誰もが高速なウェブサイトの閲覧を好むもの。サイト表示速度の高速化は、検索エンジンのランキング、クローラビリティ、コンバージョン率、ページ滞在時間の向上に貢献します。さらに、直帰率も下がります。

Kinstaは、スピードにこだわり抜いたホスティングサービスです。現に、多くのサイト所有者やWeb制作会社のお客様に、Kinsta移行によってウェブサイトのスピードアップをご実感いただいています。

まだ決断を下せない方もいるはずです。Kinstaに移行するだけで、本当にサイト速度が大幅に改善されるのか─そんな疑問をお持ちかもしれません。今回は、そんな疑問にお答えするために、大規模な移行データを用いて、テストを実施することにしました。

23以上のサーバーからKinstaに移行した3,200件以上のウェブサイトを対象に、3万2,000以上のデータポイントを網羅したデータを、3ヶ月にわたって収集しています。

移行を実施した各ドメインを対象に、移行前と移行後にサイトスピードテストを実施。そして、結果を集計しました。この記事では、テストの方法から結果まで、詳しくご紹介します。

それでは、本題へと進みましょう。

ウェブサイトスピードテストの実施方法

結果を見る前に、ウェブサイトのスピードテストをどのように実施したのかご紹介します。詳しくは以下をご覧ください。

サイトスピードテストの実施環境

今回のテストには、世界中の複数の拠点から実際のブラウザを使って無料でウェブサイトのテストを実行できるオープンソースのプロジェクト、WebPageTestを使用しました。

サイトスピードテストツール「WebPageTest」
サイトスピードテストツール「WebPageTest」

WebPageTestは他のサイトスピードテストツールと同様に簡単に使用できますが、上級者向けの機能も豊富で、多くの詳しい指標を確認し、複数のテスト間で比較することができます。

WebPageTestの高度なテスト設定
WebPageTestの高度なテスト設定

例えば、Test Settingでテストの回数を設定することができます。これを有効にすると、同じパラメータでテストが繰り返されます。

WebPageTestのテストの回数はデフォルトでは3回で、9回まで設定することができます。今回は、信頼に足る結果を得られる基準として3に設定し、WebPageTestにより中央値を算出させています。

WebPageTestのFirst ViewとRepeat Viewの結果を比較する
WebPageTestのFirst ViewとRepeat Viewの結果を比較する

WebPageTest では、First ViewとRepeat Viewの指標を別々に記録することもできます。Repeat Viewを有効にすると、各テストでブラウザキャッシュなしでページが読み込まれ(First View)、その後、保存されたキャッシュを使って再び読み込みが実施されます(Repeat View)。

スピードテストにFirst ViewとRepeat Viewを使用すると、新規ユーザーとリピーターがどのような使い心地なのかを把握することができます。

最後に、WebPageTestには、テスト自動化に便利なAPIと、ビルトインのテスト比較機能があります。どちらも、今回のテストにぴったりです。

テストの実施方法

場所、ブラウザ、接続、テスト回数、ビューの繰り返しなど、手順を設定したら、WebPageTestの自動化機能で簡単にテストを実行できます。

あとは、実際にサイトを移行してテストするだけです。

ありがたいことに、安価な共用ホスティングから高価な自主管理(自前)クラウドサーバーまで、さまざまなサーバー/ホスティングサービスから、たくさんのお客様がKinstaへの乗り換えをご決断されています。

Kinstaの誇る精鋭揃いのサイト移行チームがサイトスピードテストチームと密に連携し、支障なく、今回の結果を出すことができました。

テストは、サイト移行直前に1回、移行完了直後に1回実施。前述のように、テスト回数は3回とし、WebPageTestに中央値を選ばせることで、信頼性の高い指標を導き出しています。

3ヶ月間で3,200以上のウェブサイトを移行、テストしました。これは、毎時2件以上の移行を毎日完了したことになります。

スピードテストで注目する指標

WebPageTestでは、各テストで複数の指標が記録されます。移行するウェブサイトの相対的なパフォーマンスを比較するために、以下の4つの指標を選択しました。

1. Time to First Byte (TTFB)

この指標は、初回リクエストからレスポンスの最初の1バイトが返ってくるまでの時間を測定します。TTFBは他のすべての指標に先んじて記録されるもので、主にサーバーの応答時間によって決定されます。

TTFBは、サーバーの応答性を測定するための重要な指標
TTFBは、サーバーの応答性を測定するための重要な指標

TTFBの最小化は、稼働率や応答性の高い高速ホスティングサービス/サーバーを選ぶことから始まります。また、CDNと組み合わせることで、さらに改善することもできます。

2. Largest Contentful Paint (LCP)

この指標は、ブラウザのビューポート(スクロール無しで表示される領域)で最大の画像またはテキストブロックが読み込まれる時間を測定します。これは、通常、ヒーローイメージ、バナー、見出し、または大きなテキストブロックになります。

Largest Contentful Paint(LCP)はGoogleのCore Web Vitalsの1つ
Largest Contentful Paint(LCP)はGoogleのCore Web Vitalsの1つ

LCPの数値が低ければ低いほど、ユーザー体験が優れていることになり、これは、GoogleのCore Web Vitals指標の1つです。LCPのスコアが優れているページは、検索結果で上位に表示されやすくなります。ページが適切な基準に達していれば、Googleの他のサービス(Googleニュースなど)でも紹介される可能性があります。

テスト結果を精査する際には、LCPを重視することをお勧めします。

3. Total Blocking Time (TBT)

WebPageTestのようなラボ(疑似環境)での測定を行うスピードテストツールでは、ページのFirst Input Delay(FID)を追跡することはできません。なぜなら、FIDは現場(サイトの使用)でしか評価できないからです─FIDを測定するには、実際にユーザーがページを閲覧する必要があります。

TBTは、FIDに代わる指標(ラボで測定可能)
TBTは、FIDに代わる指標(ラボで測定可能)

WebPageTestなどのスピードテストツールを使ってページのTBTを測定することができます。Googleによると、TBTは実際のサイトにおけるFIDとよく相関しているとのことです。また、インタラクティブ性の問題も、この指標で捉えることができます。

TBTの改善には、主にウェブサイトのコード(サードパーティのコード、JavaScript実行時間、メインスレッド処理、HTTPリクエスト数、転送サイズ)最適化が必要です。これは開発に関するもので、通常、サーバー管理者側のサービスには含まれません。

一般的に、TBTを改善する(ページスピードを最適化する)ことで、ユーザーがサイトを閲覧したときのFIDも改善されます。

4. Fully Loaded Time (FLT)

テキスト、画像、動画、CSSスタイルシート、JSスクリプト、サードパーティのリソース、埋め込みなど、ページのすべてのアセットが読み込まれるまでの時間を測定します。

 WebPageTestの指標─Fully Loaded Timeを表示
WebPageTestの指標─Fully Loaded Timeを表示

ユーザーエクスペリエンスの観点からは、LCPの測定値に注目するのが賢明です。ただし、移行対象のウェブサイトはテスト間でほとんど変わらないため、FLTを測定することで、新しいサーバー/ホスティングサービスが以前のそれと比較してどの程度優れているかがわかります。

サーバーは、ハードウェアだけではないことに留意する必要があります。サーバーレベルのキャッシュ、プラットフォーム固有の最適化、データベースの最適化、ビルトインのセキュリティ強化策、CDNの統合などがあります。

テスト結果を比較する

このプロジェクトの目標は、Kinstaと他のサーバー/ホスティングサービスを比較することです。

また、私たちがどれほどの違いを生み出せているのか、プラスなのかマイナスなのかを理解したいと思いました。もし、プラスであれば、それは素晴らしいことです。マイナスであれば、さらに改善すべき点を知ることができます。

中には、対象サイト母体数の少ないサーバーもありました。サイト移行歴1件というケースも。そのようなサーバーについては、信頼に値するだけのデータが収集できないと判断し、分析対象ドメインが10未満のサーバーは除外することにしました。除外対象となったのは、およそ十数社です。今後、もっと多くのサイトがそのホスティングサービスからKinstaに移行した場合、テストの対象になる可能性があります。

では、次にテスト結果に移りましょう。

Kinstaと他サーバーの比較(テスト結果)

Kinstaと他のサーバの違いはどうなっているでしょうか。早速、それを確認してみましょう。

特に断りのない限り、すべての指標は秒(sec)で表示されます。ウェブサイトの速度とインタラクティブ性を測定するため、時間は短いほど優れています。したがって、改善が見られる場合は、負の記号(Δ)を付しています。

言葉や記号の意味は以下の通りです。

  • =移行前のテスト結果
  • Kinsta=移行後のテスト結果
  • Δ=移行前と移行後の差
  • =移行前と移行後の差のパーセンテージ

違いを簡単に確認できるように、移行後の数値が改善されている場合には、Kinstaのブランドカラーである紫色で表示しています。

ほとんどの数値が紫色であることにお気づきでしょう。つまり、お客様のサイトをKinstaに移行することで、これだけのメリットが得られるということです。

KinstaとBlueHostの比較

KinstaBluehostの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 2.75 0.55 -2.19 -79.82% 1.24 0.34 -0.90 -72.88%
LCP (秒) 4.17 2.20 -1.97 -47.20% 1.88 1.15 -0.73 -38.68%
TBT (秒) 0.18 0.29 0.11 60.66% 0.11 0.13 0.02 22.48%
FLT (秒) 6.15 3.22 -2.93 -47.67% 3.47 1.27 -2.20 -63.40%

KinstaとDreamhostの比較

KinstaDreamHostの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 0.92 0.73 -0.18 -19.94% 0.30 0.30 -0.01 -2.21%
LCP (秒) 2.52 2.35 -0.17 -6.57% 1.43 1.28 -0.16 -11.01%
TBT (秒) 0.29 0.15 -0.14 -48.82% 0.20 0.07 -0.13 -65.60%
FLT (秒) 6.65 4.90 -1.75 -26.36% 3.89 3.35 -0.55 -14.00%

KinstaとHostGatorの比較

KinstaHostGatorの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 2.02 0.55 -1.47 -72.94% 1.08 0.24 -0.84 -77.56%
LCP (秒) 3.70 2.42 -1.28 -34.51% 2.04 1.44 -0.60 -29.35%
TBT (秒) 0.22 0.26 0.03 14.64% 0.11 0.12 0.01 6.02%
FLT (秒) 5.07 3.29 -1.78 -35.15% 2.57 1.50 -1.08 -41.86%

KinstaとLiquid Webの比較

KinstaLiquid Webの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 1.13 0.55 -0.58 -51.28% 0.92 0.39 -0.53 -57.65%
LCP (秒) 2.80 2.16 -0.64 -22.83% 1.75 1.19 -0.57 -32.24%
TBT (秒) 0.26 0.27 0.01 3.46% 0.19 0.22 0.04 20.14%
FLT (秒) 4.45 3.66 -0.79 -17.71% 2.83 1.83 -1.00 -35.21%

KinstaとAmazon AWSの比較

KinstaAmazon AWSの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 1.22 0.96 -0.27 -21.88% 1.16 0.51 -0.64 -55.69%
LCP (秒) 3.05 3.29 0.24 7.71% 2.09 1.55 -0.54 -25.75%
TBT (秒) 0.30 0.33 0.03 10.05% 0.24 0.17 -0.07 -28.73%
FLT (秒) 4.17 4.46 0.29 7.00% 2.82 1.91 -0.90 -32.08%

KinstaとCloudwaysの比較

KinstaCloudwaysの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 0.71 0.63 -0.08 -11.47% 0.44 0.38 -0.07 -15.12%
LCP (秒) 2.43 2.47 0.04 1.71% 1.26 1.23 -0.03 -2.26%
TBT (秒) 0.44 0.50 0.05 11.93% 0.27 0.22 -0.05 -18.52%
FLT (秒) 4.79 5.15 0.35 7.36% 1.37 1.64 0.27 19.68%

KinstaとDigital Oceanの比較

KinstaDigital Oceanの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 0.93 0.54 -0.39 -42.45% 0.75 0.19 -0.56 -74.84%
LCP (秒) 3.26 4.21 0.95 29.25% 2.37 1.75 -0.62 -26.15%
TBT (秒) 0.39 0.40 0.01 3.33% 0.42 0.39 -0.03 -7.03%
FLT (秒) 5.12 5.38 0.26 5.12% 4.37 1.94 -2.42 -55.46%

KinstaとSiteGroundの比較

KinstaSiteGroundの比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 0.62 0.88 0.27 43.41% 0.62 0.40 -0.23 -36.46%
LCP (秒) 2.21 2.75 0.53 24.01% 1.44 1.25 -0.19 -13.09%
TBT (秒) 0.19 0.26 0.07 36.74% 0.11 0.13 0.02 17.46%
FLT (秒) 3.16 3.49 0.33 10.56% 1.89 1.70 -0.19 -10.11%

Kinstaと「その他」の比較

「その他」には、Kinstaの明確な競合他社ではない、ニッチなサーバーが含まれます。

Kinstaと「その他」の比較
数値 First View Repeat View
Kinsta Δ Kinsta Δ
TTFB (秒) 1.40 0.91 -0.49 -35.05% 1.03 0.46 -0.57 -55.75%
LCP (秒) 3.33 3.16 -0.17 -5.15% 1.94 1.45 -0.49 -25.11%
TBT (秒) 0.31 0.36 0.05 15.80% 0.21 0.21 0.00 0.86%
FLT (秒) 4.99 4.75 -0.23 -4.71% 2.89 2.33 -0.56 -19.34%

結果からわかること

First Viewでは、いくつかの指標で伸び悩んでいますが、Repeat Viewの結果は特筆に値します。Kinstaのサーバーレベルキャッシュ、CDN統合の効果に他なりません。

唯一の例外は、SiteGroundと比較した際のFirst Viewの結果です。Repeat Viewでは、明らかな速度アップが確認できます。

LCPは、サイトの知覚的なパフォーマンスに関するもので、ユーザーの感覚に焦点を当てています。これにおいても、ほとんどの結果で─特にRepeat Viewで─素晴らしいパフォーマンスを見せています。LCPの統計データを見てみると、Kinstaへの移行により、サイトの読み込み時間が平均で20%高速化していることがわかります。

TBTの結果は、ホスティング/サーバーよりもサイトのコードに依存するため、詳細については割愛します。しかし、TBTスコアを確認することで、移行後のサイトのさらなる高速化につながるウェブサイト最適化のヒントが得られるかもしれません。

最後に、FLTです。Repeat Viewの結果では、全体的に大きな差をつけてトップとなり、First Viewの結果では、Cloudwaysを除いて、競合他社に勝るかほぼ同程度の結果となっています。

実際にKinstaに移行することでサイトの速度がどれだけ向上する可能性があるのか(+競合他社の速度との比較)は以下の通りです。

  • BlueHostからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均39%向上(平均)
  • Amazon AWSからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均26%向上
  • Digital OceanからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均26%向上
  • Liquid WebからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均32%向上
  • CloudwaysからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均2%向上
  • HostGatorからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均29%向上
  • DreamhostからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均11%向上
  • SiteGroundからKinstaへ:ページの読み込み速度が平均13%向上
  • 「その他」からKinstaへ:ページの読み込み速度が平均25%向上

このような改善の裏には、以下をはじめとする様々な理由があります。

この結果には満足していますが、それと同時にまだ改善の余地があることも理解しています。

ウェブサイトのスピードにこだわり続けるKinstaは、定期的に新機能をリリースできるよう、たゆまぬ努力を続けています。最新のツール/機能やアップグレードは、こちらのページをご覧ください。

まとめ

“良いWordPressサーバー”ならたくさんあります。Kinstaのマネージドホスティングソリューションは、お客様のサイトにとっての“ベスト”であり続けます。数々の国際的ブランドやWeb制作会社の方々が、Kinstaを利用しサイトの高速化を進めています。

3ヶ月にわたる綿密なテストの結果、Kinstaに移行することでサイトのパフォーマンスが大幅に向上することが証明されました。

サイトスピードの向上は、新しいサーバーへの移行時に注目すべき重要なポイントですが、その他にも、考慮すべき要素があります。例えば、Kinstaでは、すべてのお客様に、数々の機能をご提供しています。

Kinstaでは、すべてのプランでサイト数に制限なく、サイト移行を無料で承っております。お好みのプランをお選びの上、サービスとスピードの違いを、リスクなしでお試しください。30日間の返金保証もご提供しています。正直、試さないと、もったいないチャンスです!

Salman Ravoof

Salman Ravoof is a self-taught web developer, writer, creator, and a huge admirer of Free and Open Source Software (FOSS). Besides tech, he's excited by science, philosophy, photography, arts, cats, and food. Learn more about him on his website, and connect with Salman on Twitter.