ブログの運営であれオンラインビジネスの展開であれ、ユーザーとのコミュニケーションは重要です。オーディエンスとのエンゲージメントの要となります。ウェブサイトに「すぐに、そして、ストレスなく」問い合わせる手段が欠けていると、サイト訪問者は不満を抱き、別のサイトに移動してしまうかもしれません。

そこで便利なのが、メッセージ系プラグインです。サイト運営者と訪問者の間の橋渡しの役割を果たします。スムーズなコミュニケーションは、オーディエンスとの交流を深める上で重要な要素です。プラグインを使うことで、大規模な開発をしなくとも、訪問者のユーザーエクスペリエンス(UX)を改善できます。

今回の記事では、メッセージ系プラグインとは何か、そして、これを使うことにどんなメリットがあるのかをご説明します。また、おすすめのWordPressメッセージ系プラグインを10種類見てみます。それでは、本題へと進みましょう。

おすすめのメッセージ系プラグインについて動画での解説もご用意しています。

WordPressメッセージ系プラグインとは

WordPressのメッセージ系プラグインは言うなれば、サイト訪問者や読者、顧客とリアルタイムにコミュニケーションを取ることができるツールです。

インスタントメッセージングでは、電話やお問い合わせフォームとは対照的に、サイトの所有者やブロガーに対して、直接、すぐに質問を投げかけることができます。メッセージ系プラグインは、サイト所有者と訪問者(例えば、潜在顧客など)の間につながりを生むもので、サイトにコミュニケーション手段を統合する役割を果たします。

サイトのフロントエンドに、チャットボックスが表示されるのが一般的です。サイト訪問者は、そこにメッセージを入力したり、質問をしたりすることができます。

メッセージ系プラグインは、顧客サポート、予約の受付、製品や価格についての質問に答えるのに便利です。さらに、プラグインによっては、チーム内でのやり取りに活用することもできます。

機能の具体的な中身は、選択するツール次第です。その多くが、サイトと見事に統合する柔軟性を備えています。メッセージ系プラグインの中には、チャットボックスウィジェット、画像やビデオの添付、自動応答(オートレスポンス)といった機能が利用できるものもあります。

WordPressサイトでメッセージ系プラグインを利用するメリット

メッセージ機能の導入は何よりも、WordPressサイトに「訪問者や顧客との距離を縮められる」というメリットをもたらします。このアプローチの有効性を裏付ける調査結果は、枚挙に暇がありません。たとえば、次のとおりです。

  1. PwCの調査によると、75%の消費者が自動で送信されるメッセージよりも人間との対話を好むことがわかりました。
  2. 2020年、Statista Research Departmentは米国のマーケターを対象に調査を実施。参加者の63%が「人間味を出した」(パーソナライゼーションの導入)ことで、コンバージョンが増加したと回答しています。
  3. Wunderkindによると、消費者の72%が、パーソナライズ型の(つまり、自動ではない)メッセージにのみ関与すると結論づけています。

一方、Zendeskが行った調査では、(生身の人間と連絡を取るのが難しい)自動化されたシステムは、サービス利用者のUXの中で最も苛立ちを引き起こす要素の一つであるという結果が出ています。このようなデータは、カスタマーサービスに関して、消費者がどれほどパーソナライズ(つまり人間らしさ)を好むかを如実に物語っています。

すべてのやり取りを「その場で人間が担う」のは少し無理がありますが、メッセージ系プラグインを導入することで、より人間的で柔軟な対応をすることができます。さらに、プラグインの多くに、面倒なタスクを自動化する機能が搭載されています。これを活用し、賢く楽をしながら、サイトの管理や事業の運営に多くの時間を投入できます。

WordPressのメッセージ系プラグインには、他にも多くの利点があります。

  • 顧客サービスにおけるコスト削減(電話代や従業員の研修費など)
  • 潜在顧客や既存の顧客とのリアルタイムでの対話
  • 一度に複数のユーザーとコミュニケーションを取ることも可能

尚、メッセージ系プラグインの選定に進む前に、Kinsta APMでサイトが問題なく動作しているかどうか確認することもお勧めします。このパフォーマンス監視ツールは、サイト効率を妨げる要因を特定し、サイトの使い心地を改善するのに便利です。

2022年におすすめしたいWordPressメッセージ系プラグイン

WordPressのメッセージ系プラグインはたくさんあります。その中でもどれがあなたのウェブサイトにとってベストなのか、予算、機能、デザインなどの面から精査する必要があります。今回は、特におすすめのものを10個ご紹介します。

1. Crisp

Crisp
Crisp

まず最初に紹介するCrispは、カスタマーサポート、セールス、マーケティングを一元化してくれるプラグインです。ライブチャット、TwitterのDM、Facebook Messenger、メールなどが一つの受信箱に集約されます。

また、CrispにはCRM(顧客関係管理)ソフトウェアがあり、特定のタスクを自動化できるので、重要な質問にエネルギーを効率的に投入するのに便利です。

主な機能

  • 知識ベースソフトウェア(セルフサービスサポートの支援に効果的)
  • チケットシステム(顧客サービスの整理と優先順位付けを支援)
  • ステータスページ(あらゆる問題の警告を確認可能)

価格:Crispには、無料のベーシックプランがあります。シンプルなチャットボックスだけで良ければ、これで事足ります。有料版は受信箱あたり月額25ドルから。

2. Tidio

Tidio
Tidio

Tidioは、売上アップと顧客体験の最適化を助けてくれるプラグインです。簡単に設定でき、訪問者にリアルタイムで反応し、素早く質問に答えることができます。また、ウェブサイトを閲覧中の人を確認したり、AIでチャットを自動化したり、訪問者の所在地(アクセス元)を確認したりすることも可能です。

主な機能

  • リアルタイムでアクセス中の訪問者を確認
  • InstagramやFacebook Messengerとの簡単な統合
  • 受信箱をチームメンバー全員で共有できる

価格:Tidio Live Chatには、無料版と月額19ドルからの有料版があります。

3. 3CX Live Chat

3CX Live Chat
3CX Live Chat

完全無料のプラグインをお探しなら、3CX Live Chatがおすすめです。手間無く簡単にインストールして、ユーザーの追加、チャットボックスのカスタマイズ、チャット機能の各種側面の調整が行えます。Superchatオプションにより、チャットボックスを利用した直接メッセージ、そして、電話からの選択が可能になります。サイト訪問者との距離を縮めるのに便利な選択肢です。

主な機能

  • グループチャットに担当者を割り当てられる
  • テキスト、色、返答などの要素の調整が可能
  • チャットに音声や動画を追加することができる

価格:3CXのライブチャット機能は無料で使用できます。

4. Front End PM

Front End PM
Front End PM

Front End PMを利用することで、管理画面からではなく、サイトのフロントエンドからメッセージのやり取りができるようになります。チャットへのファイル添付にも対応しています。管理者の設定画面からは、各サイト訪問者のチャットボックスに保持されるメッセージを制限することができ、データベースのサイズを最小限に抑える上で有用です。

主な機能

  • WordPress TV、YouTube、Flickr、その他メディアをメッセージに埋め込む機能
  • デスクトップ通知(メッセージ受信に際し通知)
  • ユーザー間のプライベートメッセージ

価格:Front End PMには無料版があります。有料版は年間39ドルから

5. Pure Chat

Pure Chat
Pure Chat

機能豊富なツールをお探しであれば、Pure Chatが有力な候補になり得ます。チャットウィジェットのカスタマイズ、会話履歴の閲覧などを特徴とするライブチャットプラグインです。有料版は30日間無料でお試し可能で、リアルタイム分析を使えば、サイトを閲覧している訪問者の状況を追跡することができます。

主な機能

  • ウィジェットをPC/モバイル向けに調整可能
  • ユーザーフレンドリーな操作性で素早くインストールできる
  • 連絡先の履歴情報を閲覧可能

価格:無料版と有料版があり、後者は月額49ドル(年払いの場合は月額39ドル)から利用できます。

6. Tawk.To Live Chat

Tawk.To Live Chat
Tawk.To Live Chat

続いてご紹介するのが、Tawk.To Live Chatです。無料であり、セットアップも非常に簡単です。サイト訪問者についてのデータを収集したり、チャットボックスを使用して直接質問に応答したりできます。また、挨拶用メッセージをパーソナライズし、宣伝活動に利用することも可能です。KinstaのWordPressホスティングとTawk.To Live Chatを組み合わせれば、サイトのパフォーマンス最大化と顧客のUX改善に効果的です。

主な特徴

  • 45以上の言語から選択可能
  • アプリを使って外出先からでもチャット可(iOS/Android対応)
  • 知識ベースあり(「よくある質問」を確認できる)

価格:このプラグインは無料で使用できます。

7. LiveChat

LiveChat
LiveChat

LiveChatは、顧客とすぐにつながるのに便利なプラグインです。訪問者の行動に基づいてメッセージを送る機能があります。また、メッセージの「覗き見」機能により、ユーザーが入力している内容をリアルタイムで確認し、素早く返答を用意することができます。また、よくある質問に対する回答を保存できるワンクリック保存オプションは、入力の手間を省いてくれる機能です。

主な機能

  • チャットタグ(顧客の問題を分類)
  • チャットにファイルをドラッグ&ドロップする機能(スクリーンショットやオファーなどが対象)
  • メールでの返事を求めるオプション(すぐに応答できない場合に効果的)

価格:LiveChatには、無料のWordPressプラグインと、月額50ドルからの有料プランがあります。

8. JivoChat Live Chat

JivoChat Live Chat
JivoChat Live Chat

チームのコミュニケーションと効率の最大化が目的であれば、JivoChat Live Chatは検討に値するはずです。JivoChatを使えば、サイトに専用ウィジェットが確立できます。あらゆるデバイス(モバイルでもPCでもOK)でのレスポンシブ表示もサポート。さらに、サイト訪問者の所在地、参照元(どこを経由しサイトを訪れたのか)、言語も把握できます。加えて、色分けを用いたチャットの整理機能が便利です。

主な特徴

  • 同時に複数の顧客とやり取り可能
  • 定型文での応答(一般的な質問に基づいて返答を自動化)
  • モバイルデバイス向けの最適化

価格:Basicプランは、チーム内の最初の5人(「エージェント」=お問い合わせに対応する担当者)まで無料です。Professionalオプションは、1「エージェント」あたり月額19ドルからとなります。

9. Smartsupp

Smartsupp
Smartsupp

Smartsuppは、サイト訪問者と即座につながりを構築することを目的としたツールです。サイトを開くと、自動チャットボットからメッセージが送信されます。マルチチャネル機能は、メールとチャットに同時に対応するのに便利です。Smartsuppは、一般データ保護規則(GDPR)に準拠しているため、ヨーロッパで特に人気があります。

主な特徴

  • 動画録画機能(訪問者がサイト上のどこにいるのかを確認できる)
  • モバイルアプリ(外出先からでも質問に回答できる)
  • 多言語チャットボット(世界中のクライアントに対応)

価格:無料版はフリーランスや個人のウェブサイト向けで、有料プランは月額19.5ドルから用意されています。

10. Live Chat by Formilla

Live Chat by Formilla
Live Chat by Formilla

最後にご紹介するのが、Live Chat by Formillaです。メールやアプリ内のメッセージ機能を通じてコンバージョン率向上を後押しします。このプラグインには、メッセージ受信時にお知らせするデスクトップ通知機能があり、Chrome、Firefox、Safariと互換性があります。

チャットボットには、独自設定のものとAIの両方があります。チャット転送機能により、チームメンバー間でメッセージを手配し、顧客に包括的に対応することができます。

主な機能

  • 国、言語、初回/リピーターで訪問者を絞り込むことが可能
  • 色、バナー、テーマなど、サイトに合わせてウィジェットをカスタマイズ可
  • リアルタイムの訪問者追跡

価格:無料版と月額17.49ドルからの有料版があります。

まとめ

WordPressサイトの訪問者と直接やり取りをすることで、質問に答えたり、問題を解決したりと、つながりを深めることができます。メッセージ系プラグインは、ブランドに「人間らしさ」をプラスし、UXの質を引き上げる秘策となり得ます。これを活用することで、コンバージョンを高め、事業の成長を加速させることも夢ではありません。

今回は、WordPressメッセージ系プラグインのおすすめ10選をご紹介しました。中身を振り返ると以下の通りです。

  1. Crispは、カスタマーサポート、セールス、マーケティングを統合するオールインワンプラグインです。
  2. Tidioは、簡単にインストールでき、リアルタイムで訪問者を追跡できます。
  3. 3CX Live Chatは、無料のメッセージ系プラグインで、チャットボックスウィジェットを調整可能。電話での返答を求めるオプションもあります。
  4. Front End PMは、管理画面(バックエンド)の操作を極力省いた選択肢です。ウェブサイトのフロントエンドでのチャットが可能です。
  5. Pure Chatは、訪問者によるウェブサイト閲覧の動きをリアルタイムで追うことのできるツールです。
  6. Tawk.To Live Chatは、無料で利用可能。数分でセットアップできます。
  7. LiveChatには、手間を省く機能が用意されており、UX最適化に有用です。訪問者によるメッセージの入力内容を見たり、チャットタグでトピックを整理したりできます。
  8. JivoChat Live Chatでは、FAQへの回答を保存し、ユーザーからの質問に素早く応答することができます。
  9. Smartsuppは、GDPRコンプライアンスと多言語オプションにより、欧州やその他の地域に顧客を抱える、または支店がある場合におすすめです。
  10. Live Chat by Formillaでは、ウィジェットのカスタマイズが可能で、エージェント間でのユーザーメッセージの転送もできます。

メッセージ系プラグインの選び方について、何かご質問はございますか?以下のコメント欄でお気軽にお聞かせください。

Jeremy Holcombe Kinsta

Kinstaのコンテンツ&マーケティングエディター、WordPress開発者、コンテンツライター。WordPress以外の趣味は、ビーチでのんびりすること、ゴルフ、映画。高身長が特徴。