eコマースストアを構築、運営するための「絶対的な最良の方法」は存在しません。なぜなら取り扱っている商品、ターゲットのオーディエンス、そしてあなた自身が一番快適に感じるスタイルによって変わってくるからです。
そのような多様なニーズに対応するために、市場には様々なeコマースプラットフォームが存在します。重要なのはどれが自分に最適かを理解することです。
あなたのビジネスのニーズに最適なプラットフォームはどれでしょうか。主要な7つのeコマースプラットフォームの主な特徴を徹底比較していきます。
それぞれの機能、料金、長所と短所、さらにはどんなユーザーにおすすめなのかをご紹介します。
興味が湧いてきましたか?
それでは、早速みてみましょう。
1. WooCommerce
最も人気のあるeコマースプラットフォームの1つであるWooCommerceでは、eコマースストアに必要な機能が全て利用でき、しかも実質無料です。欠点は、サイトの構築とアップデートが少し大変なところでしょう。
今回ご紹介する他のeコマースプラットフォームとは異なり、WooCommerceは実は単なるWordPressプラグインです。それは、WordPressのすべての機能を自由に活用できることを意味するので、最大の強みだと言えます。WooCommerceストアにはどんなWordPressのプラグインやテーマでも適用できますが、WooCommerce専用の拡張機能やプラグインも多数存在します。
WooCommerceの欠点は、WordPressの欠点と同じです。まず、サイトのセキュリティと顧客の財務データを取り扱うことのできる適切なホスティングプロバイダーを見つけなければなりません。また、もちろん許容できるトラフィック量も考慮しなければなりません。また、ニーズに合った最適なホスティングプランを選択する必要もあります。
また、デザインを自分で調整しなければならず、これまでWordPressを使用したことがないという方は、時間がかかるかもしれません。WordPressが使いづらいというわけでは決してなく(むしろ非常にユーザーフレンドリーですが)、思い通りの見た目や機能のサイトを完成させるためには、最適なプラグインを探したり、サイトの設定を調整したりと、細々とした作業がたくさんあります。適切にコーディングされたWordPressテーマを使い、こちらのステップバイステップWooCommerceセットアップガイドを利用すれば、堅牢なサイト構築ができるはずです。
主な機能
- 実質全てのWordPressプラグイン
- eコマース機能がそろったWooCommerce専用のプラグインと拡張機能
- 簡単なブログとの連携
- 無制限の商品取扱い
料金
- 無料(ただしホスティング費用は別途支払う必要あり)
- 必要な機能によりプラグインや拡張機能に0〜200ドル程度かかることも
強み
- 自分のデータは自分で所有(他サイトに依存しない)
- 無料から利用できるスケーラブルな料金モデル
- ブログ専用のプラットフォーム
- 商品や画像の制限なし
- オープンソースソフトウェアであるWordPressには大規模なコミュニティが存在し 、ヘルプやサポートが受けられる
弱み
- ホスティング(レンタルサーバー)は含まれていない
- WordPressを初めて利用する場合、使いこなすまで少し時間がかかる
こんな人にお勧め
WooCommerceは、サイトの構築に十分時間を割けるのであれば、初心者にも上級者にも最適なプラットフォームです(自分で時間を割けないという方は、WordPressの開発者の採用を検討しましょう)。
一度慣れてしまえば、ほとんど無限にカスタマイズすることができます。そのため、コーディングはしたくないけれど、 自分でサイトをデザインしたいという方にとてもおすすめです。
WooCommerceを使用したオンラインストアの例
2. BigCommerce
BigCommerceはその名前が示す通りのツールです。「大きく」する、ためのプラットフォームです。これは、幅広い商品を扱う大企業や店舗、あるいは近々拡張を計画している小規模な店舗のためのツールです。
洗練されたeコマースプラットフォームであるBigCommerceではたくさんの機能が利用できます。プロフェッショナル向けに作られているため、今回ご紹介する他のツールよりも高度な機能が利用できます。
カスタマイズをするのが好きで、既にWebデザインのベストプラクティスをよく知っている場合はとても便利ですが、同時に使いこなすまでが大変なのも、また事実です。BigCommerceは、新規ユーザーのオンボーディングプロセスには力は入れていますが、今回ご紹介する他のeコマースツールほどユーザーフレンドリーではありません。
機能が充実している分、料金もそれなりにします。開設したばかりの小さなお店の場合、まだ必要のない機能もあるでしょうから、この料金を払う価値があるとはなかなか思えないでしょう。BigCommerceは、既に確立された店舗で「もう少しサイトを強化したい」というところに適しています。
主な機能
- たくさんの商品を販売できる
- 細かいカスタマイズが可能
- セキュリティ強化策がある
- 移行とインポートのオプションあり
- ビルトインのSEO強化機能
- コンバージョン率向上のためのツール
- 取引手数料なし
Prices:
- BigCommerceスタンダード:月額95ドル
- BigCommerceプラス:月額95ドル
- BigCommerceプロ:月額95ドル
- BigCommerceエンタープライズ:個別見積り
Pros:
- 複雑なビジネスモデルにも対応できる高度な機能一式
- たくさんの複雑なカスタマイズオプション
- 好きなだけ商品の種類を販売できる
Cons:
- 他のeコマースプラットフォームと比べて使い方が難しい
- 開設したばかりの場合、やや高額
こんな人にお勧め
BigCommerceを最大限に活用できるのは既に確立したストアや多くの商品を取り扱うストアなどでしょう。新しいストアや小規模なストアの場合、結局使用しない機能も多いはず。BigCommerceは「重量級」のeコマースプラットフォームであるため、サイトの強化が必要な場合にのみ使用すると良いでしょう。
BigCommerceを使用したオンラインストアの例
3. Shopify
続いてご紹介するShopifyも人気があり、高い利便性とシンプルさを誇ります。WooCommerceサイトのセットアップには数日かかる場合がありますが、機能が完全に備わったShopifyサイトのローンチはわずか数分でできます。ただし、欠点は、WooCommerceの場合ほどカスタマイズのオプションがないことです。
Shopifyは、eコマースストア運営の際の設計やコーディングにあまり気を使いたくない人に向いています。テンプレートベースで構築するので、テーマを選択して情報を入力するだけでOKです。
テーマにより、他のほとんどの要素が決まります。これで時間を大幅に節約できますが、カスタマイズの制限も意味します。特別な見た目、クリエイティブなウィジェット、ナビゲーションの最適化はありません。
ユニークなアイデアを持つ人にとっては、葛藤となるかもしれませんが、ビジネスの運営だけに集中したい人には理想的です。Shopifyには、さまざまなタイプのプロモーションやビルトインの口コミシステムなど、オンラインショップ設計に必要な機能が包括的に備わっています。
詳細については、WooCommerceとShopifyの比較記事をご覧ください。
主な機能
- ユーザーフレンドリーなインターフェース
- テンプレートスタイルのデザイン
- すぐに使える機能
- アプリストアから機能を追加可能
料金
- Shopifyライト:月額9ドル
- ベーシックShopify:月額29ドル
- Shopify:月額79ドル
- アドバンスドShopify:月額299ドル
- Shopifyプラス:月額2,000〜40,000ドル
強み
- 全eコマースプラットフォームの中でも屈指の使いやすさ
- 素早く簡単にオンラインストアを構築できる
- サイト設計スキルは必要なし
- ソーシャルメディアとの統合に最適
- 小さなストアと大きなストアの両方に適切
Cons
- カスタマイズの可能性が限られる
- 他のShopifyサイトと差別化しにくい
- サードパーティ決済サービスの取引手数料が高額になる可能性あり
こんな人にお勧め
上述のように、Shopifyはビジネスのみに集中したい人に最適です。Shopifyは、デザインに関しては制限がありますが、ビジネス戦略、販売促進、ソーシャルメディアマーケティングについては可能性は無限大です。
とても便利で使いやすく、eコマースストアを趣味や副業として始めたい人に最適です。時間の投資はほとんどなく、管理もそれほど必要ありません。
Shopifyを使用したオンラインストアの例
4. Volusion
WooCommerce、Shopify、BigCommerceなど人気のeコマースプラットフォームに続くのが、Volusion です。先の名前に比べるとサービスが包括的なわけではなく、知名度も劣ります。しかし、それを諸共せず、Volusionは、Shopifyに代わる、便利で素早く使える選択肢として頭角を現しています。
Volusionが一番得意とするのは、定期購読などの継続的な支払いの処理です。サブスクリプションボックス(注釈:定期的に、複数商品を組み合わせたアソート型のボックスをお届けするもの)や同様のビジネスモデルに最適で、そのようなタイプの支払い処理システムをすぐに構築できます。
他の一部のプラットフォームでも、当然、このようなシステムを構築することはできます(たとえば、WooCommerceにはサブスクリプションプラグインがあります)。ただし、一般に、そのようなアドオンを自分で選ぶ必要があり、追加料金が必要になる可能性もあります。
Volusionには複雑な機能が詰め込まれておらず、使いやすさに重点が置かれています。たとえば、簡単に使えるドラッグアンドドロップサイトエディタが組み込まれているため、サイトの要素を自由に並び替えられます。
この種の必要最低限のシンプルさは、初めてサイトを構築する人には、相性抜群です。一方で、すでにeコマースの経験が豊富にある人は、 SSL証明書、 ブログ機能、 デジタル製品の販売など、他の多くのプラットフォームで無料で用意されている機能がないことに、戸惑うかもしれません。プラスの面として、取引手数料はゼロで、必要な帯域幅も確保されています。
主な機能
- ドラッグアンドドロップサイトエディタ
- 取引手数料なし
- 帯域幅に制限なし
- モバイルトラフィックに対応したレスポンシブテーマ
- サブスクリプションと継続的な支払い処理
料金
- パーソナル:月額29ドル
- プロフェッショナル:月額79ドル
- ビジネス:月額299ドル
- プライム:見積もりベース
強み
- 低コストで利用できるeコマースプラットフォーム(特に取引手数料がないことがポイント)
- サブスクリプションと定期的な支払いを標準でサポートする珍しいeコマースプラットフォーム
- 初心者でも簡単に使えるサイトエディタ
弱み
- 機能が限られている
- SSL証明書を別の場所で購入する必要あり
- ブログ機能がない
- デジタル製品の販売ができない
こんな人にお勧め
低コストかつ簡単に使えるサイトエディタを考えると、Volusionは小規模なeコマースビジネスに最適です。試しに始めてみるのに便利なプラットフォームでしょう。基本を学ぶ人向けで、だからこそ、高度な機能はありません。
さらに、Volusionは、定期購入/定期支払いモデルを採用するお店にも最適です。これはeコマースの一種で、Volusionを使うことができます。
Volusionを使用したオンラインストアの例
5. 3dcart
3dcartは、小規模で、知名度は高くありませんが、ある領域で他のeコマースプラットフォームを凌ぎます。3DでもVRでもなく、SEOです。「SEOで最強のeコマースプラットフォーム」を自称し、パンくずリストやURL正規化タグなどの機能を搭載。その断言にふさわしい性能を見せています。
多くのSEOの要素は、舞台裏で決まるものです。しかしながら、ほとんどのプラットフォームに、柔軟な変更が許可されていない領域があります。サイトのデータを検索エンジン送信する方法、サイトのアーキテクチャ、URL構造、そして、コードそのもの。3dcartでは、これらの調整ができます。
3dcartでは、これらの領域が最適化されているので、SEO面での心配は要りません。テンプレートをベースとした利便性がありつつ、さらに、一流のSEO性能も保証されます。
しかし、3dcartには、Shopifyと似通った制限があります。全体的なカスタマイズがあまりできません。3dcartに最初から用意されているテーマが少し時代遅れであることを考えると、これは見過ごせない懸念事項です。
とは言え、Shopifyと同様に、3dcartには、マーケティング、販売、プロモーションといったeコマースに欠かせない機能が豊富に用意されています。また、一番安いプランであっても、取引手数料なし、24時間年中無休のサポート、セキュリティ、APIアクセス、無制限の帯域幅、無制限の製品数といった、十分な特典が詰め込まれています。
主な機能
- 内部SEOに強い
- SEOを考慮した構築された各種テーマ
- 製品数に制限なし
- 帯域幅に制限なし
- 取引手数料なし
料金
- スタートアップストア:月額10ドル
- ベーシックストア:月額10ドル
- プラスストア:月額10ドル
- パワーストア:月額10ドル
- プロストア:月額10ドル
強み
- このプラットフォームは1から10まですべてがSEO目線
- 24時間年中無休のサポートなど多くの嬉しい特徴
- テンプレートを使って簡単にサイトを設計
弱み
- 全体的なカスタマイズの自由が少ない
- テンプレートはより現代的に更新してもよさそう(やや時代遅れ)
こんな人にお勧め
ビジネスモデルがSEOを中心としている場合には、eコマースプラットフォームには3dcartを選ぶのがいいでしょう。それ以外の面では、3dcartとShopifyの特徴は似通っています。そのため、Shopifyに必要なものが欠けているときに、これをセットアップが簡単な代替案として検討することができます。
3dcartを使用したオンラインストアの例
6. Big Cartel
Big Cartelは、アーティスト、職人、その他自分が作ったものを販売したい人向けのニッチeコマースプラットフォームです。上記のジャンルに当てはまるビジネスであれば、Big Cartelがぴったりです。自作の商品を売っていないのであれば、大多数の人にとっては、他の選択肢を選ぶのが賢明です。
芸術的なサイトデザインをはじめとするBig Cartel の全ては、小規模でクリエイティブなビジネス向けに作られています。個人のクリエーターにとって最も魅力的なのは、そのコストの低さでしょう。掲載料や取引手数料はなし。支払いが発生するのは月額料金だけで、さらに、ほとんどの機能が搭載された無料版さえあります。
ただし、あなたが特にクリエイターでなければ、他の多くのeコマースプラットフォームを利用する方がお得になります。クリエイティブなデザインではあるものの、その多くは、事業としてのブランドにはあまり調和しません
主な機能
- 取引手数料なし
- 商品掲載手数料なし
- 芸術的なデザイン
- コードの編集可
料金
- ゴールド:無料
- プラチナ:月額99ドル
- ダイアモンド:月額99ドル
- チタン:月額99ドル
強み
- 他のeコマースプラットフォームに比べて比較的安価
- 非常に創造的かつ刺激的なサイト構築が可能
- 透明性を大事にしたビジネスプラクティス
弱み
- 特定の種類の販売者にのみ利用価値がある
こんな人にお勧め
Big Cartelがアーティストや職人にお勧めであることは、言うまでもありません。完璧に合致する市場は小さいかもしれませんが、そこに綺麗に焦点が当てられています。 個人のクリエイターであっても、Big CartelとEtsyのどちらが適切か吟味することが重要です。
Big Cartelを選ぶ利点は、自分のストアを所有できることです。それは、ブランドの確立という意味で有用で、よりスケーラブルであるとも言えます。
Big Cartelを使用したオンラインストアの例
7. Ecwid
Big Cartelの方針と同じように、Ecwidも中小規模のビジネスをターゲットにします。セットアップからコストまで、すべてがスタートアップや小規模企業に適しています。
EcwidはShopifyや3dcartと同じグループに属します。簡単にセットアップできますが、カスタマイズの幅は限られています。中小規模のビジネスをサポートするために、最大10種類の商品を掲載できる無料プランもあります。ただし、ストアが特定のサイズにまで成長すると、Ecwidのメリットはそれほど特別なものではないように思えます。
ビジネスの面では、Ecwidには クーポンコードや SSL証明書などの、通常のeコマースに必要な機能のほとんどがあり、デジタル商品も販売可能です。優れたソーシャルメディアオプションに加えて、Facebook、 Snapchat、 Pinterest、 Google Adsを使って広告を出すオプションもあります。
加えて、上位のプランを利用すれば、Amazon、Etsy、eBayなどの他の販売チャネルとストアを接続することができます。これにより、Ecwidはマルチチャネルeコマースブランドを運営する際の中心的な土台になり得ます。
主な機能
- 簡単なセットアップと使いやすいサイトデザインツール
- ソーシャルメディアストアと直接同期
- 他の販売チャネルと連動
- 販売手数料なし
料金
- フリープラン:無料
- ベンチャー:月額15ドル
- ビジネス:月額35ドル
- アンリミテッド:月額99ドル
強み
- 優れたソーシャルメディア関連機能
- マルチチャネル戦略に最適
- 中小規模向けの設計、安価、ユーザーフレンドリー
弱み
- 魅力的なサイト設計オプションがあまりない
- スケーラブルでない(中小規模向けであり、大企業には向かない)
こんな人にお勧め
設計上、Ecwidは小規模なビジネスに向いています。低コストなので初めての挑戦にぴったりです。他のチャネルと簡単に統合できるため、事業の軸として使用できます。さらに、ソーシャルメディアを利用したマーケティングは、これから名前を広めたい、できたてのビジネスに最適です。
Ecwidを使用したオンラインストアの例
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これらの問いに対する答えが、あなたにとっての最適なeコマースプラットフォーム選びの役に立つはずです。
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