価値はあるでしょう。

また、SEOのような成果が出るのに時間がかかる戦略と異なり、より即効性のある結果が期待できます。

なお、有料広告を利用する場合は、コンバージョン率を追跡し、広告の投資利益率(ROI)を確認できるよう、適切な分析ツールを用意しましょう。

新規顧客獲得と既存顧客維持のために追加サービスを提供する

上記のすべての方法は、潜在顧客へのリーチに役立つものでした。続いては、その潜在顧客を顧客に変換する方法を見つけなければなりません。

その最善の方法の1つは、競合他社に差をつけるための付加価値サービスを提供することです。

クライアントサイトのホスティング

例えば、単発のウェブサイト制作を引き受けるのではなく、サイトのサーバーと長期的なメンテナンスを組み合わせたプランの提供を検討してみてください。

このようなプラスアルファのサービスを提供することで、より魅力的なサービスとなり、顧客を獲得しやすくなるだけでなく、長期的に維持することができます。

また、月額料金制で継続的な収益源を確立することもでき、別の開発作業が必要になった際に相談してくれる可能性が高まります。

サーバーの提供は自社で行うことも可能ですが、その労力を考慮すると、サーバー会社と提携して一任するのが賢明です。例えば、KinstaではWeb制作会社向けプランを提供しており、WordPressに特化したマネージドインフラの恩恵を提供することで、顧客満足度を高めつつ、自社では本業に専念することができます。

KinstaのWeb制作会社向けサーバープラン
KinstaのWeb制作会社向けサーバープラン

競合他社よりも優れたサイトパフォーマンスを保証

顧客に付加価値のあるサーバーを提供するのであれば、他社よりも高速なパフォーマンスを保証することも他に差をつける方法の1つです。

多くの潜在顧客は、Largest Contentful Paint(LCP)のようなGoogleのCore Web Vitalsを重視しているため、サイトパフォーマンスの高さは非常に重要です。

顧客を満足させるだけでなく、自社のポートフォリオを強化することにもつながります。構築したウェブサイトがパフォーマンスに最適化され、高速に読み込まれることがわかれば、見込み顧客はよりサービスを利用したくなります。

Kinstaのサーバーは、パフォーマンスに最適化されているため、追加の作業なく、顧客に高速なサイトを提供することができます。

Cosmick Mediaは、200以上のクライアントサイトをKinstaに移行したことで、全体でページ読み込み時間を60%短縮することに成功しました。加えて、クライアントサイトの最適化に費やす時間を40%も削減できたため、新規顧客獲得などのその他の分野により集中することができるようになりました。

顧客のデータを安全かつセキュアに管理

サーバーの提供をサービスに組み込む場合、顧客のビジネス規模を問わず、顧客のデータを安全に保護することも非常に重要です。セキュリティ対策を講じるだけでなく、他の問題からデータを保護するための強力なバックアップ機能も必要になります。

データセキュリティは、近年関心の的となっているため、データが安全に保護されることを保証することは大きなセールスポイントになります。パフォーマンス同様、競合他社との差別化にもつながります。

Kinstaを利用すると、クライアントサイトはウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)、マルウェアスキャン、DDoS攻撃対策など、組み込みのセキュリティ機能によって保護されます。さらに、サイトの自動バックアップが毎日行われ、安全なオフサイトに保存されます。

例えば、BookswarmはサーバーへのDDoS攻撃に対処することとなり、複数のクライアントサイトに影響を与え、多くの時間を消費するだけでなく顧客満足度も損なっていました。Kinstaに移行したことでDDoS攻撃から解放され、多くのストレスを取り除いています。

顧客の要件の変動に応じてスケーリング

顧客がゼロの状態から始めるにせよ、すでにビジネスが軌道に乗っているにせよ、顧客の要件は次第に変化していきます。

このような変化にシームレスに対応することは、柔軟性に欠ける他のWeb制作会社に対する大きなアピールポイントになります。また、顧客が求めることがサポートの範囲を超えることもなくなり、サービスの解約を防ぐことができます。

もちろん、自社のプラットフォームでスケーラビリティを確保することは簡単ではありません。例えば、KinstaではそんなWeb制作会社の要件を考慮し、スケーラブルなサーバーを提供しています。

実績を紹介して見込み顧客を引きつける

顧客を抱えるようになったら、その関係性を活用して潜在顧客にアプローチし、より効果的に顧客を獲得できるようになります。

最後に既存の仕事や実績を活用する戦略をご紹介します。

ポートフォリオの作成

過去の仕事を集めてポートフォリオを作成することは、潜在顧客に自社のサービスの質をアピールする最もシンプルな方法です。

まだ立ち上げたばかりであれば、すべてのプロジェクトをポートフォリオで紹介することができます。大規模な会社であれば、特に成功したプロジェクトを厳選して紹介しましょう。

以下、WordPress制作会社のポートフォリオをいくつかご紹介します。

ポートフォリオを作成するには、WordPressのポートフォリオプラグインを使うか、カスタム投稿タイプを使って独自に構築できます。

お客様の声を掲載

お客様の声をサイトに掲載するのも効果的です。多くのWeb制作会社は、トップページなどの主要なページにお客様の声を表示していますが、専用ページを作ることもできます。

10upのお客様の声掲載例
10upのお客様の声掲載例

ウェブサイトに顧客の体験談を掲載するだけでなく、SNSにも投稿できます。

以下のヒントを参考にしてみてください。

  • 知名度の高い顧客の声を紹介する:どのような体験談も貴重な存在になりますが、業界の著名人や名の知れた企業の言葉を紹介するのが最も効果的。
  • 主要な分野ごとに顧客の声を紹介する:例えば、会員制サイトとECサイトに特化している場合は、両方の分野のプロジェクトでの体験談を集める。
  • 掲載前に顧客の許可を得る:顧客の体験談を公開する前に、その旨を説明し顧客から必ず掲載許可をもらうこと。

口コミサイトへの投稿を依頼

自社のサイトに口コミを掲載するだけでなく、顧客にGoogle、ITreview、Clutch、Trustpilotなど、見込み顧客が目を通すであろうプラットフォームに口コミを投稿してもらうことも重要です。

サードパーティプラットフォームに投稿される口コミは、より信憑性が高く、率直な評価や感想である印象が強くなります。

そして外部の口コミをサイトに埋め込むことも可能です。WordPressサイトにGoogleのクチコミを埋め込む方法はこちらをご覧ください。

専門分野に特化した導入事例を紹介

ポートフォリオは、言うなれば「完成品」を紹介するものですが、多くのユーザーはそれが完成するまでのプロセスにも関心を持っています。

このような情報を提供するためには、特に成功したプロジェクトにおいて、導入事例を作成するのがおすすめです。お客様の声と同様に、主要なサービス分野を網羅するようにしましょう。

例えば、WordPressの会員制サイトとオンライン講座の構築に特化している場合、会員制サイトを扱った導入事例と、オンライン講座を扱った導入事例の両方を作成することで、自分の状況にぴったりと当てはまる見込み顧客がサービスの利用を検討する可能性が高くなります。

他社の導入事例に協力する

独自の導入事例を公開するだけでなく、他の企業の導入事例に協力するというのもありです。自社の専門知識をアピールし、見込み顧客を引きつける方法になり得ます。

例えば、Kinstaでは、顧客であるWordPress制作会社がどのようにKinstaのプラットフォームを活用してビジネスを成長させているかを伝える導入事例を多数公開しています。

このようなパターンの導入事例では、Web制作会社が顧客のためにどのような努力をしているのか、どのように質の高い体験を提供しているのかなども説明されるため、間接的に自社を宣伝することができます。Kinstaの導入事例一覧はこちらをご覧ください。

まとめ

Web制作会社にとって、顧客獲得のための戦略を構築することは、長期的なビジネスの成功に不可欠です。

新規顧客を獲得するためには、見込み顧客の目にとまること、魅力的なサービスと付加価値の高いサービスで潜在顧客を顧客に変えること、そして獲得した顧客を利用してさらに多くのユーザーにアプローチすることが重要です。

見込み顧客にリーチする最初の第一歩として、Kinstaのエージェンシーディレクトリに会社情報を掲載しませんか?また、高速で信頼性の高いサーバーをお探しでしたら、KinstaのWeb制作会社向けプランをぜひお試しください。

Jeremy Holcombe Kinsta

Kinstaのコンテンツ&マーケティングエディター、WordPress開発者、コンテンツライター。WordPress以外の趣味は、ビーチでのんびりすること、ゴルフ、映画。高身長が特徴。