パフォーマンスは、アプリケーションの要。多くの人が日常的にウェブアプリケーションに依存している今日、ビジネスの成功はアプリケーションのパフォーマンスに比例します。したがって、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)は、一流のユーザーエクスペリエンスを提供するビジネスに必要不可欠です。
より新しく、そしてより優れたアプリケーションの需要は、迅速なアプリケーション開発アプローチの採用につながっています。これは開発時間を短縮する反面、根本的な複雑さが増すことを意味します。ウェブサイトを含め、今日の高度なアプリケーションには、有用なAPMツールでしか特定できない問題が潜んでいます。
今回は、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツールの概要と種類、主な機能、そしてあらゆるタイプのWordPressサイト管理に役立つKinsta APMの使用方法をご紹介していきます。
アプリケーションパフォーマンス監視(APM)とは
アプリケーションパフォーマンス監視(APM)とは、アプリケーションのパフォーマンスを監視、管理、維持するプロセスです。これには、アプリケーションの技術的パフォーマンス、そして利用者が認識するパフォーマンスの両方の監視が含まれます。
今日のアプリケーションは、高度に分散されたインフラストラクチャ上で実行されるため、すべての要素が流動的であり、監視するのが困難です。しかし優れたAPMツールを利用することで、トラブルシューティングとパフォーマンスの管理を簡素化し、アプリケーションの重要な要素をくまなく監視することができます。
一般的なウェブアプリケーションは多数の要素で構成されているため、アプリケーション全体のパフォーマンスを測定するには、各要素のパフォーマンス指標の監視が欠かせません。APMツールは、すべてのデータを解析し、合理化された管理画面を通じて解析データを表示します。これによって、ログデータの分析に長時間費やす必要がなくなります。
Gartner社によれば、アプリケーションパフォーマンス監視ツールは、以下3つの主要な基準を満たすソフトウェアとして定義されます。
- フロントエンド監視─PCおよびモバイル利用者のユーザー体験、および合成トランザクションの監視
- ディスカバリー、追跡、診断─ウェブサーバー、プラットフォーム、フレームワーク、マイクロサービスのような、様々なアプリケーション要素の自動ディスカバリーなどを含む。これらの要素間の関係を決定して、コードを診断し、アプリケーションがリクエストにどのように応答するかを追跡。
- 分析─アプリケーションによって生成されたデータをログに記録し、意味のあるパターンを検出するために様々な技術を使用。パフォーマンス問題の根本的なボトルネックを見つけ、問題が発生する前に対処するのに貢献。
アプリケーションパフォーマンス監視ツールは、これらの機能をすべて組み合わせることで、アプリケーションのパフォーマンス最大化に貢献してくれます。
アプリケーションパフォーマンス監視ツールの種類
APMツールは、その機能に基づいて、以下3つのタイプに分類することができます。
アプリケーション指標ベース
主に複数のアプリケーションとサーバー関連の指標を収集し、アプリケーションの遅いURLリクエストを特定します。アプリケーションのコードはプロファイリングしないため、何が原因で速度が低下しているのかはわかりません。ちなみに、このアプリケーション指標のみを監視するAPMツールはほとんどありません。
コードプロファイリングベース
コードプロファイリングとトランザクショントレースを実行し、パフォーマンスの問題を掘り下げるのに役立ちます。多くの人気のAPMツールが、ドメイン固有の人工知能と機械学習技術を用いて、さまざまなコードタイプをプロファイリングしています。アプリケーション指標と組み合わせることで、パフォーマンス面での問題の潜在的なボトルネックを特定できます。
ネットワークベース
ネットワークトラフィックに焦点を当て、アプリケーションのパフォーマンスを測定します。専門的かつ高度な技術が必要になるため、このタイプのAPMツールはほとんどありません。このため、ネットワークパフォーマンス監視という新たな製品カテゴリーも誕生しています。
Kinsta APMをはじめとするほとんどのAPMツールは、パフォーマンス指標およびコードプロファイリングベースになっています。
アプリケーションパフォーマンス監視ツールの主な機能
APMツールの中核は、アプリケーションのパフォーマンスに関するあらゆるデータを収集すること。しかし、データから実用的な洞察を獲得するために必要なのは、データだけではありません。パフォーマンス低下の根本的な原因を素早く突き止めるために、コンテキストも必要になります。
以下、APMツールの主な機能を見ていきます。
トランザクションのパフォーマンスを測定
すべてのリクエストおよびレスポンスのパフォーマンスの測定は、APMツールの重要な機能。これらを合わせてトランザクションと呼びます。これによって、アプリケーションで最もアクセスされているリクエスト、最も遅いリクエスト、パフォーマンスを最適化するために注目すべきリクエストを把握できます。
依存関係のパフォーマンスを監視
アプリケーションは、データベース、キャッシュ、ウェブサーバー、サードパーティのサービスなど、依存関係に問題があるためにパフォーマンスが低下することがあります。例えば、データベースのクエリやサーバーが遅いと、アプリケーション全体のパフォーマンスに影響します。外部のHTTPサービスやキャッシュの問題も同様です。したがって、アプリケーションだけでなく、依存関係をすべて監視することが重要です。
コードレベルでパフォーマンスを測定
パフォーマンスの低いリクエストやトランザクションの把握は、あくまで始まりに過ぎず、その原因を突き止めることが肝になります。コードレベルでアプリケーションをプロファイリングすることで、パフォーマンスを低下させているコードに関する有益な洞察を得ることができます。
サーバーのリソース使用状況を監視
サーバーのCPUとメモリの使用状況を継続的に監視することは、特にトラフィックに応じてアプリケーションをオートスケーリングしたい場合に欠かせません。Kinstaでは、組み込みツールで実現可能です。
一元化されたアプリケーションログシステム
ログデータとエラーは、アプリケーションパフォーマンスの問題を素早く解決するのに有用です。他の手段を使って自分で多数のサーバーログにアクセスすることも可能ですが、一元化された管理画面ですべてのログを確認できると格段に便利です。
リアルユーザー監視(RUM)
実際のユーザー体験の監視は、アプリケーションが意図したとおりに動作しているかを判断するのに欠かせません。正常に動作していない場合は、どの部分に問題があるのかを把握しなければなりません。通常RUMは、アプリケーションにJavaScriptタグを注入することで受動的に実行されます。このスクリプトが、アプリケーションを使用しているクライアント(ブラウザやアプリなど)からフィードバックを受け取ります。
WordPressサイトの管理にAPMツールを使う理由
WordPressは誰でも簡単に使用できるソリューションであり、その使い勝手が最大の利点の1つでもあります。しかしその核となる部分の管理は、他のウェブアプリケーションやフレームワークと同じくらい複雑です。
KinstaでホストするWordPressサイトは、Google Cloud Platformの仮想マシン上で実行されます。LXDとLXCを採用し、必要なソフトウェアリソース(Linux、Nginx、PHP、MySQL)を備え、完全に隔離されたコンテナ環境で各サイトが実行されます。
さらにキャッシュやCDNなどの組み込みのパフォーマンス最適化機能と組み合わせることで、超高速WordPressホスティングを実現しています。
アプリケーションホスティング、データベースホスティング、そしてWordPress専用マネージドホスティングを提供するKinstaは、サーバーの最適化とメンテナンスの負担をすべて肩代わりしています。
Google Cloud Operations(旧Stackdriver)と様々なSysOpsツールを駆使して、クラウドホスティング環境のパフォーマンスを継続的に監視、改善しています。
したがって、Kinstaのようなホスティングサービスを利用すると、様々な技術が関与していても、サーバーパフォーマンスの問題に遭遇することはほとんどありません。
とはいえ、WordPressサイトのパフォーマンスのボトルネックを素早く解決することは難しく、WordPressサイトのデバッグとトラブルシューティングはかなり面倒です。
WordPressの場合は、プラグインやテーマを通じて無限のカスタマイズ性を提供しているため、さらに複雑になります。Kinstaでは、最新技術を積極的に取り入れ、技術スタックを継続的に改善しています。また同様に、WordPressも急速に進化を続けています。
WordPress(およびそのコンポーネント)のようなアプリケーションのパフォーマンスを監視することは容易ではなく、特にサイトを数百、数千件扱っている場合はなおさらです。そんなときの救世主がAPMツールです。
Kinsta APMの概要
Kinstaが独自に開発したアプリケーションパフォーマンス監視ツール「Kinsta APM」は、MyKinstaに内蔵されており、WordPressサイトのパフォーマンスの問題を特定するのに役立ちます。追加料金なしですべてのホスティングプランに付帯しているため、New RelicなどのサードパーティのAPMサービスを契約する必要はありません。補足)New Relicを使用したい場合は、独自のライセンスを追加すればご利用いただけます。
Kinstaサイトの監視に特化して調整されており、ワーカープロセス、MySQLデータベースクエリ、外部HTTPリクエストなど、サイトの操作に関するタイムスタンプ付きのデータを確認できます。
Kinsta APMを有効にすると、指定した期間(30分~24時間で選択可)のサイトのパフォーマンスを追跡可能です。
有効にすると、「合計トランザクション時間」と「最も遅いトランザクション」が表示されます。これらのトランザクションが、サイト上で最もリソースを消費するリクエスト(admin-ajax.php、wp-cron.phpなど)を追跡します。
トランザクションをクリックすると、そのトランザクショントレースのタイムラインが表示されます。
Kinsta APMでWordPressサイトを監視・最適化することで、パフォーマンスを最大化することができます。問題を引き起こしているWordPressコンポーネントを素早く特定できれば、問題解決もスムーズです。
自社で問題を解決できず、WordPress開発者を雇う必要がある場合も、問題の原因を把握できれば、時間と費用を削減することができます。
Kinsta APMの詳細はこちらをご覧ください。
サイト別のパフォーマンスの課題とKinsta APMの使用方法
最後に、様々なタイプのウェブサイトで、アプリケーションパフォーマンス監視がどのように役立つかをご紹介します。
ECサイト
ECサイトでは、スピードとパフォーマンスがすべてと言っても過言ではありません。高速であればあるほど、消費者のオンラインショッピング体験が向上します。Akamaiによれば、ページ読み込み100ミリ秒の遅延は、コンバージョン率を7%低下させ、2秒遅延すれば、103%も直帰率が高まる可能性があります。
またサイトがダウンし、一部のユーザー(最悪の場合はすべてのユーザー)がアクセスできない状態になれば、1秒ごとに潜在的な収益が失われていきます。ひいては、ブランドの評判に長期的な悪影響を与える可能性も。
ECサイトは、内部と外部の両方で多数のサービスが相互作用しています。商品カタログ、商品検索、商品レビュー、ユーザーアカウント管理、在庫管理、ショッピングカート、注文・配送管理、決済ゲートウェイ、セキュリティアドオン、パーソナライズレコメンデーション、サードパーティサービス統合など、複数のコンポーネントが互いに連携しています。
さらに、顧客とより良い関係を構築するために、顧客関係管理(CRM)やメールマーケティングソフトウェアを導入しているECサイトもあります。
その上、最近のECサイトは、他のウェブアプリケーションと同様に、複雑な技術スタック上で実行されています。例えば、WooCommerceは、Linuxなどのオペレーティングシステム上で、NginxやApacheなどのウェブサーバーを実行するPHPとMySQLデータベースを搭載したWordPress上で動作します。
このように非常に多くの要素が関わっているため、パフォーマンスの問題やサイトのダウンの原因を見つけるのは容易ではありません。そこで役立つのがAPMツールです。APMツールで監視を行えば、問題が発生する前にボトルネックを検出し、問題が発生してから対処するのではなく、事前に修正を行うことができます。
例えば、オンラインでギフト販売を行う人気サイトのCafePressは、定期的にサイトがダウンするという問題に直面し、1時間ごとに1日の収益の約5.5%を失っていました。CafePressはAPMツールを使用してこの原因となっている問題を突き止め、速やかに対処しています。
Kinsta APMでは、WooCommerceサイトで発生している最も遅いトランザクションを一覧表示し、バックエンドパフォーマンスのトラブルシューティングに役立てることができます。
トランザクションの例をクリックすると、その中で発生したすべてのプロセスがタイムラインとして表示されます(トランザクショントレースのタイムライン)。
任意のスパン項目をクリックすると、その中で発生したすべてのプロセスに関する詳細なレポートを確認できます。
Kinsta APMは、この特定のスパンの主な原因を検出しようとします。上の例では、原因がWooCommerceプラグインにあることがわかります。「スタックトレース」の詳細は、WooCommereサイトのパフォーマンス問題をトラブルシューティングするためにどこに注目すればいいのかを理解するのに役立ちます。
KinstaのWooCommerceホスティングプランは、オンラインストアのパフォーマンスを最大化できるように調整されています。Kinsta APMを使用して、パフォーマンスとより良いユーザー体験のためにECサイトをさらに最適化して、収益を向上することも可能です。
会員制サイトとコミュニティサイト
会員制サイトやコミュニティサイトの運営は、コンテンツを収益化し、安定した収益源を確立する素晴らしい方法ですが、多くの同時ログインユーザー、複雑なクエリ、高いデータストレージ要件が生じるため、長期的に成功させることは非常に難易度が高いのが現状です。さらに、高度にパーソナライズされた性質から、提供コンテンツのほとんどはキャッシュできません。
業界のベンチマークによると、サブスクリプションビジネスを長期的に成功させるには、解約率を最小限に抑えることが重要です。これを実現するには、顧客満足度を向上なしには成立しません。そしてこれはサイトのパフォーマンスにかかっています。
したがって、会員制サイトやコミュニティサイトのパフォーマンスを常に把握することが、新規会員を獲得し、既存会員を維持するための鍵となります。これにもAPMツールが役立ちます。
私たちは、約20のウェブアプリケーションを運用し、世界中に広がる約10万人のユーザーのコミュニティにサービスを提供しています。Application Insightsを使い始めてから、アプリケーションパフォーマンスをより明確に把握できるようになり、その結果、よりパフォーマンスに優れて利便性に長けたアプリケーションを提供できるようになりました。─Application Insightsを使用したAPM(英語原文の日本語訳)
Kinsta APMは、会員制サイトが負荷の下で正常に機能しているかどうかを監視するのに便利です。異常が見られる場合は問題を診断し、トラブルシューティングも行えます。
WordPressで構築した会員制サイトやコミュニティサイトの場合、潜在的なパフォーマンスの問題のほとんどは、ECサイトが経験するものと同じになります。ただし、WooCommerceの代わりに会員制プラグインやフォーラムプラグインを使用するのが通例で、必要に応じてWooCommerceを使用して会員登録や定期的な支払い処理を行います。
何を導入するにしても、Kinsta APMで、会員がサイトをどのように使用しているかについての有益な洞察を手にできます。このような測定基準の追跡は、会員制サイトやコミュニティ主導型サイトの成功に欠かせません。
SaaSアプリケーション
SaaS(Software as a Service)とは、ブラウザやアプリを介してソフトウェア製品をユーザーに直接提供することを指します。現在では、特に大企業が採用する一般的なアプリケーションの提供形態です。代表例としては、以下のようなものが挙げられます。
- オフィススイート:Google ドキュメント、Office365
- チャット:Slack、Sendbird
- 会計:Quickbooks Online、FreshBooks
- 請求書作成:Wave、PayPalの請求書作成ツール
- プロジェクト管理:Trello、 Asana、Basecamp
- マーケティング:HubSpot、MailChimp
- 人事管理:CakeHR、monday.com
- グラフィックデザイン:Canva、Stencil
SaaS利用者は通常、アプリケーションを何時間も使用するため、優れたパフォーマンスを期待しています。満足いかなければ他のSaaSサービスに乗り換えるのも簡単です。そのため、SaaSアプリを成功させるには、負荷への耐久性が高い優れたパフォーマンスの確保が必要です。
とはいえ、SaaSアプリケーションのパフォーマンスの監視と管理は困難です。ほとんどのSaaSアプリは、ソフトウェアの単一のインスタンスが複数のユーザーに同時にサービスを提供するマルチテナントアーキテクチャで実行されます。
これは、高度に動的でインタラクティブな要求を、複数のサードパーティのドメインから数十(あるいは数百)のアセットを取り込む必要があることを意味します。そのため、サーバーサイドのコードや配信に使用されるネットワークインフラの管理がより複雑化されます。
例えば、人材派遣および人材紹介を専門としたSaaS企業であるCrelateは、APMツールで重大なパフォーマンスの問題を検出し、事なきを得ることができました。
Elder氏とチームは、SDLCの各段階におけるRetraceの即時 フィードバックループによって、ボトルネックとパフォーマンスの問題を積極的に特定することで、年間6万700ドル以上と数百時間を削減した。─CrelateのStackify導入事例(英語原文の日本語訳)
多機能なWordPressを利用することも可能で、一部ではWordPress as a Service(WPaaS)とも呼ばれています。オープンソースのWordPressのホスティング一体型であるWordPress.comは、WPaaSの代表的な成功例です。
同様に、WordPressをベースとしてプロジェクト管理サイト、不動産ディレクトリ、ビジネスディレクトリ、オンライン学習サイトなど、さまざまなSaaS型プロジェクトを実現することも。
Kinsta APMは、その用途を問わず動作するため、あらゆるタイプのSaaSアプリケーションのパフォーマンスを監視可能です。パフォーマンスのボトルネックを修正し、問題を未然に防ぐだけでなく、顧客の傾向を理解し、解約率を軽減して、導入した成長戦略を評価することができます。
オンラインマガジンおよびニュースサイト
デジタルニュースの需要は安定して増え続けています。政治、エンターテインメント、スポーツなど、あらゆる分野が混在するオンライン空間では、デジタルネイティブなメディアだけでなく、老舗メディアも数多くコンテンツを配信しています。
オンライン読者の増加と読者エンゲージメントの向上は、デジタルパブリッシャーの大きな課題となっています。また、ユーザー体験を優先せず、トラフィックの多いサイトを適切に収益化するのも厄介です。
State of User Experienceのレポートによると、読者は低速なサイトに耐えられず、どのデバイスでも高速なウェブパフォーマンスを期待しています。これは、アクセスの多いサイト、特にリッチメディアコンテンツを多数提供するサイトには難題です。
オーディエンスを惹きつけ、長期的な顧客に変えるもう1つの方法は、パーソナライゼーションですが、これも容易ではありません。また、サイトに余分なオーバーヘッドがかかり、パフォーマンスに影響を与える可能性もあります。
報道機関は、パーソナライズされたコンテンツを提供することで、視聴者をサイトに惹きつけ、リピーターを増やすことができる。─Nieman Reports(英語原文の日本語訳)
大規模なメディアプラットフォームでは、サイトパフォーマンス管理に専任のIT担当者を雇用する予算が取れるかもしれませんが、小規模なデジタルパブリッシャーではそうはいきません。Kinsta APMのような効果的なソリューションとマネージドホスティングを併用することで、サイトパフォーマンスの最適化にかかる費用を抑えることができます。
また、WordPressのような使いやすいオープンソースのプラットフォームを使用して費用を削減することも可能です。Wired、The New Yorker、TechCrunchなどの大手オンラインマガジンやニュースサイトもWordPressを使用しており、毎日数百万人の読者を抱えています。
WordPressサイトの最適化はKinstaの得意分野。英国を拠点とするデジタルパブリッシャー「Open Plan Media」のKinsta導入事例はこちらよりご覧いただけます。Open Plan Mediaは、Kinstaに移行後、毎日72万回のページビューを問題なく実現しています。
企業サイト
中小企業や大企業はウェブサイトを通じて、世界中の何百万人もの潜在顧客に製品やサービスを宣伝できます。また、ブログで有益なコンテンツを公開することで注目を集め、ブランドロイヤルティを確立するのも手です。
企業サイトには、ローカライゼーション、多言語コンテンツ、小規模なマイクロサイトのネットワークなどの機能が含まれるのが一般的です。また、細かなユーザー役割やアクセス権限の設定が必要になることもあり、サイトの技術的なアーキテクチャを複雑化することになります。
このようなサイトを世界各地の何百万人ものユーザーに多言語で提供することは、大掛かりなプロジェクトです。社内のワークフローやビジネス目標を損なうことなく、パフォーマンスを向上させるとなると、さらに至難の業となります。
まず第一に、トップクラスの技術チーム支えられたエンタープライズレベルのホスティングインフラが必要です。また、サイト訪問者に最高のユーザー体験を提供するために、サイト上のすべてのユーザーインタラクションを徹底的に監視しなければなりません。安全性、拡張性、信頼性も重要です。
Kinsta APMを使えば、手間なくサイトパフォーマンスを常に把握することができます。場所、デバイスの種類、ユーザーアクティビティ、コードパフォーマンス、その他のアプリケーション指標などの複数の要因に基づき、パフォーマンスの問題を分析。これらのデータポイントを使用して、アプリケーションの可用性とパフォーマンスに関する有益な洞察を得ることができます。
WordPressは、企業サイトが必要とする技術的要件のほとんどを満たしています。拡張性に優れ、オープンソース、定期的に更新が行われ、SEOに優れ、さらにユーザーフレンドリー。さらにどんなサイトでも構築できるほどの高度なカスタマイズ性も備えています。
BuiltWithによると、上位1万件のサイトのうち、3,459件がWordPressを使用しています。有名な企業としては、メルセデス・ベンツ、ソニーミュージック、BBCアメリカ、ゼロックス、ハーバード・ビジネス・レビューなど。その他、WordPressを使用する大手企業はこちらでご紹介しています。
Kinstaは、安全かつ柔軟に拡張でき、パフォーマンスに優れたWordPressサイトの運営を目指す企業を支援しています。QuickBooks、TurboTax、Mintなどのブランドを支えるIntuitのKinsta導入事例はこちらをご覧ください。Intuitは、毎月数百万人のユーザーにサービスを提供しています。
教育およびオンライン学習サイト
オンライン教育は、教師と学生に新たな可能性をもたらしました。10年以上前から、MOOC(オンラインで講義を受けられる教育システム)やコーディングブートキャンプ、オンライン認定プログラムを通じて提供される新しい形態の教育が、教育業界の前進に貢献しています。
UdemyやStraightLineのような一部のオンライン教育ポータルは、この傾向をさらに一歩進める存在で、月額料金を支払うことで、修了証明書や資格を取得できます。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、多くの高等学校や大学でオンライン授業が導入されるようになりました。
EdXやCourseraのようなMOOCプラットフォームは、さまざまな技術を用いて、数千万人の学習者にオンラインコースを提供しています。今日の教育機関は、ZoomやGoogle Meetを使った単純な「遠隔学習」の事業に留まっていますが、これにこだわる必要はありません。
WordPressのプラグイン、テーマ、サービスを活用すれば、教育関連のサービスにもWordPressを利用することができます。学習管理システム(LMS)サイトを作成して、簡単にオンラインコースで世界各地の学習者に提供することができます。
LMSサイトには、会員制サイトやECサイトと同じようなパフォーマンス上の課題が数多くあります。大量のデータ(画像、動画、フォーラムのスレッド)、多数のログインユーザー、キャッシュできない動的コンテンツ、複雑なデータベースクエリなどによって、リソースを大量に消費し、適切に対処しなければ、サイトの速度が大幅に低下する可能性があります。
Kinsta APMは、このようなパフォーマンスの課題を解決するための強固な基盤になり、遅いデータベースクエリ、最適化されていないLMSプラグインなど、パフォーマンスを妨げている要素を正確に掘り下げることができます。
Kinstaは、LearnDash、LearnPress、Sensei LMS、Lifter LMSなど、人気のWordPress LMSプラグインを実行できるよう、ホスティングアーキテクチャをゼロから設計しています。WP-TonicがKinstaで会員サイトやLMSサイトをレベルアップした方法はこちらをご覧ください。
クライアントサイトを保守管理する代行業者
WordPressによって、クライアントサイトの開発と構築はかつてないほど容易になりましたが、大量のサイトを扱う場合は管理が大変になることも(顧客が多いというのは幸せな悩みではりますが)。
通常、WordPress代行業者は、多数のWordPressサイトのメンテナンス、セキュリティ、パフォーマンスを担当しています。顧客にはそれぞれ独自の要件があり、様々なテーマ、プラグイン、カスタムコードを扱うことになるため、すべてのサイトのパフォーマンスを把握することが難しくなります。
とはいえ、すべてのクライアントサイトで優れたパフォーマンスを実現することは、ビジネス成功の鍵を握ります。Kinstaでは、このような代行業者の悩みを解消し、効率的に実現する方法を常に模索しています。
例えば、Kinstaの専用コントロールパネル「MyKinsta」では、1つの画面から複数のサイトを一元管理できるため、業務の負担が大幅に軽減されます。
Kinstaは、価格、信頼性、カスタマーサポートの面で、最高クラスのアプリケーション、データベース、マネージドWordPressホスティングです。おかげさまで日々の業務が格段に楽になり、時間を取れるようになったことで、他の重要な開発作業に専念できるようになりました。─Jared Strichek氏(Enventys Partners)
Kinsta APMも、日々の業務の負担を軽減するために独自に開発したツールで、管理するすべてのクライアントサイトのパフォーマンスの監視を簡素化します。サイトが低速になれば、Kinsta APMを起動し、問題の原因を素早く特定。サイト速度の改善も簡単です。
これによって余裕が生まれ、顧客からの問い合わせにもより迅速に応えられるようになり、顧客満足度は向上。質の高いサービスを維持しながら、サポートにかかる時間と費用を削減できます。また、代行業の管理や拡大など、その他の大事な事業に専念する時間も確保できるようになります。
WordPressのマルチサイト
WordPressのマルチサイトは、WordPressの特徴的な実装の1つで、単一のWordPressで複数のサイトを運営することができます。似たようなクライアントサイトを多数ホストする場合、複数の企業サイトをホストする場合、あるいは大学のコミュニティネットワークを管理したい場合などに有用です。
しかし、メンテナンスやパフォーマンスの監視において、マルチサイト独自の課題も存在します。ネットワーク上のすべてのサブサイトが同じサーバーとデータベースのリソースを使用するため、過負荷やパフォーマンスの問題が発生しやすくなる点です。
トラフィックの少ない標準的なWordPressサイトでは、コードの最適化を徹底しなくても問題がないかもしれませんが、マルチサイトでは、多数の小規模サイトが存在するためそうはいきません。1つのサブサイトにアクセスが殺到すると、最適化されていないコードが原因で、すべてのサイトに過負荷をかけてしまう恐れがあります。
Kinsta APMは、マルチサイトで最も遅いトランザクションを見つけるのにも役立ちます。マルチサイトを構築したばかりであっても、速度低下の原因を知ることは、トラブルシューティングに非常に役立ちます。マルチサイト全体の最適化を手っ取り早く行うには、コードを圧縮するのが効果的です。
格安レンタルサーバーでWordPressのマルチサイトを実行すると、マルチサイト全体が壊れて、応答しなくなる可能性が非常に高くなります。この側面から、Kinstaでもプロプラン以上でのみWordPressのマルチサイトをサポートしています。
まとめ
アプリケーションのパフォーマンスの問題をトラブルシューティングする際、APMツールを活用すれば、簡単に原因を特定することができます。APMツールは、すべてのアプリケーションのコード、リクエスト、レスポンス、ユーザー体験などを積極的に監視してくれる優れものです。
Kinstaは、速度とパフォーマンスを重視し、すべてのプランでKinsta APMを提供しています。これによって、WordPressサイトの各コンポーネントを手作業で確認し、パフォーマンスの問題を突き止める手間を省くことができます。
Kinsta APMなら、サイトのパフォーマンスを追跡し、全体的なサイトの健全性を効率的に監視可能です。また、サイトのデバッグにQuery MonitorやNew Relicのような、サードパーティ製のツールに頼る必要もなくなります。
Kinstaのお客様でも、Kinsta以外のホスティングをご利用の方も、アプリケーションパフォーマンス監視ツールを利用して、サイトやアプリケーションで何が起こっているかを突き止め、問題解決へのヒントを賢く手に入れましょう。
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