ドメインに複数のワイルドカードAレコード(複数のIPアドレス)を設定するには、所有権の確認とKinstaへの紐付けといった複数の追加の手順が必要になります。これは一般的な構成ではありません。こちらのページでご紹介する手順は、複数のワイルドカードサブドメインが複数のAレコードに紐付けられる状況にのみ適用されますのでご注意ください。
お客様のドメインで(複数IPアドレスに紐付けられた)複数のワイルドカードAレコードを使用しない場合には、お客様のサイトにドメインを追加する際にこの追加の手順は必要ありません。
なお、MyKinstaでサイトにルートドメイン(domain.com)を追加すると、ワイルドカードサブドメイン(*.example.com)が自動で追加されます(「詳細設定」でワイルドカードの選択を解除しないかぎり)。
複数IPのワイルドカードサブドメインとは
まず、ワイルドカードドメインで複数のIPアドレスを設定することの意味から整理します。ほとんどの場合、サブドメインのワイルドカードでは、1つのAレコードが使用され、同じく1つのIPアドレスが紐付けられます。以下に例を示します。
- Aレコードのサブドメイン=「*.domain.com」|IPアドレス=「123.123.123.123」
しかし、場合によっては、ワイルドカードサブドメインが複数のIPアドレスを指すことがあります。このような設定は、DNSフェイルオーバーやDNSラウンドロビンの設定などによく使われます。例は以下の通りです。
- Aレコード「*.domain.com」|「123.123.123.123」
- Aレコード「*.domain.com」|「123.123.123.124」
- Aレコード「*.domain.com」|「123.123.123.125」
- Aレコード「*.domain.com」|「123.123.123.126」
ドメインで複数のIPアドレスが設定されているかどうかわからない場合は、WhatsMyDNSのようなツールを使用して、サブドメインのAレコードを確認できます。下のスクリーンショットでは、サブドメインsub.kinstaexample.com
で複数のIPアドレスが設定されていることがわかります。

次に、複数のIPアドレスに紐付けられたDNSレコードが、静的(例:「sub.kinstaexample.com」)なドメインを指定しているのか、またはワイルドカードを用いた(例:「*.kinstaexample.com」)Aレコードとして設定されているのか確認する必要があります。DNSの設定が以下のようになっている場合(ワイルドカードを用いたAレコード)は、このページを読み進めてください。

複数のIPアドレスを追加する
サブドメインでの複数のAレコードの使用が検出されると、MyKinstaでサブドメインを追加した後に、以下のようなメッセージが表示されます。

ステップ1. 既存のワイルドカードIPにサブドメインを紐付ける
MyKinstaに追加するサブドメインがすでに他の場所でホストされている場合、その特定のサブドメインに使用するAレコードを作成する必要があります。このAレコードでは、ワイルドカードAレコードと同じIPアドレスを指定する必要があります。現在どのホストにも属さない新しいサブドメインであれば、この手順を省略することができます。
このステップは、サブドメインの所有権確認とKinstaへの紐付けが完了するまで、他のホストでの動作を保証するためのものです。
例えば、「sub.kinstaexample.com」の設定をする上で、以下のワイルドカードAレコードを所有しているとします。
- 「*.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.123」
- 「*.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.124」
- 「*.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.125」
- 「*.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.126」
そのような状況であれば、DNSサービスを介して「sub.kinstaexample.com」に以下の4つのAレコードを追加する必要があります。
- 「sub.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.123」
- 「sub.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.124」
- 「sub.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.125」
- 「sub.kinstaexample.com」のAレコード「123.123.123.126」

ステップ2. サブドメインの所有権を確認する
Aレコードを追加したら、MyKinstaに移動して、「ドメインの確認」ポップアップにある「次へ」ボタンをクリックします。

次に、サブドメインの所有権を確認するために1つまたは複数のTXTレコードを追加するよう指示が表示されます。TXTレコードの内容は以下の通りです。
- 種類:TXT
- ホスト名:_cf-custom-hostname.your-subdomain
- 値:一意のUUID

次に、お使いのDNSサービスの設定画面に移動し、このTXTレコードをサブドメインに追加します。

TXTレコードを追加したら、「すでに完了しました」をクリックします。

ステップ3. サブドメインをKinstaに紐付ける
この時点から、MyKinstaに追加されたサブドメインの所有権確認プロセスが始まります。ご利用のDNSによっては、DNSの伝播に一定の時間がかかることがあります。確認が終了すると、MyKinstaに「ドメインの紐付け」ボタンが表示されます。

「ドメインの紐付け」ボタンをクリックすると、お客様のKinstaのサイトで使用する「IPアドレス」が表示されます。

次に、お使いのDNSサービスの設定画面に移動し、先ほど追加したサブドメインのAレコードを削除します。

最後に、Kinstaのサイトの「IPアドレス」を指定したサブドメインAレコードを追加します。

このAレコードの設定とDNSの伝播が完了したら、MyKinstaのサブドメインの横にチェックマークが表示されます。これは、サブドメインが正常にセットアップされたことを意味します。

まとめ
デフォルトでは、ワイルドカードAレコードを介して複数のIPアドレスが設定されたサブドメインは、KinstaのCloudflare統合とは互換性がありません。しかし、今回ご紹介した手順で、サブドメインの確認作業を経てKinstaに紐付けることができます。
複数のIPアドレスを用いたサブドメインの設定についてご不明な点がございましたら、カスタマーサポートまでお気軽にお問い合わせください。